記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

絵描き 『青春交差点(鴨川デルタ)』

↓『青春交差点(鴨川デルタ)』

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ここ1週間くらい、おそらく高校生以来ぶりに、

色塗りの絵描きをしていました。

いつもはお遊び兼お近づきのしるしとして

似顔絵を鉛筆1本で描いていましたが、

なんだかいろいろな刺激を受け、

色塗りの絵も描いてみたいとチャレンジ。

 

といっても、絵の具の種類とかキャンバスの大きさとか、

筆はどれ使ったらいいのかとか、基本的なことすらよくわからず、

とりあえず油絵具は手間がかかりそうだし、どうしようか。

ひょっとして面白いかもと、

スリマッカのシルクスクリーンはどうかとも思って

レトロのしんご君にも相談してみたが、

乾きが悪いのとコスト高というので断念。

それならもうアクリルが一番ベターかなという事で、

一通りの画材をそろえる。

キャンバスはあんまり大きすぎると邪魔なのでP4から描いてみる。

 

元々、鉛筆1pで風景が専門だったので、

やっぱり描くなら風景だろうと、

一番最初に書いてみたい風景を思い浮かべて出てきたのが

鴨川デルタでした。

ベタと言えばベタですが、

やはり自分の中でなじみのある方が初めてには最適かと。

 

まずは、鉛筆で下書きをしていきます。

色を塗れば潰れてしまうので、

あまり精密に書き込む必要もないのかもしれませんが、

構図の感覚をつかみたいのでそれなりに。

キャンバスの布地に鉛筆を走らせるのもずいぶん久しいので新鮮。

 

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一通り描けたら、いざ色塗り。

全然塗り方もよくわかってないのだけど、

シルクスクリーンで版を分ける感じ、

あるいは近い色ごとにレイヤーを設けるような要領で、

まずはグリーン系をペタペタと。

濃い⇒薄い、なのか、薄い⇒濃いの順がいいのかよくわからないけど、

理屈的には、モノは一番表層に表れている部分が

一番光が当たって明るいはずなので、

濃いものからじゅんぐりに塗っては乾かし、

徐々に薄めの色に展開していく。

 

最初、できるだけ写実的にリアルに描き進めていたのだけど、

モノクロと違って、色がつくと、自分には情報量が多すぎて、

違和感で酔ってしまうような感覚を覚える。

どちらかというと、

ぼんやりと頭の中で思い浮かべるくらいの不明瞭さ?

隙のある感じがあった方が、いいんじゃないだろうか。

写真のような写実に向かうよりも、

むしろファンタジー的な感じ?

絵本の挿絵のようなものの方が、よいのかも?

んん~わからない!!

このあたり、どういうタッチが自分らしいのか、

全然固まっておらず、

あれこれ作業をしては立ち止まって、

自分の気持ちよく見られる方へと進んでいった結果、

徐々に感じをつかんで、

あまり精密に塗りこめていくというよりも、

フリーに筆を走らせていく方が心地よいということがわかってきた。

 

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グリーンが終わったら、今度はブルー。

空を綺麗に塗り上げて、続いて川。

川は水の表現がとても難しい。

空を映し出すから青いけど、その下の地面の色やら影やらが混ざるから、

空と比較して少し濁らせたり。

川の感じを出そうと、グラデーションをつけたり、

色々と試行錯誤したけれど、ちょっと手数をかけすぎたかもしれない。

もっとシンプルにした方がよいのかもしれない。

これは今後の課題になりそう。

 

あとは後ろの北山を描くがあちらは遠いので、

糺の森の存在感よりも弱くして

濃淡をつけることで奥行きを出す。

そうこうしてようやく、背景はできあがってきた。

 

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この風景だけだと、なんだか殺風景で、

やはり鴨川デルタは人の憩いの場だから、

人の集いを描かないわけにはいかない。

学生さん、犬の散歩中の人、会社員、色々な人がここに立ち寄って、

ひと時を味わう、それが表現てきたらいいなあと。

あれこれ書いていると、

なんだか可愛らしい絵本の世界のようになってきました。

 

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あとは色々と手直しをちょこちょことやって、

1週間くらいで完成!!

いやあ、面白いものに集中し時間はあっという間でした。

楽しかった!!

 

20年ぶりくらいに、色を塗って絵を描きましたが、

思いつきのまま書き始め、色を塗っていったので、

自分がどんな色を作って、

どう塗分けていくのかもわからないままで、

塗り終わって初めて、

ああ自分はこういう色を好むのだなと気付くくらいで、

とっても新鮮でした。

よくよく考えれば、色をチョイスする場合(例えば山道具やロードバイク等)、

自分はできるだけカラフルなものを好む傾向なので、

そういうのが絵にも表れているのかなあと思います。

 

そして、ディテールにとことんこだわって、

細部をどんどん描きこんで、

精密に写実的に表現するということも

もちろんとても高度な技術を要する難しいことなのですが、

逆にディテールを省いて省いて、

どうにかこうにかそのもののエッセンスだけを残して

具体が抽象をどうにか飛び越えないくらいで寸止めするようにして、

絵を見る人がはっきり何を描いているのかは理解できつつも、

ディテールの部分については、

その見る人が頭の中のイマジネーションを使って補うくらいのもの、

を表現する描き方がどれほどに難しいかというのも痛感しました。

自分は音楽もやりますが、その作り方にも通底していて、

要はあれもこれも、やろうと思えばいくらでも

増やして塗り固めてできるものを、

余分をそぎ落としていく引き算の手法が、

絵の世界でもまた有効なのだろうと思います。

正直、絵を見つめていると、

あそこが気になったり、ここをもうちょっと変えてみたり、

何か加えてみようかと、いくらでも続けられそうですが、

恐らく肝心なのは、あれもこれもを盛り込むのではなくて、

どこで筆を置くか、その”止めどころ”なのだろうと思います。

まるで写真のようにリアルすぎる絵よりも、

絵は絵として存在感がある方が味わいが出るような気がします。

そのちょうどいい落としどころは

これから見つけていかねばなりません。

 

技術的にはまだまだこれからだし、

ああしたいこうしたいは尽きないけど、

とにかく滅茶苦茶楽しんでできたので自分的には大満足。

また似顔絵描きとは違った新しい遊びを覚えてしまいました。

まだほんの1枚目でしかありませんが、

これからもちょくちょく描いていきたいと思います。