記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

六甲ひとり歩き  東おたふく登山口〜黒岩尾根〜六甲最高峰〜六甲ケーブル

日曜日。
一日家族サービスデーにしてもよかったのだが、
やはり軽く動きたいなあとうずうずし始める。
時刻はすでに14時を過ぎてしまっていたのだが、
六甲のお山に向かうことにする。
このところ忙しすぎて、頭の中がぐちゃぐちゃなので、
ここは精神統一するために一人静かに山を歩くのだ!


芦屋川の駅に到着したのが15時。
ナチュローでドリンク等を軽く購入。
さて、ここからどうしようか、どこまで歩こうかを思案する。
黒岩でほっこりして帰るというのもいいのだが、
今日はなんだかもう少し上に行きたい。
でもふもとから歩いていくとさすがに日没になってしまうので、
ここはバスで東おたふく山登山口まで上がることにする。
バス停で時刻表を確認すると、ちょうどあと5分でやってくる。
ナイスタイミング♪
バスで、芦有ゲートTTコースを上っていく。
さすがにTTしてるローディーは見かけず。
15:30。東おたふく登山口で下車し、山歩きスタート。


バス停から西へと進むアスファルトの道を進み、
橋の手前で未舗装の道に入る。
いくつかの堰をクネクネと上っていく。寒さはさほど感じず。
ただ雲の色が悪く、雨が降らないかと少し心配。
誰ともすれ違うこともなく、ただ静かに歩いていたのだが、
突然どこからかヘリがやってきて、
ブルブルバリバリとけたたましい音を立てて旋回を始める。
その軌道が、なぜか自分の進む調子に合わせて移動してくるのだが、
まさか何者かに追われているのか!?
そのままヘリと歩調を合わせるように、土桶割峠に到着。


↓土桶割峠


そこから少し下って沢のところの秘密の入り口から
裏ルートである黒岩尾根に取りつく。
そこで茂みの中に突っ込んでいくのだが、
まさかそれで自分を見失ったからではないだろうが、
ヘリがその場所から旋回を開始し、周囲を見回すような動きを始める。
これはいよいよ、追っ手の可能性が濃厚だ(笑)
急斜面を駆け上がり、尾根まで上りきると、ヘリがもう間近になってくる。
茂みの開けた位置を発見し、ヘリが珍しいので一眼レフを構えて写真を撮っていると
それを嫌がるようにしてヘリが離れていくので、
まさか相手はカメラと銃を勘違いしているのではないかっ!なーんてね。
しかしヘリは間違いなく自分の周辺を中心としている。
いったい何があったのだろうと、
しばらく見晴らしのいい場所で様子をうかがっていたら、
おそらく本庄橋あたりの地点で、ヘリからワイヤーが下されて、
隊員が降下していくのが見えた。
おそらくは急患の人かけがをされた人がいるのだろう。
しかしあの辺は別に普通のハイキング道で、危険個所はないはずなのだが…


↓救助ヘリ旋回中


さて、こんなところでグズグズもできないので黒岩尾根を進みます。
マイナールートだし時間的にも遅いので、当然誰もおらず。
しかしせっかく静かな初冬の夕暮れの山歩きの趣も、
頭の真上でなり続ける轟音にかき消されてしまいます。
こうなればもう「北北西に進路をとれ」のK・グラントを気取って、
追手に追われているテイで逃げます!
黒岩尾根はさほど難しいポイントもないのだが、
それなりに野趣あふれるコース。
岩の間をぬける個所や岩礁を上るところなどもあるが、大した難易度はない。


↓岩の間を抜けていく


↓リッジを歩く


↓軽い岩登り


岩礁を上りきったところは見晴らしがよく、
振り向けばすぐ向かいに東おたふく山と、さっき出発した奥池タウン、
その奥に阪神間の街並みと大阪湾が見える。
この頃になると嫌な曇り具合も解消し、西から黄金色の光が周囲を照らす。
いい夕暮れだ。
これで音ひとつなければなお雰囲気よいのだが、
ヘリはずっと上空を旋回し続けている。


↓見晴らしよし(中央は東おたふく山)


↓追手か!?


見晴らしで写真を何枚か撮りながら尾根を進んでいく。
この尾根の唯一の難所といっていいガレ場の急斜面を上る。
ロープも残置されているが、手助けは借りずに上っていく。
この箇所もそうだが、尾根全体が少し痩せてしまっているように感じたが
この間の台風の影響があったのだろうか…


↓黒岩尾根唯一の難所。意外と足場が脆くスベる


難所を抜ければ、道は緩やかになり、
熊笹が生い茂るようになってきたらもう山上は近い。
えっちらおっちら進んで1時間ほどで一軒茶屋に到着したのだが、
なにやら様子がおかしい。
3台もの消防車に救急車、それにさっきまで上空を旋回していたヘリが
茶屋の向かいにあるトイレ裏の広場に着陸していて、周囲があわただしい。
と、ヘリからストレッチャーに乗せられたおっちゃんが救急車に運ばれていった。
隊員と話をしたりしていたから命に別条はなさそうで一安心。
しかし、レスキュー代って結構かかるんだろうなあ…
それからせっかくヘリで救助するなら、
わざわざ山上に救急車を待たせて搬送せずに、
直接下界に搬送した方がいいと思うだけどなあ。
まあ無事で何よりです。


↓何やら騒がしい一軒茶屋


↓搬送中


救助現場を尻目に、最高峰に向けて急坂を上ってきます。
よく考えれば、一番静かに歩きたかった黒岩尾根だったが、
上りはじめにヘリがやってきて、
上り終えたとたん、図ったかのように撤収していったなあ…
まあ、それはいいとして、とりあえず最高峰に詣でます。
そういえば今年はチャリで六甲TTを一度もしなかったなあ、
などと考えながら、写真を撮り、小休止。
そろそろ寒くなってきたので即撤収。


↓六甲最高峰にて


帰りはどういうルートで下山しようかなあと考える。
夕飯には間に合わないといけないので、有馬側に降りるのはなし。
とりあえず西へ向かうことにする。
山上のドライブウェイと何度も交差しながら、縦走路をひた歩く。
縦走路はイチイチ細かいアップダウンがあるので結構面倒くさい。
西おたふく山への分岐に到達。
そこで、五助堰堤まで下って行こうかとも考えたが、
すでに日が落ちて暗くなってしまったため、
今日はおとなしく六甲ケーブルで帰ることにし、さらに西へと進む。
六甲テラスに出ると、観光客の残りがまだ結構いて、
賑わいの間をイソイソとすりぬけて、
すっかり真っ暗闇になってしまった縦走路へと吸い込まれていく。
ヘッデンは一応持っていたが、つけるほどでもないのでそのまま足早に進む。
ゴルフ場を抜けるネットのトンネルをくぐっていく頃にはもうすっかり日が落ちる。
まだ、17時というのにやはり山の夕暮れは早い。


↓六甲枝垂れ


↓日が暮れてきた!


クラブハウスのところで縦走路を外れて、六甲ケーブル方面ヘ左折する。
うっそうとした森を抜けていくのだが、もうかすかな陽など届かずに真っ暗。
この辺からはちょっと急ぎ気味で、トレランモードで駆けていく。
サンライズドライブウェイに入ってもそのままピッチを上げて進んでいく。
すると前方が開けて、早晩の夜景が眼前に広がる!
寒さで空気が澄んでいるためか、結構くっきりと明かりが見え、
最高のご褒美となった。


↓100万ドルの夜景


↓神戸の灯


ケーブルの運行時間を事前チェックしていなかったので、
まずは時間チェックにケーブル乗り場に飛び込む。
と、どうも乗り場が閉鎖されている…まさか終電に乗り損ねた!?
こうなれば真っ暗闇の油コブシコースで帰るか?
と、焦っていると、係の人がケーブルは運休中で代行バスになりますとのこと。
聞けば9月の台風で路線の一部で崩落が起こってしまったらしく、
来年の2月までは運休らしい。
おお、それは知らなった。
代行バスが5分後に出るとのことで、大急ぎでチケットを買って乗り込む。


↓2014年2月まで運休中


バスに乗り込むと、少しお疲れが出てきた。
ひさしぶりの二足山行だったからだろうが、こちらも冬場の体力維持を心がけねば。
時刻となりバスは出発、記念碑台のところでドライブウェイに入るのだが、
裏六甲コースもどうやら災害で通行止になっているようだった。
そこからバスは表六甲DWを右へ左へ車体をゆらせながら下っていく。
六甲ケーブルの下駅で阪急バスに乗り換え、JR六甲道まで。
帰りの快速は混んでいてドア付近で立っていたのだが、
前に立っていた人がiPADを見ていたのを、何気なく覗き込んだら、
なんと自分のブログの記事(夏の常念縦走)を読んではってびっくり。
ちょっと恥ずかしくなり、思わず車両を変えてしまったよ。
そんなこんなで19時過ぎに帰宅。
まあなんという山行でもなかったが、まずまず気分転換できた。