記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

思い出の動物園 ザグレブ動物園

思い出の動物園は実はもう一つとても思い出深いところがある。
2年ほど前に行ったクロアチアの首都ザグレブにある動物園だ。
緑深いすがすがしいとても大きな公園の一角にあるかわいらしい動物園。
動物はキリンとかそういったメインキャラはほとんどいなくて、
なぜか土に穴を掘るような種類の動物と鳥ばかり。
でもほのぼの雰囲気とこぢんまり加減が京都市動物園ととても似ていて、
おだやかな時間を過ごすことが出来た。


動物園自体の雰囲気も印象深かったが、
ここへ行く道中に大切な出会いがあった。
この動物園は観光エリアからは少し離れたところにあって、
しかも観光客があまり行くようなところではないので
日本で買ったガイドブックにも行き方が十分に書かれてない。
地図を頼りになんとかそっち方面へはトラムに乗っていかなければならないとわかり、
さっそくトラムの乗り場を探し当てる。
でも待てども待てどもトラムが来ない。
そして乗り場に来た人も妙な顔をしてその場を立ち去っていく…
これはなにかあるなと思い、乗り場のインフォメーションをみるが
英語案内はなく、クロアチア語などわかるわけはない。
何がどうなってるの?とワナワナしていると
一人の若い女性が近づいてきて「何しているの?」と声を掛けて来てくれた。
話を聞いてみるとどうもその日は線路の保全工事が急に入ったため
僕らが乗るべき路線の一部が営業を取りやめていたらしい。
どうしようかと悩んでいると、
その女性が「いいわ。私が動物園まで案内してあげるからついて来て」と歩きだした。
なんと親切なお方。
そのあと別の路線の乗り場まで結構歩いて無事トラムに乗る。


そこで片言英語ながらいろいろなお話をした。
彼女の名前はアナさん。とってもチャーミングな女性だった。
日本とクロアチアの生活の違いとか、ザグレブはとても美しい街だとか
色々話す。
そして海外旅行の必須アイテムのチェキ(ポラ)で2回記念撮影して
1枚を彼女に受け取ってもらう。


最寄りの駅に着いて、そこから本来の最寄駅まで歩く。
すると朝市で買い込んだ土産やらなんやらを入れたビニール袋が
重みに耐えかねて破れてしまう。
困った〜となって、リュックに荷物を詰め替えようとすると、
彼女がそれを見て近くの売店みたいなところに駆け込んで
新しい袋を買ってくれたのだ!
「旅行の時はいろいろと大変でしょう」だって。
本当に本当になんて親切なんだろう。


駅に着いて動物園までの道のりを聞いて、
すぐアナさんは別のトラムに乗っていってしまった。
もっともっとお話をしていたかったし、なによりお礼をしたかったなあ。
でも地元の人とお話をしたり、ふれあいってなんてすばらしいんだろうな。
とても心に残る出来事だった。


それにしてもザグレブという街はとても美しくて、すばらしい場所だった。
町全体が大学のキャンバスみたいにおだやかでなごめるのだ。
開発が進んだ西側諸国と違って、まだヨーロッパの古き良き面影が残る街並みで、ただ歩いているだけで楽しかった。
今まで行った街の中で一番のお気に入り。また行きたいなあ。