記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

大なり小なりライド 大阪〜倉敷編

さあいよいよ未知なる領域に足を踏み出すチャレンジの時です。
去年からロング志向で色々な所へ行ったが、
今回はまさしくそれらの成果が試される大一番。
無謀な挑戦とは理解しつつ、行くと決めたら行くのです。
10日前くらいからルートラボで何度も何度もルートを曳いて、プランニング。
できるだけ交通量が少なくて快適なコースはないものか試行錯誤を繰り返す。
この作業も楽しい。
土曜日は奥さんが仕事なので帰宅するまでは出動できない。
ので土曜日の晩に出て、月曜日の早朝までかかる見込み。
このスタートだと困ったことが一つ。
関門海峡を渡る手段はいくつかあるが、そのどれもが22時まででおしまいなのだ。
なので、そのリミットまでにたどり着けなければ、朝の6時まで待機することになる。
が、何度プランを練ってみても、自分のスピードでは22時までに到底たどり着けない。
と、そこである人物の顔が思い浮かんだ。
去年山口の宇部に転勤で越して行ったあっちょである。
こないだの山口の出張でもニアミスで会えずじまいだったし、
せっかく近くを通過するのだから、待ちの間、1,2時間相手してもらうことにする。
宇部なら下関まで40kmの地点だし好都合。夜中に無駄に下関で待機するよりよっぽどいい。
ただあっちょには真夜中に家を抜けてきてもらわないといけないんだけど。
ならついでに、福岡まで行くんなら、これまた福岡に嫁いでいったマダムにも会いたい。
ということで当初の目標は博多に設定し、お二方に連絡を入れる。
アホか、正気かと散々言われました。今畜生、ゼッテー行ってやるけんネ!
あと、ぱしゃ君にも九州行きを告げると、
それなら神戸か明石くらいまで曳いたるわという申し出。
ただ方向音痴のぱしゃ君が確実に帰還できるのは神戸のメリケンパークまでなのだが、
せめて単純明快にR2一本で行ける明石までは行けるようになりたいとのことで
彼もまた未知の領域まで行ってソロで帰るという挑戦です。
それと11月に彼も自分とともに超ロングチャレンジを控えているので、
そのトレーニングの一環でもあります。
ということではからずも旧友を温めるライドと相成りそう。
遠い遠い道のりでも待っている人がいると思うと力になるものです。


マシンのメンテもしっかりやっておきます。木馬でバーテ交換とチューブ購入。
それからすっかりサボっていた洗車をすまし、オイル注入。そして肝心のホイール。
大台以降、ヒルクラTTコース制覇という目的もあって
ずっとフロントをイーストンのままにしていたが、久々にコスカボに戻す。
すっかりイーストンに慣れてしまっているので、
やはり漕ぎだしがぐ〜んと重く感じられるが、
結果的にはこちらのほうがよいだろうという判断。まああとで脚に来るだろうなあ。


あとは自身のコンディショニング。
季節の変わり目ですっかり絶不調。前の週は無理はせず早く寝て整えてきたのだが、
魔の悪いことに奥さんが土曜半ドンではなく、丸一日子守のため仮眠が取れず、
寝始めたのが20:30。とにかく10分でも20分でも目をつぶって休む。
すると悪いことに22時には出発しようと思っていたのに、いきなりの大雨。
ぱしゃ君からどうするのかという連絡が入り、
出発時間を遅らせて日付変わって0時ごろに延ばす。
福岡まで全く降られずに済むとは思っていないが、
このままDNSはくやしすぎると思いつつとにかく少しでも寝る。
23時に起床し、マシンをセッティングしたり、シャワーを浴びたり。
荷物は最小限、背ポッケに入る分のみ。
500km越えでもリュックは背負わない。
重量がかかるとそれだけ腰や背中に負担がかかるというのも当然あるが、
自分の場合は、背中に大量の汗をかくとアレルギー反応がひどくなってしまうため。
なので、背中の3ポケに、ケータイ、地図、ウィンブレ、キャップ、補給品、チューブ1本のみ。
今回は山深い補給ポイントの全くないエリアをずっと進むわけではないので
なんかあったら現地調達。それで十分です。


さてワアワア言うとりますが、そろそろ出発のお時間です。
雨はすでに上がっていて、路面も一部ウェットだが乾いているところもあるといった感じ。
気温は涼しいが、アームウォーマーをつけて走っていればそこそこ暑くなるだろう?
まずは集合時間までに速攻で梅田新道へ。
写真を撮っているひまもなく、すぐに待ち合わせ場所へ、ぱしゃ君と落ち合う。
ぱしゃ君はとりあえず自力で帰れそうな場所までということで
とりあえず明石を目指します。
淀川左岸でR2まで、そこからぱしゃ君の曳きで進みます。
ぱしゃ君も睡眠をとっていないらしく、なかなかキレがない。
天候が大きく変わったころなので、西からのアゲインストの風が思ったよりある。
最初から飛ばして疲労を蓄積したくないので、ここは無理せず30代前半のペースで進む。
いつもなら構わずペースを上げて無茶ブリしてくるパシャ君も
今日はしきりに後ろを確認しながらペースを調整してくれる。
そんなこんなで1:30にメリケンパークに到着。
週2,3神戸往復練をしているぱしゃ君御用達の自販機でしばし休憩。
さてここからはぱしゃ君にしっかりと帰れるように道を教えながら進む。
教えるといってもR2一本なんだけどね。
色々とニューマシンについてだったり、今後のライドについてしゃべりながら進む。
須磨水族館前の快走路で少しペースアップ。
ここからは海際で向かい風がきつくなってくる。
須磨駅を過ぎて、垂水までの区間は長いこと歩道と路肩の工事が続いていて、
片側通行区間が結構長く、こんな時間でも車が渋滞を引き起こしているので、
スパートをかけて一気に抜ける。
結構な向かい風の中ぱしゃ君が身を呈して引いてくれるのでありがたい。
垂水のあたりで、後ろから抜いていったバイクが
親指を立ててこちらにグッドラックの合図を送ってくれるので手を振り返す。
少し先の赤信号で合流すると、話しかけてきて、
どこへ行くのかと聞かれたので福岡とぱしゃ君がこたえるとちょっと引きながらも
がんばって!とエールを送られ、そのまま発進していきました。
そのうち明石海峡大橋をくぐり、狩口では左折せずにR2を直進。
しばらくして明石駅に到着。2:40。
ずっと前で曳き続けてくれたぱしゃ君をねぎらいながら3時まで休憩。
小腹がすいたので、おにぎりとカップヌードルで補給。
走っているうちはそうでもなかったが海際の向かい風ですっかりと体が冷えてしまった。
ここからは1人旅。まあ姫路までは勝手知ったる道だし、助走としてここまでとてもいい感じ。
それよりもぱしゃ君が果たして無事に家に帰れるかどうかの方が心配。
眠気もMAXのようだし、曳き続けで疲れているだろうし。
それでもここからは互いのチャレンジ、健闘を祈りながらお別れです。ありがとさん!
ちなみにぱしゃ君から無事に5時ごろに帰宅の一報。
これでソロでも明石までは行けるようになったね。チャレンジ成功!


↓明石にてぱしゃ君とお別れ。お疲れしたっ!


さてさて道のりはまだ果てしなく長い。まだ60kmしか進んでいません。
とりあえずそのままR2を西へ進む。
和坂で少し上って、小久保でR2を折れてR250に入る。
新幹線をくぐりバイパスをつっきて、あとはひたすら単調な幅広の道。
話し相手がいなくなって急に寂しい。
そして夜が更けていくにつれ冷え込みがまた一段と厳しさを増していきます。
冷たい空気がどんどん鼻から口から入ってくるので、喉がやられ、一気に発作が出る。
そして指切りグローブからむき出しの指がかじかんで仕方がない。
とりあえずクルクルと暖をとりながら快走路を進む。
道はいくつもバイパスが存在するが、側道を使う。
信号にかからなければタイムロスもなく上ったり下りたりせずにすむ。
播州大橋で加古川を渡る。しばらく進むと右手からR2バイパスが合流してきて、
高砂西ランプに突き当たる。
そこを左に折れてR250トレース。曽根で右折し天川を渡り、
的形の先で軽いヒルトップ越え。面倒なのでアウターでやっつける。
永世橋で市川を渡りいよいよ姫路市内。
市街地に入ったからが少しだけ寒さが和らぐ?
夢前橋を越えてなおも広々としたR250を進み、
網干大橋東詰で右折して、揖保川土手道である県道29号に入る。
王子橋で対岸に渡ろうかと考えたがそちらは山際で町の明かりがより少ないのでそのまま直進。
川が二分するところで左折し、さらにその先でできたての大橋を渡って対岸へ。
県道441号に入る。ようやく空が白み始めてきた。
どんつきの浦部のT字路を右折し、軽く上りをこなして、竜野駅前のサンクスで休憩。
あまりに寒いので暖かい缶コーヒーとチョコバーで休憩。
寒さで発作が止まらないのでちょっと長めの停止になってしまった。
でももう日の出はもうすぐ。デンジャラスタイムはもうじき終わる。
リスタートしてJRをまたいでR2に出ることはなく、
竜野駅前から交通量の全くない一般道(山陽道)で西進。
裏道で向陽台に入り、新境橋で県道64号に入る。
ようやくライトが必要ないくらいまで明るくなってきたが暖かくなるのはもうしばらく先。
ドンツキのポート公園前で右折してR250に復帰。
夜明けの放射冷却で澄んだ空気の中にたたずむ白龍城を横目に、
本ライド一発目の本格的な峠越えで高取峠までの3km弱のヒルクライム
まだ早朝ということもあって交通量は少なめ。
斜度は緩めなのでえっちらおっちらアウターで踏み込んでいく。
しばらくして峠を越えて赤穂市突入。


↓夜明けのあいおい白龍城


↓高取峠


上りで少し暖まったがそこから一転の下りで再び冷える。
千種川まで下って坂越橋で対岸へ渡り、そのまま駅の方面へ。
R250から一旦離脱し、JRをまたいだところにある一般道で
赤穂駅前のがちゃがちゃしたところをカット。
播州赤穂駅を過ぎ、塩屋交番前で再びR250に復帰。
ぐるっと山側を回り込みながら赤穂市街を抜け、ここから2発上り。
一発目は距離もそれほどないが、途中でなぜかチェーンを落とす。
2発目は斜度もそこそこ。対岸からローディーさんが下ってきて挨拶。
そこを上りきるといよいよ岡山県突入です!


岡山県突入


峠を過ぎて長めの下り。寒川〜日生周辺はかきおこの看板だらけ。
自分は貝は食べれないので、冬のかきおこではなく夏のえびおこ食べたい。
日生港を過ぎて、ちょっとした木生峠越え。
備前岡山ブルーラインと交差。
片上大橋を渡れれば若干のショートカットできるのだがここは自動車専用道。
そのままR250で風光明美な海岸沿いを進む。この辺りはとても海の雰囲気があってよい。
が、ちょっと潮風で体が冷える。どうも寒さのせいで調子が上がらない。
そして出発前の調整失敗で眠気MAX。
ここから交通量の多いR2に入るのだが、そこは気を張らないといけないので
その前に軽く仮眠も含めて休憩を入れる。
伊部のセブイレにピットイン。まずは体を中から温めるためおでんを少しいただいて
日の当るところで20分だけ仮眠。
まさかこんな序盤でこんなに休憩をとるとは思いもよらなかったが、
今回は全く未知数の距離だし、例の海峡リミットも勘定に入れて無理しないことにする。
仮眠と言うか自然と気を失って気付いたら15分ほど経過。
だいぶ日差しを浴びて体も温まってきたので、気を取り直してリスタート。
伊部からR2に入る。8時台にもなるとさすがにR2はそこそこ交通量がある。
以前走ったときには路肩の緑が生い茂って道をふさいで通行ラインがなくて難儀したが
ちょうど草刈りの直後だったらしくクリアになって走りやすかった。
吉井川にぶつかって、備前大橋を渡り、R2の岡山バイパスと別れてR250の単独区間へ。
この辺りになると交通量がぐぐぐっと増える。
そしてこの一帯は工場地帯なので路肩が狭く、かつ路面が悪い。
そこで県道83号との交差点で右折し、悪路を回避する。
東岡山駅を通過し、新幹線高架下のまっすぐな直線道路で快適に西進。
百間川にぶつかって高架下を離れ、県道402号に。
そこで少し小腹が減ったので岡山と言えばということでキムラヤのパンを買って食べる。(写真撮り忘れ)
新鶴見橋で旭川を辺り、いよいよ岡山駅到着。
普段なら十分最終目的地として、おお!こんなところまで来たかと感慨にふけるものだが
今回は岡山ですら単なる通過点でしかなく、達成感は全くない。
むしろ岡山に入った時点で目にする標識に、広島まであと200kmとか書いてあって、絶望感の方がでかい。
こんだけ走ってきたのに、まだそれよりも少し長い距離を走ってまだ広島にしかつかないなんて…
こんなんで本当に福岡までたどり着けるのだろうか…
まあまだ1日目の午前中です。
少なくとも今日中に帰らねばならないというノルマもないので、
とりあえず長いスパンのことは忘れて、1個1個目先の目的地を潰していこう。
ということで記念撮影を済ませたらすぐにリスタートし、次の中継点である倉敷を目指す。


岡山駅にて


岡山西口から地下道を伝って、線路の反対側に出て、県道242号に出る。
以前倉敷に行った時には線路の南側の県道162号を使ったが、
庭瀬以西が交通量が多く難儀した記憶があったので、少し遠回りだがこちらの道をトライしてみる。
笹ヶ瀬川までは2車線の広域道で非常に走りやすい。
そこから新幹線高架下の道になるのだが線路を挟んで片側2車線のままなのでいい感じ。
倉敷JCTを真横にノーストレスで進む。この道は正解だった。
あの極寒の夜がうそのようにピーカンの日差しが容赦なく降り注ぎ、かなりダレダレになってきた。
ちょこちょこと補給をしてきたが、まとまって飯を食べたいのと、
ちょっときちんと屋内で体を休めたい。
ちょっと休憩の回数が序盤にして多いのは承知していたが、昨夜の寒さで予想以上の疲労度。
眠気と疲労がMAXだったのでマクドに緊急ピットイン。
空調の利いた室内で、大月見を流し込んでとにかくぶっ倒れる。
はっと気付いたら11時前。20分ほど気を失ってました。
トイレで顔を洗って気合を入れなおし、リスタート。
そのまま県道60号を西進し、倉敷市街地を北側から迂回、真新しい新道で高梁川に突き当たる。
土手道を進んで、片島でR429に合流。
霞橋の立派な歩行者専用橋で川を渡り、そのままR429。竹川橋でR2と合流。
さあ、いよいよ倉敷を抜け、岡山もあとわずか。でもまだ1/3も来てないぞ!


↓霞橋の歩行者専用橋にて高梁川を渡る


倉敷〜広島編につづく…