記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

『オン・ザ・ミルキーロード』 by エミール・クストリッツァ監督


先日、湊川公園のパルシネマしんこうえんで、
エミール・クストリッツァ監督の9年ぶりの新作
『オン・ザ・ミルキーロード』を診てきました。
実は、これもっと前に封切りされていたのですが、
しばらく映画情報から遠ざかっていて見逃していたところ、
運よく遅れて新開地で公開されていて飛んでいきました。
myベストの映画は今も昔もダントツで、
クストリッツァ監督の『アンダーグラウンド』で、
当時何度も映画館に足を運んだことを覚えています。


本作も例にもれず、旧ユーゴスラビアの紛争を彷彿とさせる
戦場の村が舞台。
戦場の村でロバにまたがりミルクを運ぶ係をしている男(監督本人)と、
突然村の権力者の花嫁として連れてこられた
謎の美女(モニカ・ベルッチ)の逃避行の物語。
わんさかわんさかとアヒルや猫や動物たちが、
画面狭しとわななき大暴れをし、
陽気なジプシーの旋律がにぎわう中、
そこかしこで銃声やら爆発が起こり、
冒頭からクストリッツァ節全開でしたが
物語としては過去の作品の焼き増し的な印象がどうしても否めず、
比較をしてしまって物足りなさが募りました。
また、途中に出てくるヘビの下りなどでCGが使われているのだけど、
その技術の使い方が本当にへたくそで、興ざめしてしまいました。
昔は、同じような表現でも、CGに頼らないことで、
独特の浮遊感や寓話性を醸し出していたのに、何で?という思い。
期待値が高かっただけに、ちょっと残念感の方が多かったです。