記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

アンサンブルズ東京2017 大友良英スペシャルビッグバンド ワークショップ

美雨さんとCANTUSさんとのワークショップを終えたら、
次はお昼から大友良英ビッグバンドのリハーサル。
そのわずかの間に、
近くの国連大学のところでやっていたマーケットでお昼ごはん。
色々オーガニックな食材が売っている中に、有名パン屋さんやカフェが出店。
あまり時間もないので大急ぎで食べてスタジオへ戻ると…
さっきよりもうんと人が増えていて、
しかもみなトランペットやトロンボーン、ギターなど
ガチの楽器をチューニングしたり、試し弾きしたりしている。
あ、やってもたかも。
もっとみんなガチの楽器じゃなくて、音のなるおもちゃとか、
そういうゆる〜い感じのを想像していたのに、
我々が用意してきたのは、別の意味でガチな被り物と、
どうしようもなくアホ丸出しで叫ぶチキン…
これは、お呼びじゃない感じかもと、
変な汗がドバドバと出てきました。
なんかみんなじろじろとこちらを見ているし(そらそうか)、
もうなんかスミマセンな気持ち。
始末書でも書こうかと思うくらい、
あまりにもマズい感じなので、
事務局の方にかくかくしかじかで、
こんなもん持ってきてしもたんですが
本当に大丈夫でしょうかと、恐る恐る聞いてみたら、
「大丈夫ですよ〜。いろいろあった方がこちらもありがたいので〜」と
言っていただいたので、とりあえず一安心。
でもまだ場違いな感じを拭い去ることはできず、
ドッキドキでスタートを待ちます。


↓お昼のプログラムはこちら


↓うちらコレですけど…(汗)


で、大友さん登場で、まずは当日演奏する楽曲の楽譜を配布。
大友さんはこういうイベントを全国各地や世界でもやっていて、
そのたびにこうやって楽譜も配るそうなんだけど、
以前コレをヤフオクに出した人がいたそうで、
その人は当然とてもややこしいことになったそうです。
いやあ、ダメでしょう普通。
で、いろいろな話も交えつつ、
まずは合図とルールを決めて、
オーケストラの真似事的なことを覚えていきます。


その前に、「なんか東京タワーがいるね〜」と見つかってしまいました。
隅っこでおとなしくしていたんだけど、そら見つかりますわね。
で、簡単な自己紹介で、前回のアンサンブルズも出てたこと、
大阪から来たこと、そして楽器がチキンなこととか、
お話ししたように思います。
で、チキンをびええええ〜と鳴らすと、一同大爆笑。
すると大友さんは、
よっぽど音が大きいとか明らかに迷惑になるようなもんじゃなかったら
俺は全然NGとかはないからねと、しっかりOKいただくことになりました。
ホッ。
皆さんの反応も、面白がってみてくれている方が多くて、
本当に肩の荷が下りるというか、とてもありがたかったあ〜。


↓大友さ〜ん


さて、まずは共通ルールをレクチャー。
誰でもわかるような簡単な合図で、
親指を上げたら、演奏ストップ、
人差し指を上げたら、短い音、
三本指を上げたらメロディを作る、
鍵指にしたら演奏リピート、
四本指は今演奏している人は演奏をやめて、
演奏していなかった人が演奏するスイッチみたいな感じ。
これをある個人に向けて出したり、エリア別で出したり、
全体に出したりすることで、音を足したり引いたり、
音のサンプリングを指スイッチで生でやるような感じで、
曲をいろいろと変形させていきます。
ベースのメロディはビッグバンドの皆さんが
しっかりと出していただいているので
我々はそこに指揮者・大友さんの合図で、
音を出したり止めたり伸ばしたり。
そうするとこでまさに再現不可能な
今この一回限りの特別な音がスタジオに鳴り響きます!!


↓ph拝借



↓ph拝借



↓ph拝借



↓ph拝借


↓ph拝借


↓ph拝借


この場所にあるすべての音が”楽”をまとって、跳ねていき
それがあちらこちらに飛び移って、
ハッピーがどんどん伝染していくような感じ。
あの音この音、きれいな音色も、変な音も、ノイズも何も、
一切合切排除されることなく、
全てが世界を構成する材料として
仲良くごった煮ミックスされて、
ああこれが”自由”ってやつかと。
音の渦にどんどんどんどん引き込まれて行って、
チキン鳴らしながら、その一部に溶け込んでいく感じに、
本気で泣きそうなほど喜びがこぼれてしまって、
まったくおバカな格好をしているのにネ!


↓簡単な合図でオーケストラ化します


あまちゃんのテーマ曲をはじめ、
即興も含めて6〜7曲くらいを、
とりあえず見様見真似で。
楽曲の1つに、大友さんともとても仲が良いのんちゃんがすずさんの声をやった
この世界の片隅に』でも使用された
ザ・フォーク・クルセダーズの『悲しくてやりきれない』があって、
それが本当に感動的だった。


最初だらりだらりと音が世界に横たわっているところから、
少しずつ大波小波音が跳ねて、
そこからじわじわとメロディーが頭を出して
ゆっくりと物語が始まってゆく。
その音は1つ重なり2つ重なり、しまいには大きな渦となって
皆を飲み込んでゆく。
いつの間にか、もう自分の音が自分の音ではなく、
あなたのそれもあなたのではなく、
一つの大きな、大きな音のカタマリとなって
全てが金色に輝いていく。
体の内側からその音を欲して、
気づいたら、我を忘れるほど必死にマラカスを振ってた。
今までのどの音楽体験よりも、尊い時間でした。


休憩中に、メンバーの方がチンドンよろしく、
軽快に『悲しくてやりきれない』を演奏していたら、
それいいね!となって、うれし楽しい盆踊りスタイルバージョン
名付けて『楽しくてやりたい』が本採用!
ちょっとリズムやテンポを変えるだけで、
こんなに雰囲気が激変するのか!?
悲しくてやりきれなかったんじゃないのかヨ!!
と、総突っ込みが入るほど。
だから音楽はやめらんない!!


↓”音”が”楽”してます♪


我々は、チーム動物園の名を拝命いたしまして、
ただやみくもにボディーを押してゲーガー言わすのではなく、
ちゃんとタイミングを計ったり、リズムに乗ったりしてたのですが
この塩梅が実際やってみるとなかなか難しいのです。
お腹を押しただけでは音が鳴らず、
手を放して空気が漏れるときに、アノ音が鳴るので、
合図を出されてから押してもタイミングがずれてしまうし、
押しすぎて空気量が多いと、空気がなくなるまで鳴り続けてしまうので
他とそろえて音を止めるというのが至難の業。
まあ、そのズレが面白かったするんだけど、とはいえ、
バッチリ格好よく決めたい時もあるわけで、
チキンを演奏するというのも簡単ではないのです。
押すタイミングや、押し加減、音を強制的に止める技なんかを、
リハで何度も試行錯誤。
そんなこんなで午後の部はあっという間に18時のクローズ時間まで。
いやあ、楽しかった〜!!!
でも明日本番だってばさっ!!!


↓チーム動物園、がんばりやす!