記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

不屈の2・4落とし (広河原〜大樺沢〜八本歯コル〜間ノ岳〜北岳山荘〜北岳〜草滑り〜広河原)

週末、宣言通り意を決して突っ込む。
初の南アルプスへ。
自分の撤退ラインを大きく上回る悪天候に見舞われながら、
1日目に標高国内第4位の間ノ岳、2日目に国内第2位の北岳を落とす。
本当はピークを落とすことよりも、日本一高い3000mの稜線歩きと、
朝焼けの雲海に浮かぶ富士山の姿を楽しみにしていたのだが、
5m先も視界が望めない、ふもとから上がってくるすさまじい雨と風。
自分史上最大級のバッドコンディションの中、
ハードは梯子と岩場の連続する悪路を集中を切らさず歩き切った。
特に2日目の序盤、北岳山荘〜北岳〜肩の小屋の1時間半は、
自分の持ちうるすべてをつぎ込み、緊張感と集中力を発揮した。
悪天候悪天候で残念だったが、それそれでとても充実した山行だった。
今とても達成感を感じている。
肝心の絶景はお預けとなったが、また次回必ず訪れたいと思う。
山は逃げない。


↓日本第4位標高3189mの間ノ岳


↓日本第2位標高3193mの北岳


事前予報は2日とも雨。
目的地の変更を検討したり色々考えたが、
やはりどうしても登りたいという純粋な願望が優先した。
1日目の午前、2日目の昼からは晴れ間の可能性がありそれに一縷の望みを託す。
無理ならおとなしく撤退…するはずもなく、
最初から退路を断つため肩の小屋ではなく北岳山荘泊のプラン。
つまり、北岳だけ登るなら手前の肩の小屋の方がリスクははるかに少ない。
北岳山荘まで足を伸ばすということはつまり、間ノ岳を落とさないとその意味がなくなる。
そしてそちらに宿をとるということはおのずと復路に北岳を越えていかねばならない。
あとは度胸試しである。


1日目、厳しい斜度が続く大樺沢をしぶとく登っていく。
登り始めの2時間を過ぎて、早くも深い霧に覆われ、
大樺沢を抜け八本歯のコルからは完全な大雨。
梯子や岩場の連続する厳しいルートは濡れて難易度が増す。
間ノ岳を落とすにはそちらへ直行しないと時間切れとなるため、
一旦北岳をスルーし翌日に回す。
なかなかにスリリングなエスケープルートをたどり北岳山荘着が12時ごろ。
間ノ岳を往復するにはギリギリのタイミング。
全くの視界不良に激しい風にさらされた日本一高い稜線をただ一人。
恐怖心と孤独に耐えながら見事乗りきり、登頂成功。


2日目。昨晩から小屋全体が唸るような雨と風。
オリンピック開催地の速報を見届けて、決意の撤退戦。
山全体が激しい風の巣となり唸り声をあげている。
そして上から下から横から叩きつける雨のつぶて。
そのなか岩の砦である北岳を落とす。
これ以上ないだろうという悪天候の中、
しかも日本で二番目に高い山上での孤独な戦い。
身を隠す場所も逃げ場もない、ただこの山を越えていかねば家にたどり着けない。
1つ1つの動作を丁寧に丁寧に、集中を切らさずに全力を出し、
ついに北岳を落とす。眺望は一切なし。
妥協のない雨と風に写真1に枚撮っただけで即撤退。
小太郎尾根分岐点で稜線から降り安全圏に入ったときの安堵と言ったらもう。
当初考えていた、のんきな絶景歩きは、
一転して自分の限界にチャレンジするような激しいものに変わってしまったが、
それに打ち勝てたことで、また少し自信がついた。
詳細はまたおいおい。


↓キツい大樺沢左俣ルート。後ろは百名山鳳凰三山


↓なかなかのアトラクションルート♪


<9/6>
18:40新大阪発⇒ひかり480号⇒19:33名古屋19:40⇒ワイドビューしなの25号⇒
21:37塩尻22:26⇒中央本線⇒23:52甲府駅
甲府駅にて野宿


<9/7>
4:20甲府駅南アルプス登山バス⇒6:11広河原6:45入山開始
8:30大樺沢二俣9:45⇒10:00八本歯のコル⇒10:30エスケープルート⇒
12:15北岳山荘12:45⇒中白根山13:15⇒14:05間ノ岳14:25⇒16:00北岳山荘


<9/8>
5:45北岳山荘発⇒7:00北岳登頂⇒7:30肩の小屋⇒8:00小太郎尾根分岐⇒
草すべり⇒9:05白根御池小屋9:20⇒10:20広河原
12:45広河原発南アルプス登山バス⇒14:40甲府駅14:47⇒中央本線
16:35塩尻17:03⇒ワイドビューしなの20号⇒19:05名古屋19:12⇒のぞみ⇒20:06新大阪