記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

和歌山山岳練

週の頭からぱしゃ君から週末走りに行きたいという熱烈なオファー。
早朝出発が苦手なぱしゃ君のことを考えて、7:00出発にして、
無理のない時間帯と考えると200km程度で複数のコースをプレゼン。
その中から以前紹介した”和歌山のラルプ・デュエズ”に行ってみたいとのこと。
提案した中では一番キツいコースなので
獲得標高等も伝えて大丈夫かと確認をしたら「行く!」ということなので
珍しく山岳練とあいなりました。
和歌山までは無理せず行きたかったが、堺で加太に向かうローディー集団に遭遇し、
そこからおのずと強度が上がる。
目的地までも御ノ山峠、矢田峠、海南高原とよりどり上りの応酬で、
メインディッシュの千葉山は、やっぱり素晴らしいコースだったが、かなり消耗。
ぱしゃ君史上1日での最高獲得標高をマークし、彼曰く今までで最も過酷なライドでした。
彼にとってはエポックメイキング的なライドになったと思います。
自分もひっさびさ余力なしで出し切った感じです。
それでもあの上りが苦手で嫌いなぱしゃ君は、
全部合算したら累計30km分の渡る上りを一度も足つきせずに上りきったからエライ!
ロングというよりももはや練でした。



<本日のルート>
天六天満橋筋谷町筋天王寺あべの筋⇒大和橋⇒R26⇒大浜北町⇒府道34号⇒
石津⇒府道204号⇒泉佐野府道63号⇒双子池北⇒岡中西⇒和泉鳥取府道64号⇒
御ノ山峠⇒川辺橋⇒布施屋⇒県道9号⇒矢田峠⇒伊太祈曾⇒県道160号⇒
海南高原TT(仮)⇒有田東急GC⇒有田川ウィンドファーム⇒県道159号⇒藤並⇒
R42⇒湯浅(オークにて昼食)⇒R42⇒県道22号⇒県道159号⇒千葉山TT(26:40)⇒
県道159号⇒下津⇒県道165号⇒小南⇒R42⇒海南⇒国体道路和歌山駅⇒中ノ島⇒
紀ノ川堰堤⇒県道134号⇒御ノ山峠⇒府道63号⇒泉佐野府道204号⇒石津⇒
府道34号⇒大浜北町⇒R26⇒阪神高速堺線高架下⇒あみだ池筋⇒帰宅


走行距離:224.77km
獲得標高:2002m
TOTAL:4494.69km



ライドの記事はさておいて、ちょっとマジメな余談。
記事を読んだ人のなかには、事故の一件があったのだから少しロングを控えたらどうか、
反省の色が見えないと言われるかもしれません。
そういう意見が出てもおかしくないということは理解はできますが、
自分はその意見には賛成しません。
ロングを自粛するとか、走りの強度・程度を下げる、
あるいは活動規模を縮小するなどしたところで、
問題の解決にはならないどころか、解決を先延ばしするだけです。
まして、単にホトボリが冷めるまで大人しくしていようというのは、
自分は責任ある行動とは思いません。
そもそも我々は”走る”ためにこそ集まったのだから、
走らないという選択肢は全くのナンセンスだと思います。
走ることに問題が生じたのなら走りの中で解決を図るというのが本来だと思います。
今すべきことは、事故が生じた問題を直視し、検証し、
次に同じようなシチュエーションを迎えた時に、
適切な対応を取って事故を防げるかどうか。
その対策をメンバー同士で共有して、チームとして事故を防ぐ体制を作ること。
そのようにして、いまだロング魂を熱く燃やしているドルクス君が、
いつ復帰しても万全の体制で迎えられるように環境整備をしておくことだと思います。


とか何とか、えらそうなこと言って、単に走りたいだけでしょと思うかもしれませんが、
むしろ自分は、あの一件以降、ささいな事故やトラブルでも絶対に起こせないという、
全く当たり前のことが、当り前ではなく、
具体的なプレッシャーとして大きくのしかかっていたりします。
正直、走りたいという気持ちと走りたくないという気持ちの半々くらいです。
そのプレッシャーを抱えつつ、あえて今回強度高めの展開をして、
終盤、同じく疲労し夜間走行の状況になってから、
ぱしゃ君とどうしたら安全なライドができるかをアイデアを出し合って、
実践しながら帰ってきました。今回のライドのキモはまさにこれでした。
検証をまだ提示できていませんが、
一見すると、個々メンバーの実力不足とか、長距離による疲労とか、焦りとか、
そういう安易な結論になりがちですが、
それは事故の本質を逆に見えなくしてしまうことになります。
実際それらも直接的間接的な要因には違いないのですが、
問題点は複合的で単純に割り切れるものではありませんし、
自分が色々と検証した結果、
事故の最大の要因は、「チームとして集団走行のスキルが低かったこと」、
「個々メンバーの夜間走行の不慣れ」の2つが最大要因だと考えています。
またそれに加えて、その2点に関して、ちょっと安易だったという油断と慢心です。
ということで、その2点を重点に色々試しながらの、今回残り50kmのナイトランでした。


色々試したり意見をしたりしましたが、大きな効果としては2つありました。
まずは夜間走行時における速度制限。
本当は追い風だし、早く帰りたいので40kmオーバーで帰ることも可能でしたが、
ナイトランとなって前方が不明瞭な状況で、
前方でトラブルが生じた際に緊急停止やとっさの回避行動ができるだけのゆとりをとるため、
夜間に入ったらMAX33kmと速度制限をしました。
その速度だと、無理に前の人にベタつきをしなくても維持できる速度なので、
前の人との車間をいつもより少し長めにとることができ不測の事態に備えられる。
また、例えばクリートがうまくはまらずに前の人から離れてしまっても、
32kmで走っていると分かれば追いつく計算もつくし、少々上げてすぐに追いつける。
強度の強い弱いの問題ではなく、目安をしっかり作ることで
余計な不安材料を減らすことが肝要。
速すぎてもいけないし、遅すぎてもいけない。
状況やメンバーによって柔軟に設定することが大事。
それからポジションの固定。
例えば補給ポイントから次の補給ポイントまで、
夜間に関しては番手の上げ下げをしない。
ころころと番手が変わると、当然トレイン内での役割もコロコロ変わってしまいます。
互いにしのぎを削ってレースしているわけではないので、
余計な気を回さなくて済むようにして、その分、注意を他に向けることができる。
また余力のあるものが先頭か最後尾、ケアの必要なものは中としておけば、
誰が疲れていてウォッチすべきか考えずともわかる。
それから補給に入ったら、そこまでの区間でどこが危なかったぞとか、
あれはナイス判断だたっとか、しっかりとコミュニケーションをとる。
会話の中で、意外と当人は危険に気付いてなかったり、
無意識でやっていたりというのも結構あり、
そういう1つ1つのケーススタディを共有することで、
集団走行、ナイトラン、ロングライドの経験値を個人としてもチームとしても上げていく、
これが一番重要だと思いました。


ただ、ここまで色々検証と実践をしてみましたが、
これがそのままどんな場合でも活かせるかというとそうではありません。
今回は2人組、しかもどちらも他のローディーに比べてナイトランの経験値が相当高く、
コンビネーションもツーカーのコンビです。
組んだ経験が浅いパーティーであればもっと慎重になるべきです。
車間を取ったほうがいいと言っても、それが4人5人になると、
隊列が無駄に伸びて別の危険が生まれたりもします。
特に個人的には、ソロよりもパーティーの方がリスクは格段に高い、
構成人数が増えるほどケアしなければならない要因が増え、注意が必要だと考えています。
自分もソロロングライドは慣れていますが、
集団を率いてロングとなると、全くの別物。
大成功だったフレッシュも含めてその難しさを痛感しているところです。
こういうのは実際に走って、考えて、実践することでしか学べないことだと思います。
安全性の向上というものを模索しながら、これからも走っていきたいと思います。