記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

CARRERA Fibra two インプレ

シェイクダウンしてから随分経ちますが、
この辺でそろそろ弐号機フィブラ・ツーのインプレでも。


初号機BMC購入後しばらくしてから、
足掛け4年ちょい、コツコツと貯めてきた貯金。
途中、ホイールに化けたり、山グッズにつぎ込んだりで、
一進一退を繰り広げていたのだがどうにかこうにか。
やっぱりローディーなら1度は乗りたい軽量のフルカーボンマシン。
1日に何本もヒルクラを上がっていた数年前なら
例えばLOOKとかサーベロとかそういうところに手を出していただろうけど、
あれからいくつかのアクシデントがあったり、スタイルも変化してきたし、
どうせなら他の人が乗っていない様なバイクがいいなあということで、
ストイックに性能を追求するというよりも、
トータルで乗る楽しみを味わえるものというところに重きを置いた。
BMC自体は気に入っているので、上位モデルも考えられなくはなかったが
どうせなら違うメーカーに手を出したかった。
で、色々見ていてフィブラを発見したときには、
とにかくそのフォルムのイカつさと、カラーリングのド派手さに釘付け。
ちなみに前年までのモデルのカラーリングなら購入してません。
ただマシンを見てるだけで楽しいです。
これだけの見た目のインパクトのあるマシンもそうそうあるもんじゃないと思います。


フィブラは入荷が半年先とか、忘れた頃とか、納期が読めないので有名ですが
ちょうど試しに木馬で問い合わせしてもらったら、
今ならちょうどあるという絶妙のタイミングだったのも、即決した理由の1つ。
やはり何と言っても大きい買い物なので、色々悩んだり、躊躇したりしますが
こういうのはやっぱりタイミングと言うか、一期一会ですね。


↓存在感!


↓トップから弓なりにリアへと滑りこむシートステー


↓ヘッド回りはオール・デタチャイで揃えた。カラフル。


↓太っといフロントフォーク。モビルスーツのシールドみたい。


↓初号機BMCと並べると、とにかくデカイ


↓カラーリングは左右リバーシ


カレラは現在はトッププロへの供給はしていないので、
最近自転車を始めた人にはなじみの薄いメーカーかもしれませんが、
90年代に熱心にツールを見ていた自分の世代にとってはあこがれのバイクの1つです。
ジーンズ柄のチームジャージが斬新だったカレラチームには、
記憶にも記録にも残る選手たちが在籍していました。
ざっと挙げて見ると…
同年にツール・ジロ・世界選手権を勝つ「トリプル・クラウン」を達成した2人のうちの1人、
ステファン・ロッシュ、
タシケントの虎」として恐れられた暴れん坊スプリンター、
ジャモリディネ アブドジャバロフ、
ディアブロ(悪魔)」として山岳王の座に君臨し続けたクラウディオ・キアプッチ、
そして何より、「ピラータ(海賊)」として人気を博したマルコ・パンターニ
みなそのキャラクターから世界中に愛され、また強烈な個性を発揮してきた選手ばかりです。
そんな血筋を引いたマシンにまたがれるのが嬉しくないわけがありません。
どんなに遅くても一度はフェラーリードライバーになってみたいというアレです。


↓左からアブロジャバロフ・キアプッチ・ロッシュ・パンターニ。どうでもいいけどアブロジャバロフ俺に似てる…


では肝心の走りについて、ここまで1500km程度走ってきてのインプレ。
当然初号機との比較という部分での個人的な感想になります。
サイズはL寸、コンポはフル紐アルテ、ミニマム7.8kgというスペック。
基本、前イーストンEA90SL、後コスカボSRといった仕様です。


まず、結論から。
本当はかわいいかわいい愛車、それもニューマシンなので無条件で最高!と
手放しで褒めたいところですが、グルメに関してもヒルクラコースに関しても
何に対しても正直者でありますので率直に感じたまま書きます。
同価格帯クラスの中では正直言って”並み”の性能ではないかと思います。
特別どこが秀でているということもないし、かといって悪いわけでもない。
しいて言えば、初動の軽さと、クッション性の良さはいい方だと思います。
見た目からは意外ですが、どちらかというとレーシーなつくりではなく、
ロングライド向きなコンフォートな走りに分類されるのではないかと。
純粋にレーススペックだけを追求するなら、リドレーやBHなどの方がよく走るはずで、
もう少し予算を上乗せすれば、サーベロとかLOOKとかBMCという選択肢になる。
もちろんフィブラ2に全く戦闘能力がないというわけでは決してありません。
むしろヒルクライム的な部分でいえばそこそこやれるマシンだと思います。
ただ、レースで結果を求めて走るような人であれば別の選択肢が適当かなと。
これがトッププロに供給している最前線のブランドとの差なのかもしれません。
ただ、BMCに比べて格段に疲労度が軽減されるので
今のロングライド仕様の自分にはまさしくうってつけのマシンだといえます。
では個別のフィーリングについて。


<剛性>
初号機のBMCがかなりスパルタンなマシンにしていたため、
剛性については硬さを感じなかった。
これは、フィブラがどうというよりも、
アルミ⇒カーボンという素材変更につきものなのかもしれないが、
直進性は一定はしっかりと保たれているものの、
むしろほんのりとソフトな感じ、しなやかさを感じる。
これはフィブラの太っといフロントフォークの性能なのかもしれないが、
例えばハンドルさばきが極端にクイックでもない。
下りでも安定性はかなりよい。しっかりと足元をフォローしてくれている感じ。
見た目のワイルドさに比べて、内実は意外とマイルドフラッシュ。


<加速性>
このマシンの最大のポイントは初速の早さ。つまり加速性。
漕ぎ出しがものすごい軽くてスムーズ。時速30kmくらいまではすぐに到達する。
ある意味最も使用頻度の高い速度域での負担が少ないというのは楽です。
特に、自分の場合は超ロングを中心とした走りなので、
信号に引っ掛かってのストップ&ゴーがもたらす負担と言うのは、
人と比べても多い訳で、1回1回は大したことがなくても、
チリも積もれば何とやらで、結構見過ごすことのできないストレス。
そのストレスをかなり軽減してくれるので、この性能は正直大きい。


ヒルクラ性能>
上りに関しては、正直まだガチヒルクラTTをそれほどこなせてないので
もう少し検証が必要ですが、それほど悪くないと思います。
先にあげた加速性は、つまり低速帯での走りの軽さに近いものなので
ある程度斜度のある坂ではそこそこ威力を発揮します。
じっくりとシッティングで進んでいく感じで、
ちょっとヘバリそうなところをそっと後押ししてくれる感じ。あくまでそっとです。
ガンガンと引き上げてくれるほどの積極的な走りの軽さまではないですが、
苦しい状況に陥った状況で、サポートが入る、そんな感じです。
ダンシングに関しても、フォークの太さのおかげでしょうか、
姿勢をキープしやすいのでマシンを振りやすい。


<高速巡航>
初速の動きの良さに対して、高速域での動きはどうか。
正直言ってあまりノビは期待できません。
45kmくらいまでは平気なのだが、それ以上になるとどうもマシンがヘバる感じで、
高速を維持するので精いっぱいな感じがする。
初号機と比べて特に高速域での動きがよくなったとか、
巡行速度を維持するのが楽とかいう差はあまり感じられず。
まあこれはBMCの2008モデルの完成度の高さと言うのもあるかもしれない。
フォルム的にエアロ効果が期待できそうな予感を感じさせるけれども、
元々メーカー自体もこのマシンはヒルクライム向けのマシンとして位置付けているし、
自分もあまりそこには期待していなかったのもあるので、
まあこんなもんかなという印象。


<衝撃吸収性>
衝撃吸収性はかなりいいと思います。
地面からの突き上げを相当に和らげてくれるので、
ロングを走っていても疲労度が全然違う。
乗り手に優しい作りになっています。
あの大胆なフレームの形状はエアロ効果を狙ってというよりも、
いかに衝撃を吸収するかというところを追求した結果なのかも。
見た目はチャラいけど、実はマメ男なフィブラ君。


ということで、あまりにもアグレッシブな見た目と、
実は極めてソフトな乗り心地とのギャップにちょっとビックリした次第です。
でも結果的には、TTやレースよりもロングライド重視の自分にとっては
負担を大幅に軽減できるまさに一番乗りたかったバイクだったのです。
ただ、もちろんTTもレースも今後このバイクを駆って出るわけなので、
そういうスパルタンな部分の追い込み、調整はやらざるを得ません。
まだ正直ジオメトリーの大幅な変更などでフォームが確立できていないし、
この季節で体がまだ仕上がっていないということもあるので、
乗りこなしていくうちに色々とフィーリングが変化することもあるでしょうが
ひとまずのファーストインプレッションでした。




<カタログの解説>
フィブラ ワンをベースに、効果的な形状と軽量性を最適化したフレーム
フレームはモノコック構造の採用で15%もの軽量化に成功しました。
剛性も高く、振動吸収性能も良いので、
フレームの反応性が高く快適に仕上がっています。
フィブラワンに比べて剛性感が高く、
立ちこぎ時のハンドリング性能が高くなっています。
ヒルクライムの立ちこぎ時にバイクを左右に振りやすく、
ペダリングパワーのロスが少ないので、クライマーにとって最高のバイクです。


税込価格 : ¥231,000 (販売価格はフレームとフォークの価格)
ボディサイズオーダー+ :不可
フレーム単体重量 : 1,100 g(サイズM)
フレーム素材 :HS-T700SC/HM IM600/SHM HR40/50T1K
フォーク :カーボンモノコック・サンダー 1-1/8"-1.5" 重量:390g
シートピラー径 :インテグラルシートポスト
BB :BSA(JIS)
※電動コンポーネントにも対応しています。