記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

2011 BRM226 関西200km 泉佐野〜榛原〜泉佐野 地獄の復路編

榛原ローソンでは補給にざるそばと草もち、それから本日3本目のキレートレモン。
本コース最大の難所、忍阪をやっつけたという安心感と、
次の住川町ローソンまでの区間は、距離も短く、アップダウンも少ないということで
意気揚々と再出発。


スタッフさんにご苦労様と挨拶をして、裏忍阪の緩いのぼりをえっちらと上がっていく。
反対側からは次々と後続のローディーが折り返し地点へ向かっていく。
一人一人に「お疲れさまです!」と声をかける。みんな手を振ったり、声を返してくれたり。
そういうのがブルベでは楽しい。
トップまで上がってきて今度は下り。上ってくる同士達に「ガンバレ!」とエールを送る。
こちらも長い下りで、風が舞っているので慎重に下る。
途中で大型トラックに抜かれた時に煽られてめちゃ怖かった。
順調に飛鳥までは順調順調。
この辺ではブルベ以外の地元ローディーさんも多く、特に女性ローディーさんが多い。
そこから壷阪山のエスケープルートを走る。


正規ルートに戻る手前のちょっとした上りで左足に違和感。ん?なんか膝がおかしい?
正規ルートに戻り、まわしてみるが、回転の途中で膝のところがカックンカックンする?
いや、太ももが痛い?これは疲労?怪我?よくわからないが、まだ小さな痛み。
鈴鹿でも護摩練でもガンガンに足が痛くなることはあったし、
だからといって怪我とかどうのってこともない。ということで最初はそんなに気にもとめず。
県道133号に入って、集落のところで木馬の大集団と遭遇。
どなたかが気付いてくれたようですが、一瞬の出来事でした。
徐々に左足の違和感が嫌〜な感じ。
段々一定テンポで指すような痛みが襲ってくる。
しきりに太ももを揉んだり、膝をさすってみたりするが、効果なく、
どこを痛めてしまったのか確認しても、とにかく左脚全体がものすごく痛くなってきてわからない。
途中からYさんに前を曳いてもらいつつ、少しでも体力回復に努める。
とりあえずテクノパークまでの上りさえこなしたら、下ってすぐがCP。
ちょっとの我慢ちょっとの我慢と、上っていくが、
この時点で強く踏み込むと強い痛みが走るので、無理できず、ずるずると上りで後退。
Yさんには、下ってドンツキの交差点のローソンがCPと叫んでお知らせして、遅れる。
下りでは回さずに脚を休め、なんとかCPに駆け込む。


住川のローソンでは休憩時間を長めに取る。
補給もしたかったが、足が痛いと何十倍も疲れるのか食べ物が通らないのでここではC1000だけ。
この類本日4本目です。
ストレッチを入念にしながら、あちこち左足をチェックするが、膝も痛いし、太ももも痛い。
この時点では、肉離れでも起こしたのだろうと思ってました。
肉離れだったらそんなに深刻じゃないし、少し休ませて熱を取って、
無理せず走れば完走はできるだろう。序盤で大分時間を稼いだので気分的にはまだ余裕だった。
CPのスタッフさんとPBPについて話が盛り上がる。今年は日本人枠で200人確保したらしい。
ああ、いつかは憧れのフランスの地を走ってみたい。

あまりYさんの足を引っ張ってもいけないし、休んでいると体が冷えてしまうので
意を決してリスタート。
リスタート後はしばらく下りなのだが、すでに軽く回しても痛い。
R24は交通量が多いので、できるだけ回してさっさと切り抜けたいのだが、
回すたびに左足が悲鳴を上げる。休憩した直後でこの状況はかなりやばい。
本陣交差点で左折し、紀ノ川を越える橋の上りに入って、いきなり激痛が襲う。
しばらく回してみるが、ああこれは脚が壊れると思って、クリートをはずし、片足ペダル。
ほんの少しだけ我慢して、五條病院前を通過し、丹原交差点。
もうわずかでも左足を曲げ伸ばしするだけでハンパない痛み。
ここで右折すれば、紀ノ川沿いなので次のCPまで基本的に一本道でYさんも迷わないはず。
ちょうど赤信号で小休憩となり、ここでもう脚がヤバイので、後はお一人で行ってくださいと告げる。
この時点ではもう90%リタイアするつもりでした。というかこんな状況で走るの無理です。
ですが、Yさんがあともう70kmだし、曳きますんで行けるところまでいきましょうと励ましてくれるし、
ここでリタイアしても、自力で帰るには中途半端すぎる。
とにかく片足ペダルでも14〜15kmは出るし、
休みを入れても根気強く行けば制限時間までには完走できる。
無茶は無茶だが、とりあえずゆっくりでも前に進むことを選択する。
Yさんの曳きでゆっくりとリスタート。
右足1本のイメージで右に重心をかけて回し、左足は惰性にする、上半身で押す、
あるいは完全な片足ペダルに切り替える、ゆっくりとしたダンシングをする、
下りや平坦では一回の大回しで勢いをつけたらしばらくペダリングしないなど
痛みを避けるありとあらゆる手段を講じながら、ペースを落として進む。
幸い、帰路は若干ながらの追い風だったのと、五條⇒橋本の区間は下り基調だったのでよかった。
ただ、ときどき路面が粗いところがあって、バウンドするたびに稲妻のような痛みが左足に走り
そのたびに悶絶。地獄です。
無になれ、お前は無だと念じながら、Yさんの後輪から目を離さずに集中して進む。
そしてとにもかくにも橋本までたどり着く。
もしリタイアするなら、ここから南海に乗れるので大分スムーズ。
かなり気持ちが揺らいだのだが、
目の前で黙々と自分のペースに合わせて曳いてくれるYさんの背中を見てたら、
ここでリタイアするのが申し訳なくて何が何でも完走するんだという気持ちになり、
次の日歩けなくてもいいから、とりあえずゴールまで脚もってくれればいいと、観念する。


橋本〜紀ノ川までは正直痛みに耐えるので必死であんまり覚えてない。
4つある上り、つまり九度山粉河・竹房橋・船戸では気が遠くなる感じだった。
のぼりだけはどうしても片足では上りきれず、斜度によってはダンシングを挟まざるをえず、
ゆっくりペースで上っても、痛くて痛くて、左足が悲鳴をあげまくりでした。
その度にトップでYさんが待っていてくれるので、あそこまでは行こうと勇気付けられました。
当然景色とかそんなものは目に入らず(ちゃんと安全確認はしてたと思うが)、
それしか覚えてません。
そしてなんとか最後の通過チェックの大垣内のローソンに到着。
痛みに耐えることのエネルギー消耗と、いつもと違う走り方をしたので最後はハンガー気味。
最後の大物、御ノ山峠を前にがっつりと補給。
アイスココアにキャラメル味のクレープ、草もちに、おにぎり、そしてまたまた登場C1000タケダ。
今日5本目。


なんだかんだと痛みに耐えながら残り25kmまでやってきた。
あとは御ノ山峠、あそこさえ越えれば完走間違いなし。かなり希望が見えてきたぞ。
もう自分はそこにすがるしかない。
木馬のH川さんが到着したのと入れ違いに、リスタート。
補給したのが効いたのか、単に痛みに対していよいよ麻痺してきたのか、少しマシになる。
山口の集落からラスボスにとりかかる。
Yさんは「トップで待ってますから」と一言言い置いて、自分のペースで上がっていく。
自分は無理せずに痛みと共に上がっていく。
いよいよ阪和道の赤い陸橋が見えてきて、斜度のキツイヘアピン区間に突入。
もうここは泣き言言ってられないので、覚悟のダンシング。
ダンシングも攻めの方ではなく、脚休めのダンシングだと痛みは我慢できないほどではない。
上半身と右足を意識して、トップまでひたすらダンシング。
左足がなくたって俺はまだまだやれるぜ!と変なスイッチが入る。
トップで待っていただいたYさんに、今停まったらもう無理なのでこのまま行きますと言って
先頭交代し、フンガフンガいいながら、痛みを無視して下りに突入。
痛みに負けてたまるか、やってやるぜと、最後は意地と根性で曳きました。(アホ)
そして岡中西でいよいよ海岸通に突入。途中まで曳いてましたが、
途中からYさんが曳きますと行っていただき、向かい風の中ゴールへ向かいます。
途中、最後の最後、2つある陸橋のうち1つ目の途中で、
強烈な痛みが左足に走って、あやうく転倒しかける。最後の最後まで油断したらあかへん。
でももうここで足が折れようが何しようが、押し歩きしてもあと1km。
最後は片足ペダルで温室に飛び込みゴール!ゴール!ゴール!
やった!やった!ついにやり遂げた!
今までブルベも含めて数々ロングランを走ってきたが、今までで一番苦しかった!
負けそうになったけど、負けなかった。何よりそれがうれしい。
そしてスタートからずっと一緒だったYさんには本当に感謝感激雨あられ
Yさんがいなかったらきっとリタイアしてたと思う。本当にありがとうございました。
そしてブルベの運営に携わっていただいたスタッフの皆さん、
一緒に同じコースを走りぬいた同士のみなさん、お疲れ様でした!
また3月の青山300kmでお会いしましょう!(懲りてない)


泉佐野にて終演


ゴール後、チェックを済まし、メダル用の1000円を払って完了。
スタッフさんから好きなカップ麺のとっていいよといわれ、みやげにする。
皆さんとお別れして駅へ向かう。
当然自走で帰るのはさすがにやめときます。
ダラダラと足をかばいながら輪行につめるが、足が痛すぎて全然進まない。
帰りはゼッタイに座りで帰りたいし、荷物が大きいので、贅沢してラピートで天下茶屋まで。
高架の南海のホームから地下の堺筋線のホームまでは、あまりの痛さに泣きそうでした。