記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

エヴァンゲリオン「破」

ちょっと前に、トメとエヴァを観にいった。
僕らの世代のど真ん中はガンダムではなくエヴァ
当時高校2年〜3年というナーバスな年ごろだったし、
20世紀の終わりで終末論的なイメージが時代によくあっていたころだった。
確かに去年あたりから当時の社会情勢と似たような空気はあるので
イムリーなエヴァ再開かもしれない。


TV版の初回からかかさず見ていた筋金入りとしては、
最近の再ブームで初めてエヴァに触れた若い人とは思い入れが違う。
なにしろ、TV版のエンディングの陳腐さに心底がっかりし、
映画版で物語の始末の付け方に再トライして、
またもや期待を裏切られ、そのまま放置されて10年。
満を持して、庵野監督が、誰もが納得のいくフィナーレに向けて動き出したのだ。
今回こそちゃんと成仏させてくれよ!という気持ちがものすごくある。
3度目の正直!


物語の大筋はオリジンを踏襲しているとはいえ(といっても元々あってないような筋だが)、
変更や修正がかなり見られた。


一番大きな変化はアスカの役割だろう。
新キャラの登場などで一番煽りをくって、明らかに格下げとなっている。
TV版では、シンジ・アスカ・レイの3人がメインを張って、3人のバランスが取れていた。
しかも前回の映画版ではレイの存在はもっと物語の大きな部分に吸収され、
「しんじ=アスカ」の構図でのフィナーレだったことから考えても
アスカの役割がぐっと弱まったことは間違いない。
もしかして、宮村優子があまり仕事したくないモードで出番減らしたか?などと考えてしまう。
冗談はさておき、本来の「しんじ=レイ」の形でしっかりと物語を完結させる布石なのだろう。


逆にTV版では完全な脇役で出番が少なかった加持の存在感がぐっと増した。
中心人物とは一線を置いている加持に、俯瞰的に大局を語らせる役回りを与えたことで
これまで見えてこなかった物語の核心がよりわかりやすくなったと思う。
一つ笑えたのは、同じような役回りでかつ同じ声優(山寺さん)なので
攻殻機動隊のトグサとどうしてもオーバーラップしてしまうのだが、
攻機の名台詞のひとつ「給料分は働いてもらう」という台詞を加持に言わせているところ。
これって、攻機が精巧な理論に裏打ちされた納得のいく世界観を作り出していることに対する
庵野の嫉妬?なんて勘ぐってしまった。


いずれにせよ2人の役回りの変更から読み取れるのは、
ファンが一番納得したい部分、「人類補完計画」って結局何やねん?」って部分について、
これまでのようにあれこれとごまかさず説明しようという意思表示なのではないかということ。
大モトの設定があやふやでは話を完結させるなど無理な話だ。
終わらせ方がわからずに、シンジよろしく逃げ出してから10年あったわけだからね庵野さん。
映画の3/4はまるで自己パロディーなカンジで、お色気モード全開だったので、
ちゃんと終わらせる気があんのかいなとも思ったが、
ラスト20分で急に本気モードになったので、次回に期待するしかない。


そして新キャラ。なんじゃいな?あれは?
アスカの出番を削ってまで出すべき新キャラなのだろうかあ?
時代に流されてるとしか思えん。


あとは新しい筋書きで一番救われたトウジにオメデトウ。
やっぱり民間人を巻き込んじゃいかんよね。
アスカがああいう形で悲劇になるのは残念だが、話の筋としてはオリジンよりも納得がいく。
次の予告ではアスカの姿があったし、このままアスカがフェードアウトするわけではないし。


なんにしても、フィナーレまで残された時間はあとわずか。
そこまでの道筋としての「破」は、単なる焼き増しでしかない「序」と比べても
クオリティは高く、楽しめた。いよいよ次回!


↓予習・復習は大事です

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