記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

バックギャモン

みなさんはバックギャモンというボードゲームをご存じだろうか。
日本ではあまりなじみが薄いが、世界に約3億人のユーザーがいて、
あらゆるボードゲームの中でもっともポピュラーなものです。
前から知っていたのだが、先日の映画に頻繁に登場していたので
ちょっとやってみたら面白すぎでハマりぎみ。


簡単にどんなゲームかちょっと説明。一言でいえば対戦型陣取りすごろくです。
下のような盤に、自分と相手それぞれのコマ15つを配置して始めます。
サイコロを2つ振って、出た目の数だけ、それぞれ矢印の方向へコマを進め、
全てのコマをゴールに導いた方が勝ちです。
(黒ならNO.0、赤ならNO.25がゴール)
ただ単に、サイコロの数だけ進めるというわけでは当然ありません。
それぞれ逆方向のゴールに向かってコマを進めるにあたって、
自分のコマで壁を作って相手の進行を阻止したり、
あるいははじき出して相手のコマを振り出しに戻したり、
逆に相手にそうされないように防御したりというところが頭のいるところです。
サイコロを使うという点で運も必要なのですが、
出た目の数によってコマをどういう風に動かすのか戦略が重要になってきます。
ただ単純に、コマを前進させればよいというものではなく、
相手との”間合い”がとても重要になってきます。
戦況によっては当初の戦略を破棄して、まったく逆の戦法が必要になったり、
状況によってはさっさと負けを認めて、被害を最小に抑えることも必要になります。


↓この陣形からスタートし、各々矢印の方向に進む


具体的な遊び方についてもう少し解説します。
最初は複雑に感じますがわかってくると面白くなります。
詳しく戦略や確率論を言い出すとわからなくなるので基本だけにしときます。
(基本上の図の場合で説明します)


①サイコロを2つ振って出た目の数だけコマを進める
  今ここで2・4と目が出たとします。
  その場合、1つのコマを2進めてさらに4進めることもできますし、
  (いきなり合算で6ではなく、2進めて4、あるいは4進めて2)
  2つのコマをそれぞれ2つ、4つコマを進めることができます。
  上の図で例えると、今NO.24の黒コマが2つありますが、
  1つをNO.18に進めることもできますし、
  2つをそれぞれNO.22,20に移動することもできます。
  これは動かせるコマならどのコマを動かしてもOK


②サイコロの出目がゾロ目の場合、倍動かせます。
  今ここで2・2と目が出た場合、コマを2動かすということを2回ではなく、
  4回行えます。なので1つのコマを一気に8動かしたり、
  あるいは4つのコマを2ずつ動かしたり、4・4、4・2・2扱いにしてもOK


③ただし、相手のコマが2つ以上置いてある場所には動かせません。
  上の図でいうと、今仮に出目が1・5とすると、
  NO.24のコマを1動かしてNO.23へ進めることはできますが、
  5動かしてNO.19に行くことはできません。
  なぜなら赤のコマが5つ積んであって壁になっているからです。
  となると5動かすことのできる他のコマを進めなければいけません。
  例えばNO.13の1つをNO.8へという風に。
  例えば6が出ていればNO.19のの壁を越えてNO.18には行けます。
  (NO,18には赤のコマが2つ以上ないため)


  このように1つのマスに2つ以上コマを置いて壁を作ることで
  相手のコマがそのマスに進めない状況を作りだしていくというのが
  基本の戦略になります。
  例えばもし仮に、NO.18〜NO.23のマスに赤の壁が築かれたとすると、
  どんな出目であろうともNO.24にある黒のコマは身動きできなくなります。
  そうすることで、相手の進行を遅らせたり封じたりしているうちに、
  自分のコマを優位に進めたり配置するという遊びです。
  上の例のように6つ全て壁でふさいでしまうのが一番理想ではありますが
  なかなかそういう状況は作り出せません。
  それでももし3つでも壁を築くのに成功すれば、出目の半分50%は防御可能です。
  相手が運よく進められる出目を出す可能性ももちろんあります。
  それは運次第ですが、それでも確率を下げることでゲームを優位に進められます。


④相手のコマが1つしかないマスに進んだ場合、その相手のコマを振り出しに戻せる
  ③では相手のコマが2つあった場合はそこに進めないと説明しましたが、
  では1つのところはどうかというと、そこには進めます。
  そして相手のコマははじき出されて(ヒット)、
  ボードのセンターの木枠に留め置かれます。
  相手は次の番のときには必ずそのはじき出されたコマを盤に復帰させなければいけません。
  例えば今赤がはじき出されていたとすると、次回出目の1つを使って
  スタート位置からはじき出されたコマを復帰させなければいけません。
  上の図であれば、1〜5の目で復帰できますが、
  6のところには黒の壁があるのでそこには復帰できません。
  最悪なのはここで6のゾロ目がでてしまうと、
  はじき出されたコマは復帰できません。
  復帰の条件が満たされない以上、他のコマを動かすことはできないので
  この場合出目を放棄してパスとなります。
  出目に対して対応できない場合は全てパスとなります。
  (1つの出目だけでも対応できれば、もう1つの出目だけパスという場合もあります)
  なのでもし、赤がはじき出されていてNO.1〜6に黒の壁が築かれていたとしたら
  赤は何を出しても復帰できないコマがある以上、
  パスをしつづけることになりかなり不利な展開になります。


  こうして相手のコマを有効的攻撃して追い出して優位進めたいですが
  逆に自分もその危険にさらされないようにしなければいけません。
  つまり、コマ1つの単独行動は相手にスキを与えることになります。
  ラスト1個で上がりでも、そのコマがはじきだされ、
  かつ相手が途中に強力な壁を築いていたとしたら、
  完全に形成逆転となります。
  なので理想はニコイチ以上で前進していくのがいいのですが、
  そううまくはいきませんから、時にはリスクを冒す必要もあります。
  その場合はサイコロの出目の確率を読んで、
  リスクの少ない方法を見出していかないといけません。


⑤全てのコマがホームボードに入った時点で、ゴールへコマを進められる
  ただ単に1つのコマをゴールまで進められるというわけではありません。
  ゴールへの扉は全てのコマがホームボードに入った時点で開かれます。
  赤ならNO.19〜NO.24、黒ならNO.1〜NO.6の間に全てのコマが入った時点で
  次回から出目に応じてゴールへコマを進められます。
  1つでもスタート位置でグズグズしていてはいけません。
  運悪くヒットされて振り出しに戻されてしまうのはぜひ避けたい。


⑥ゲーム倍率について
 通常1ゲーム勝てば1ポイントをゲットできます。
 もし相手のコマが一つもゴールにたどり着かずに完勝した場合は、
 3ポイントが加算されます(ギャモン勝ち)
 それ以外に、ゲーム中の進行具合によって倍率を上げることができます。
  上の図のセンターに64というサイコロがありますが、
 これはゲームの倍率を決めるものです。
 通常の場合は0の意味で64を向けていますが、2⇒4⇒8⇒16⇒32⇒64と
 ゲームレートを上げることができます。
 なぜこんなものがあるかというと、
 試合途中で確率的に明らかに勝敗が決まっている状況が発生した場合に
 さっさとそのゲームを確定して次のゲームに移行するためです。
 簡単に言うと、麻雀のリーチみたいな役割。
 試合途中で明らかに有利で相手に降伏を迫る場合にレート上げたりしますが
 相手がまだわずかな確率に賭けてくる場合はさらにレートを上げ返したりします。
 総ゲーム数のポイントで不利な場合に追いあげを図ったりという場合もあります。
 

戦略的にどういう布陣で臨むのか、サイコロの出目の確率はどうか、
個別のシチュエーションでどう対応するかなどケーススタディも色々ありますが
実践を積んで、嗅覚を磨くのが一番なので、
興味ある方はぜひやってみてください。