記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

ここちよい音楽 ANATAKIKOU

元は関西出身の3ピースバンド。
現在では1人抜け2人抜け、ソロユニットに…
インディーズ時代、まるで日本の純文学をそのまま音にしたような楽曲に
ひたすら感動したのを覚えています。
あからさまではなく、自然体として、
こういう和な雰囲気を醸し出しているようなのはあまり知りません。
ノスタルジックで、下町の昭和の香りプンプンの、徒然なるままに。
時に、6月の雨のようにシトシト、ジンジンと心の間に滑り込んでくるような
そんなカンジ。
オススメは、ANATAKIKOUをBGMに梨木果歩さんの小説(特に『家守奇談』なぞ)を読むと、
見事にシンクロしてスゴイです。


↓『リリー』


<リリー>
この夏の雨を穏やかと 名付けたリリーの朝には
ひとり言 寝言 雨の音 窓の外は準備中


この夏の雨を穏やかと 名付けたリリーの店から
明け方に伸びかけた髪を 青ざめた様に微笑む


アラ この街の暮らしかたなら
右手に浮かぶ悪戯のような冷たさと


ひとり言 寝言 雨の音 窓の外は準備中


アラ どこまでも一人暮らしね
キツめの服に詰め込んだ灯り 見つめて


アラ いつまでも決まらないよね
紅い長靴にヒールが気に入らないのよね


六月の空に花束を贈るリリーの夜明けには
紫の空にウインクをうてば広い空模様


lalala…oh,come on 「Lilly」
okama 「Lilly」 hide oto kanade…


↓『アーチ越えて』


<アーチ越えて>
廊下を伝う重い声 まわる呆気ないため息って そう
挨拶代わり 砂雑じりの風に乗ってく 夢みたいだね
うつむき加減ほどほどに 帰る線路沿い すまし切ってた
そう 塞ぐ陽を重ね振りかえる
まだ見ないでと まだ見ないでと
まだ見ないでと 邪魔しないでと 気にしないけど たまらないけど
窓に綴られた雨模様 ただなぞってた
冬になってた


流れる絵具 たらたらっと 自分勝手な自転車ってさ
川緑の坂をのぼり切る 繰り返してる 繰り返してる
いうも待ってる 橋の放射線 ゆるやかってっさ 思い込んだら
水面に映る 景色が見たい 枯木の枝は 私をさした


ただぼんやりと 日付けを追えば 腫れた綴りが 僕を呼びとめた


まだ見ないでと 邪魔しないでと 気にしないでと たまらないのは
数え切れない たとえ切れない 綴った日記 アーチ、越えて


夕焼け空に 舞う鳥のように ふやけた雲の 透間を縫って
ただぼんやりと 日付けを追えば 腫れた綴りが 僕を呼びとめた
夕焼け空に 舞う鳥のように ふやけた雲の 透間を縫って


背伸びして笑う 君の顔 横切れば
深くて浅い 水の音 水の音
背伸びして笑う 君の手に絵を描いて、、、