記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

新春 黒岩詣で

ということで、2018年一発目は、
ここ数年の恒例行事、
初日の出を見に黒岩への巻き。


紅白と笑ってはいけないの交互ザッピングにも飽きて
近くのお寺へお参り。
そこで鐘つきと年越しそばをいただいて、
無事に年越し。




帰宅後少し仮眠のあといそいそと準備して出動したのだが
寸でのところで電車が行ってしまい30分ほどロス。
4:50ごろに芦屋駅に到着。
すでにそこそこの人出。
たぶんほとんどの人は風吹岩へ向かうのだろう。
支度をしたらすぐにスタート。


歩き始めてしばらくして
地元の高校生くらいの4人組がチャリで追い抜いて行って
キンダーガーデンの手前の公園に自転車を置いて歩き始めたのだが
そいつらが若者らしいどうでもいい話をペチャクチャしゃべりながら
自分の真後ろをピタッとトレースしてくる。
静かに歩きたいので、そこそこペースを上げて引き離そうとすると、
それに合わせて追ってくる。参ったなあ…


そのまま最後のマンションのところまで来ると、
3,4台の消防や救急の車両。
さらに奥の転回場所にも数台のパトカーや消防が
赤色灯を光らせて待機している。
何かあったのかはわからないが、
特に入山禁止でもなかったのでそのまま進む。
帰宅後知ったが、大学生が滑落してそのまま亡くなられたそうだ…
元旦のこの時間は、毎年結構な人出なのだが、
さっきの高校生のように、
ノリで軽装で来る若者(スニーカーで無灯)や、
明らかに夜間の山に慣れていない人が多く、
一様に山を甘く見ている人が多い。
普段昼間の難易度は高くないとはいえ、
夜行に不慣れな人にとっては別世界。
闇夜のロックガーデンで足を踏み外せばタダ事ではないわけで、
いつも危険だなと思いながら、
少なくとも巻き込まれないようにだけは注意をしていた次第です。



ごったがえす高座の滝をそのままスルーして進みますが
混雑の合間にパスされたさっきの高校生4人組が
かなりのハイペースで進んでいくので、それについていきます。
そのまま中央稜線に取り付いて、
夜闇に悪戦苦闘している人たちをパスしていくのだが
とにかく4人組が危なっかしい。
そもそもルートをまともに把握しておらず、
わざわざ難しい端を強引に越えたりしている。
特にリーダー格の奴が血気盛んで、
自分も含めて他のパーティーに負けるのが嫌という空気バリバリ。
どんだけペース上げても
自分がしっかりついてくるのに焦って、
どんどんペースを上げていく。
若さと荷物を持たない軽量さで、
先頭に立ってじゃんじゃか進むのだが
他の3人は明らかにオーバーペースで、
ギリギリどうにか付いて行っている感じ。
このまま無理をして事故っても知らんぞ、
それにそんな汗かいて、タオルや着替えも明らかに持ってきてないのに
ご来光までに冷えるぞと思いつつ。
そんなペースでじゃんじゃか岩を登って行ったのだが、
メンバーの中の一人が、中間の鉄塔の手前のあたりで
「もう無理。俺は休む」とギブアップ。
リーダー格の奴は、なんやヘタレが見たいな悪態ついて
不満そうでしたが、賢明な判断。
むしろ、引っ張り役なら、
パーティー全体の状態を把握して、対応すべきで。
まあ、事故が起こらなかっただけよかったとしよう。


そのまま4人組を置いて先へ進みます。
本当はのんびり汗をかかないペースで、
静かに歩きたかったのに、すでにこちらも大汗。
ただ、予定より時間が押していたので、
図らずもいい時間稼ぎになりました。
中間の鉄塔を過ぎると、斜度は一気に緩やかになり、
またほかに人気が一気になくなって、ひと段落。
そのまま風吹岩に到達すると、
日曜の昼間に匹敵するほどの人出。
特に若い子らがものすごい屯しています。


ここでは休憩を入れずそのままスルーして、
魚屋道を黙々と進む。
ここから先は最高峰を目指しているであろう
本格トレイルランナーに時折出くわす以外に人気はなし。
緩やかに登って下って、途中からわき道に入る。
目標物の大きな岩のところを直進し、荒地山方面へ。
この辺りは森が深いので本当に真っ暗だが、
つい2日前も歩いているし、何ら問題なし。
荒地山からさらに少し進んで黒岩に到着したのが、
6時を少し過ぎたくらいだったか。
毎年何人かいたりするのだが、今年は誰もおらず、
時間的にもおそらく独り占めで初日の出を迎えることができそうだ。


まずは、かいた汗を拭いて、冷える前に防寒。
シートを敷いて、
サーモスに入れてきたアツアツのほうじ茶を飲んで小休止。
三脚を出してカメラのセッティングをしたら、
目の前に広がる夜景をばしゃばしゃ。
実は、太陽が顔を出す時間よりも、
うっすらと東の空が明るくなったトワイライトの方が、
きれいなショットが撮れる。
6:30くらいになると、街の外灯が消えてしまって、
地上の星がなくなって、逆に暗くなってしまうのだ。
どうにかその、トワイライトのマジックアワーにも間に合ってよかった。





マジックアワーが終わり、
あとはゆっくりと移ろいゆく朝の光景に
時折シャッターを切りながらその時を待ちます。
そよそよと風が吹いているのだが、これがとても冷える。
歩いたり運動しているときは中から熱を発して温まれるが
ただじっと待つのが一番寒い。



東の空はどんどん明るくなってきたが、
大和葛城山から金剛山にかけてのダイトレ区間の上空には
分厚い黒い雲が張り出している。
朝日はこことあべのハルカスを結んだ直線状、
おそらく二上山付近から顔を出すはずではあるが、
これはちょっと難しいかもしれない…



初日の出の時刻である7:05になったが、
やはり分厚い雲に阻まれて、朝日は顔を出さなかったが
もう少し時間が経てば、見えるかもしれないと、
しばらく様子をうかがっていると、
徐々に雲がばらけだして、目くるめく様子を見せ始める。
ハラハラとハルカス上空に光のカーテンをはためかせ、
ついにはその光の力でもって雲を散らして、
眩いばかりの光の球があふれ出しました。
いやあ、おめでとう、おめでとう!




しばし、光の眩さに見とれながら、
澄み切った朝の空気を十分に満喫。
なにか例年以上に感慨深い初日の出となりました。


時刻はすでに7:30を過ぎ、撤収します。
再び荒地山に登り返し、魚屋道を戻ってごったがえす風吹岩へ。
そこからは空いている保久良さんの道で無事下山。
帰宅したのは10時前。
家族が目覚める前に戻ることができました。