記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

「パブリック・エネミーズ」

2010年1本目のロードショー。
年末から行こう行こうと思っていた「パブリック・エネミーズ」。
やっと行けた。
初監督作「ブレイブ」が興行的に大コケして、負債を返すため
大作に出るようになって以来、J・デップの作品はとんとごぶさただったが、
今回は何よりマイケル・マン監督だし、C・ベイルと共演だし、
面白くないわけがない、かっこよくないわけがない。


ティム・バートン作中の役や、J・スパロウの時の雰囲気よりも
アリゾナドリーム」や「デッドマン」の遊んでない正統派のデップが好きなので
今回もバッチリ決まっててかっこよかった。
自身、幼少の頃からヒーローとして崇拝していたデリンジャーがのり移っているようだ。
どこか陰のあるアウトローやらせたらピカイチだなあ。
対するベールの方も、得体の知れない重圧に押しつぶされながら、
冷徹に任務を遂行する様が決まってた。
この人も心理的に追い詰められた人間を演じさせたらうまい。
思いがけずうれしかったのは、ほんのチョイ役だったけど、
アリゾナドリーム」でJ・デップと共演していたリリ・テイラーが出てたこと。
最近見ないなあと思っていたので。


作品全体として闇をまとっている感じでとてもよかった。
ムーディーなコンチネンタルJAZZの使い方がバツグンだし、
役者が纏う厚手のコートや、存在感のあるフォード、マシンガン、そして闇夜、
それらの黒が目に焼きついて、とても雰囲気が出てた。
中盤、隠れ家襲撃のドンパチシーン、最後ネルソンが蜂の巣にされるとかすごくよかった。
さすがマイケル・マンという感じ。


一つ注文をつけるとラストが残念だった。
「ヒート」にしても「コラテラル」にしてもマイケル・マン監督作は
ラストはいつもあっさりとした幕引きなんだけど、
それが意外とドライな印象で、殺伐とした話をしめるにはよかったけど。
今回は、デリンジャーが射殺されるクライマックスのシーンにあまりに緊迫感がなく、
あっさりと撃たれてお終いだったのが何ともムードがなかった。
え?もうお終いと肩透かしを食らった印象だった。
確かに史実としてはそうだったんだろうけど。
「赤いドレスの女」として映画にもなった密告者アンナの役回り・出番が少なすぎたから
ラストにいたる部分に緊迫感が出せなかったんだと思う。
まあ話の大筋は、恋人とのロマンスであったり、
追いかけるパーヴィス捜査官とのかけひきなので仕方がないが。


それにしてもデップとベール、かっこよすぎます。