記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

4年目の夜明け

日本代表が勝った!
素晴らし素晴らしオメデトウ!
すったもんだ直前まで色々あったし、理想とは違うかもしれないが
要は本番で勝つことが重要。
昨日は勝って勝ち点3をゲットしたので100点満点の試合。


昨日の試合はまさに今の日本が実行可能な最高の試合だった。
まるでこの間のイングランド戦に磨きをかけたようだった。
試合としては初戦ということで、お互い守備的な展開で、
持ち味をつぶしあうという地味〜な試合だった。
それでも、前半から両サイドに張った松井、大久保の2人が積極的にしかけ
何度も相手に脅威を植え付け、優位に立つことができた。
間違いなくこのゲームの主役は2人だ。


特に松井はキレキレだった。松井のゲームだったといってもいい。
松井にマッチアップした相手の2番は、前半からかなり松井にプレスをかけ
誰よりも相手を背負っていたにもかかわらず、天才的なテクニックで
何度も置き去りにして、相手の陣地を深くえぐっていた。
ボールを欲しがって本田が下がらず、センターで我慢強くいれば、
あるいはもっと早く先制できたかもしれない。
決勝点を演出したアシストも、うまーいフェイクでタメを作って、
本田が裏へ行く時間を作り、あのゴールの70%は松井のゴールだ。


大久保もすごい。松井もそうだが、この試合では、
俺が行ってやるという闘志がプレーに出ていた。
後半、1対1でアウトから強引に中へ切れ込んでファウルをもらったあのプレーが象徴的。
本田がセンターで相手をひきつけたうえで、
両サイドからの松井・大久保の鋭い切れ込み。
その次の過程で中に誰かオーバーラップできるようになれば
ぐぐっと得点のチャンスが増えると思う。
後半、長谷部が上がってきてミドルを放ったのがその兆し。


本田もよくやった。
あのゴールはオマケ。でも確かに”持ってる”ね。ただ勘違いは禁物だ。
いみじくもオシムさんがコメントしているように。
「今日のゴールだけで本田をヒーローだと持ち上げないでほしい。
もし明日の一面がすべて本田ということになれば、日本の未来は危ない。」
まさしくその通りだ。
結果を出さないといけない試合で結果を出したことは最大限の評価に値する。
しかもいつもと違うポジションでだ。
でも、正直カメルーンの守備は甘かったし、
ボールを欲しがって下がり気味になり、
サイドを崩した肝心の場面でセンターにいないという状況が多かった。
この勝利は1人のヒーローによって得たものではなく、
ベンチも含めたチーム全員で勝ち取ったものだということをあらためて。
ということは本人も承知だろう。問題はサポーターの意識。


今日は交代もドンピシャだった。
課題の後半残り20分あたりから、プレッシャーが甘くなり、
中盤センターに危ういスペースが生まれてくるようになると
前半あれだけチームを牽引してきた松井・大久保・長谷部の3人のキーマンを変えた。
しかも投入したのは、岡崎・矢野・稲本。
この交代でINさせた3人の顔ぶれに、岡田監督の覚悟と意地がイレブンにも伝わったのではないだろうか。
つまりこれまでのように完全に引いて守るのではなく、
前線からプレッシャーをかけ続けろというメッセージだ。
ここで中村俊・憲など投入してしまっては、及び腰になりかねなかった。
疲労が蓄積し、満身創痍のチームを鼓舞するのにこれ以上の采配はない。


何にせよ、4年前のドイツ杯のオーストラリア戦の逆転負けから続いた悪夢が
ようやく取りはらわれた瞬間だった。
後半20分の悪夢。散々苦しみぬき、長い年月を要したが
どんな形でも本番でその悪夢を断ち切った意義は大きい。
試合自体は地味でも、昨日の試合は日本代表の新たな船出となるエポックメークな試合だった。