記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

BRM419 京都400km 後編(大王埼灯台〜南勢〜剣峠〜伊勢〜松阪〜久居〜長野峠〜伊賀〜桜峠〜信楽〜裏白峠〜宇治〜久御山)

さて無事に折り返し地点の大王埼灯台にたどり着いたのが18:40。
ギリギリ暗くなる直前に到着できました。
ここからは残り180kmをかけて、久御山を目指しますが、
ここからは新たな敵=暗闇&寒さとの戦いが待ち受けていたのでした。
ちなみに、ここからは写真を撮る余裕もチャンスも少なくて
前半戦の記事よりも点数大幅少な目ですのであしからず。


思わぬ激坂を越えて灯台にたどり着き、
再び受付のある海岸線に戻ると、案の定K野さんが満面の笑みで「どうでした〜?」と聞くので
「そりゃあもうありがたオマケまで用意していただいて〜」というと、
「いやいや本命でしょ。あそこが目的地ですから〜」と、ドSとドMの会話に周囲大爆笑。
そうでございました〜。失礼いたしました〜。
ちゃんと目的地は大王埼灯台ってありましたもんね♪
それにしてもスタート地点からわざわざスタッフの皆さん、
ここまで車を走らせて、吹きすさぶ海岸線で待機なされているのですから、
本当にありがたいことです!
この後クローズ時間の21:30まで待機されるとのことで本当にご苦労様です!


さてさて、あまり悠長にしている余裕はありませんので、
元気よくリスタートしていきたいと思います。
先ほど一緒にCPに到着された方と、
それから先着して長めに休んでおられたOさんとまたまた再会したので、ご挨拶をして
ライト点灯で3人体制で参ります。
今回は最初から甘えずに、曳けるだけ曳こうと先陣を切ります。


↓このお二方と折り返しリスタート


海岸沿いのコンクリの散歩道の激坂をグイグイっと上り、
波切の集落を進んで、県道515号に入ります。ゆるやかな上り基調でズイズイ進んで
大王埼入口から交通量の多いR260に入ります。
すでに日は落ちて、周囲は暗くなっている。
こんな時間帯にこんな最果ての地なのに、交通量はかなりあり、
鵜方辺りまでこの状態が続くので、
自分が先頭に立ってガンガンペースを上げていくことにします。
意外とアップダウンが多いうえに、向かい風が強く、
少しでも長く曳いてOさんに借りを返したかったのだが、
志摩スペイン村前のCPでもほとんど補給をしておらず(腹痛のため)、
体力がみるみる落ちてペースダウン。
それを見かねたOさんがスルスル〜と先頭を駆って出てくれて本当に申し訳なし〜@@
結構路肩も狭く、工事区間もあり、
ナイトライドに突入したばかりで感覚がなじんでいないのだが
Oさんはガンガンアグレッシブに35kmオーバーで曳いていただけるので、
こちらもせめてしっかりついていこうと、もうお一方とヒーヒー言いながらついていく。
それにしても強い!強すぎる!連邦のモビルスーツはバケモノかっ!?
鵜方を過ぎると、交通量は収まり、
周囲も一気に閑散として真っ暗な山と海の合間になっていく。


合歓の郷の入り口のところのアップダウンで、
前方に見えていた3人組をあっという間に捉える。
Oさんは、すぐさま驚くような加速を見せて、あっというまに3人をパスして先へ進むのだが
ついてきた2人はその見事な切れ味に全く反応できず…
「ついていくだけでいっぱい、いっぱいですね(汗汗w)どうします?」と相談し、
結局追いついたこの集団のお尻に付かせてもらって進むことになりました。
Oさんはどんどん快調に飛ばしていくのだが、
時々後ろを振り返っては待つようなしぐさを見せらていて、
本当にご期待に添えられず申し訳ない気持ちでいっぱいです@@
こうしてすでにどっぷりと日が暮れて真っ暗の県道17号を、
単独のOさんから少し距離を置いて5,6人組のトレインが進みます。
自分はシンガリを務めるのだが、アップダウンごとに前が詰まったり離れたりの影響が大きく、
ペースが一向に安定しないまま必死でついていく感じ。
桧山路大橋の赤信号でいったん停止。
ここを右折して県道112号に入ると、Oさんを先頭にペースアップ。
次の信号で左折すると、どえらい急な上りが待ち受けていました。
(暗いから余計そう感じたのかも)
ちなみに、この左折ポイント、自分は全くノーマークだったので、
単独だったら間違いなく直進して磯部までロストしてたと思います。
そういう意味でなんとかトレインに残っていてよかったです。
さて、その急坂でトレインは一旦バラバラに分裂します。
自分は上りは調子よく上れたのだが、トレインに割って入らずにシンガリのままピークに。
そこからは急で長い下りに入るのだが、ギアがうまく切り替わらず(この日ギアはずっと不調)
一旦前の人との差が開く!
慌てて踏み込んでペースを上げるのだが、何分ダウンヒルが苦手なのでそれほど飛ばせない。
トレインについていれば前の人のテールを目印にできるし、
集団だと明るいから道の感覚がつかみやすいのだが
単独では、ライトの光量を控えめにしているので前方の具合がわからない!
恐る恐るの感じで下っていくと、どんどんトレインから一人離されてしまいました@@@
あああ、サヨウナラ〜@@@
もうこの時点ではハンガーの具合も最悪で、この置いてきぼり感は本当にもう…
下りきるとドンツキで、遠くのテールランプの列を追って右折しR260に入る。
小さな湾をぐるっと回ると小さなトンネルに突入すると、
向こうの出口あたりにトレインの姿!
ひょっとして千切れたのを確認してペースダウンしてくれているのか?
ああ、すんません〜!ともっかい気合を入れなおして単独で40km程度まで上げて猛追。
が、しかし!トンネル明けの信号であえなく赤信号につかまって、即オワタ@@
これでもう追いつくのは不可能となってしまい、気落ちしたのもあって、
2回ほど信号を見送って手持ちの補給品でチャージ。ああ、チョコレート沁みるわ〜。
その後マイペースを保ってアップダウンをこなし、
しばらく進むと周囲に民家などが出没してきて、ようやく五ヶ所の集落に入ります。
そうして、右手にCPであるサークルK南勢五ヶ所浦店に到着したのが19:49〜。
ふぃ〜疲れた〜。


みなさん、すでに思い思いに補給を始められていますが、
リスタートしてすぐに最大最恐の難所、剣峠を控えているため、
みな同時スタートを狙っている様子でCPには人が溜り気味。
速めに到着された方、遅く到着された方混ぜこぜで、おそらく15人くらいはいたかな。
自分はおなかの具合がまだまだ微妙で、しかもハンガーノック気味ということで、
暖かいヌードルとポカリなどでゆっくり慎重にエネルギーをチャージし、入念におトイレタイム。
そうこうしているうちに、かなりの団体さんがまとめてリスタートされていき、
CPには毎度ゆったり目に休憩されているOさんをはじめ3,4人程度が取り残されてしまいました。
Oさんが、別の方と2人組で出発されるのを見送って、自分はもう少し疲労回復。
Oさんとお会いするのはここでラストとなってしまいました。サヨウナラ〜。謝謝!


そうしてあれほど賑わいを見せていたCPがほぼ無人化して、
さみしくなったところで、後続の方がポツポツと到着されます。
その中には鳥羽展望台でお会いした方もいらっしゃいました。
この時間になると、止まっているとそこそこ冷えるので、
本当は怖いんだけども、後続の人の補給を待って待機するのもアレだし、
デンジャラスな場所と言えど、前後にブルベライダーが通行しているわけですから、
ここはあえての肝試し!いざ参る!
後続の方に行ってきますと挨拶をしてCPをヨロヨロとスタートします。
伊勢までは22km。この大半は原生林の真っ暗闇の峠越えです。
ここを越えれば、ここさえ越えれば安全地帯。
泣いても笑っても2時間足らずの辛抱です。
行くっきゃありません。ああ、楽しいぞ〜(泣)
R260にでてすぐ、小さな川を渡り、そのたもとの分岐を標識に従って右折。
細い細い県道12号に入り、北上を開始します。
川に沿って、平坦な道を進んでいきますが、まただま外灯もあるし、民家もあるし余裕です。
そうして山間を抜けて小さな集落に入っていくと、前方には黒々とした山塊。
それほど高さは感じないがきっと奥深く続いているのだろうな…
そうしてじきに周囲に民家がなくなり、しばらく右手に田んぼが広がるエリアを進みます。
当然ガードレールなんてものはなく、右側に落っこちないように注意しながら進みます。
道はもうだいぶガレガレになってきました。
特にセンターに砂利やら木片やらが溜まっているので走りづらい。
そうして、集落の最果てにたどり着くと、うっそうとした黒い森へと突入します。
魔境への入り口に立て看板を発見。5km弱のヒルクライムに向けて気合を入れ直します。


↓恐怖の剣峠につっこみます!


↓剣峠(上り6km、下り14kmの魔境…)


入り口からしていきなりのダブルヘアピンです。
2灯あるとはいえ光量が十分ではなく、本当に直近の具合を照らすだけの状態。
ブリーフィングでは結構開けたところなので、
月明かりも届くみたいな話があったはずだが、うっそうとした森で空は見えないし、
だいたい今宵は雲が厚くて月が姿を見せてない…
道は車の離合がまず無理そうな幅で、センター付近が相変わらず砂利や枝が散乱してパンクが怖い。
道にはガードレールはないので崖側にオーバーランしないように慎重に進む。
メーターは真っ暗で確認できないが、10kmそこいらしか出ていないだろうというユルユルペース。
斜度は大したことはないのだが(それでもずっと続くのでしんどい)、
道の具合がペースを上げさせてくれない。
ここで一番怖いのは、パンク&メカトラと、間違って崖下に転落すること。
そのどちらもがこの真っ暗闇では現実的な難題としてのしかかってくる。
暗さは相当なもので、さすがにあっちこっちを真夜中に徘徊しているとはいえ、正直怖い。
前後にはまったくブルベライダーがいる気配も、ライトが届くこともなく、まさしく単身。
歌を歌ったり、よしよしいい感じと口に出して自分を鼓舞しながら進むので
それだけでも息が上がる。
何度も同じようなカーブをクネクネと曲がり、無限ループに陥ったかのよう。
だんだん道の具合は悪くなる一方で、途中からはウェット状態のところもあり、
そこを通過するたびタイヤがプチプチ、バキバキと恐ろしい音を立てる。
慌てるな!焦るな!丁寧にいけばそのうち抜けられれるぞ!と声を出しながら、
必死のパッチ
メーターが全く見えないのでどのくらいの距離を上って、
どのくらいの時間がたったのか全く分からないのだが、
感覚的にはもう相当上りと格闘しているので、
いつになったらピークなのかとにかく焦る。焦りまくる。
ペースを上げたいが、無理をしてトラブルはごめんなので、
とにかく気持ちを落ち着かせながら慎重に、慎重に、丁寧に丁寧にと念じる。
何度かヘアピン区間をくぐっていくと、徐々に斜度も落ち着いてくる。
が、右側や前方を確認しても一向に森が終わる気配はなく、
延々と黒い森と黒い空がきわどく分離されているだけの闇の世界が続いている。
考えなくてもいいこと(霊的な?)を考えまいとすればするほど、
余計に気になって妙な汗は出るし、
ここまで250km走った疲労と上りの疲労と眠気と寒さとがいっぺんに押し寄せてきて
正直、気が卒倒しそうな状態。大声で叫びたいが、
そんなことをして妙なモノを起こしたりしたらいかんので、
とにかく大丈夫大丈夫とつぶやきながら、
幾度となく押し寄せるカーブ・ヘアピンをクリアしていくと、
もうどのくらい経ったのか、ようやく峠らしいところに到着し、下りがスタートする。


とりあえずここまではクリアした。クリアしたぞ!と気を落ち着かせて
下りに入るのだが、スピードが出る分、下りの方が上りよりも遥かにシビアな展開に…
とにかく、前方の具合が全く分からないうえに、
こちら側の道の方が非常にタイトなレイアウトになっていて、
エグイ角度で何度もバンクのついたヘアピンが連続していて、
ほとんど止まる勢いでブレーキングをして慎重に曲がっていく。
全身が緊張で最高潮に固まりながら、絶対にオーバーランしないように抜けていく。
路面もウェットな部分があれば、斜面が崩れて砂利が散乱しているところ、
そこそこの大きさの枝が道を横断するように転がっているところなどがあり、
それを微妙にコース取りを変えてパスしていくのだが、
フラフラとコースアウトしかねない場面も多々あり、本当に気が抜けない。
そんなシビアな九十九折れを抜けると、少し斜度もカーブも緩やかになっていき、
五十鈴川の上流の流れに沿ってすすむ森の中の道となる。
少し道の事情はよくなったとはいえ、まだまだ難所の真っただ中にいることにかわりはない。
焦ってオーバーペースにならないように引き続き慎重に慎重に進んでいく。
こちら側に入れば、下りでペースもある程度回復するし、
伊勢まではすぐだろうと思っていたのだが、行けども行けども山から一向に脱出できない。
とにかく焦りと疲労ばかりが全身を駆け巡っていく。
そのうち、前方に民家らしいものが出てきて、ああもうすぐだと思いきや、
ここからがさらに長かった。
道に合わせて、徐々にペースを上げていくが、見渡す限り深い山という状況は変わらず。
おかしいな、おかしいなと思いながらもとにかく前進し続けるしかない。
そうしてだいぶ経って、後ろから明るいライトがチラチラと照らされるようになってきた。
後続の方がお一人追いついてこられたのだ。
よく見ると、鳥羽展望台でお会いした方でした。
「いやあ、想像以上に長いっすねえ」「いやあ、参りました@@」と声を交わす。
その方はかなりの強力ライトをお持ちだったので、
伊勢までご一緒させていただくことにして、残りの区間をペースアップして突き進みます。
そうしてようやく、宇治橋のところに出ました〜。
ああああ、お疲れ様です@@@@@
後で話を聞いたらこの区間では、鹿が出ただの、たぬきが出ただの、
色々なハプニングが起こっていたそうですが、
幸いにして事故やトラブルはなかったようでよかったです。
それにしてもあえて夜中にこのルートを走らせるという…本当にドSでございます!
自分が超ロングをプランしたら間違いなくこのルートは外すか、
ここを昼間に通るスケジュールを組みますね(昼間でもかなり通りたくないケド)。
まあそういう意味では、ブルべだからこそ走れたということで、
ええ経験させてもらいました!
とにかく無事で何より〜。


宇治橋にて冥界から復帰


宇治橋のところで、先ほどの方はトイレに行かれるということでお別れします。
自分もとりあえず剣峠の難所を越えたら一度しっかり休息を取る予定だったので
おかげ横丁方面へ向かってみたのだが、当然どこもかしこも閉まっていて休むところがない。
これは駅前の方へ出るまでもう少し我慢だとすぐにリスタートする。
宇治浦田を左折して、御木本道路へ入る。
昼間はあれほどの賑わいを見せていたこの辺も車どころか人ひとり見かけない。
えっちらおっちら伊勢西ICまで上り、外宮へと出る。
伊勢市駅の周辺でどこか店内でゆっくり食事をしながら休めるところを物色したが、
目ぼしいところがなく、そのままダラダラと前進を続ける。
この辺りのコンビニではブルベライダーのみなさんがポツポツと休憩を取られていて
挨拶をしながら先へ進みます。
前方にかなり大人数の集団がいて(前のCPでご一緒だった面々)、
宮川の手前で追いついたのですが、その先にガストを発見したので、
これは迷わずピットインします。


時刻はすでに22時を少し回ったところ。
剣峠での闇夜の格闘でかなり消耗しているうえに、
睡魔もそこそこ襲い始める時間帯。
この先はもう何度か実走している区間なので心配はないのだが、
あまりこういった店内でゆっくり休めそうなポイントがほとんどなく、
仮眠を含めた休憩をここでしっかりと取っておくことにしました。
この作戦が大成功で、終盤にうまくつなげることができたのでした。
まずは、この日はほとんどマトモな食事をしていなかったので、きちっと食事をします。
こういう時は迷いなく、トマトパスタにシーザーサラダ、コーンスープの定番セット。
もちろんドリンクバーもつけます。
肉とか揚げ物だとのちのち胃腸が堪えるので、酸味とフレッシュな味わいで疲労回復。
ダラダラ食べながら地図を見てコースをおさらいし、
そのあとはしばし仮眠。
そうしてある程度じっくり休息を取ってのち23時ジャストにリスタートします。
残りは120km!頑張るべ!


リスタートしてまずは松阪を目指します。
ここはほぼストレートに伸びる県道37号をひたすらに北上していく。
昼間は結構交通量が多いうえに、ところどころ路肩の具合もよくないのだが
さすがにこの時間はすいている。
三重県は特にそうなのだが、路肩に見えづらいアイキャッチがにょきっと出ていることが多く、
下手に乗り上げて落車しないように注意しつつ進む。
まだ平地の市街地エリアなので気温はそれほど低くなく、寒くない。
風の具合も、ほぼ無風(若干追い風気味)でリスタート直後からコンディションは良好。
山側は少し雲がちで雨の予報が少し心配だが、いますぐにどうこうということもなさそう。
櫛田川を渡ったところで、左折をして県道756号に入る。
ここは松阪市街の外周路で、小高い丘を若干のアップダウンが続く。
徳和で紀勢本線をまたぎ、人気のない郊外道路を淡々と進む。
その先、大黒田町の交差点で先行されているブルベライダーに追いつきます。
ご苦労さんです!と声をかけると、序盤にOさんと一緒にいらしたガノーレーパンの方でした。
話を聞くと、パールロードのキツイアップダウンで置いていかれてしまったらしく、
今は睡魔との戦いがシビアな状態らしい。
仮眠するなら、ここから先休息できるところ減っていきますよとお伝えしたのですが、
まだ大丈夫だから、とりあえず進もうということになりました。
そこで、休息がちょうど効いて好調さを取り戻しているので、
自分が曳きますと先頭に出てペースアップして行きます。
35km程度のペースをキープして、松阪市街を抜けていきます。
船江北で左折をして県道24号に入れば、あとは一志まで一本道。
市街地を外れて周囲は田園地帯となって一気に暗くなっていく。
交通量もなく道も良好なので、どんどんペースを上げて35〜40km程度で快調に飛ばしていきます。
伊勢中川あたりで何人か単独の方を次々とパス。
ここにきて足の具合もかなりいい感じ♪
「速いねえ。元気やねえ。」と言われ、少しは面目躍如。
宮古西を直進し、県道58号に入り、近鉄大阪線に沿って進み、
伊勢道をくぐった先で川合高岡駅のロータリー前に出る。
ここで少し道をごにょごにょとして、間違えずに県道530号に入る。
実際は一瞬間違えそうになったが、
遠くにブルベライダーのテールランプが見えていたので助かりました。
見覚えのある風景を走っていくと中川原橋に出て、
そこを抜けると短いながら少し急な上り。そこをエイヤっとアタックして
上りきったところ、R165との交差点のところにあるサークルK久居庄田店にとうちゃこ。
時刻は0:34。
なかなかいいペースで抜けてきたので前の集団に追いつくことができました。
ここは無人のCPでしたが、大王崎灯台からスタッフの方が戻ってくる途中に
立ち寄られていて休憩中だったので、少しお話。
一応、今回スタートを切った参加者は皆、無事に大王崎灯台まではたどり着けたようです。
その後、計画的にDNFされた方はいたものの、剣峠でもトラブルなく、
順調にブルべが進んでいるようでよかったです。


この後すぐに長野峠越えという大物を控えているので、
あまりダラダラと過ごして体を冷やしたくないし、
足がいい感じのうちにクリアしておきたい。
ので簡単に補給を済ますことにします。
みな、そろそろ仮眠をしようかどうか、休息をどう取ろうかどうか相談中。
ここまで内陸に来るとこの時間は結構寒く、
屋外で長時間いるだけでもダメージになる。
自分はそれを見越して、少し早めに伊勢できちんとした屋内で
仮眠と補給を済ませていて正解だった。
ガノーレーパンの方も、ちょっと仮眠が必要だが、
これでは寝れないと嘆いていたので、
交差点のはす向かいにミニストップがあったのでそちらを勧めておきました。
こういうとき、イートインのあるコンビニはありがたいのです。
みながのんびりと休息しているところをお先にと声をかけてリスタートします。


R165をまたいで直線的に続いていく一般道をひた走ります。
周囲は森だったり田畑だたったりで暗め。
鈍い上り基調で進んでいくのだが、曲がりどころがよくわからない。
とりあえず一本北側を走るR163に出ればいいので、角にローソンのある信号で右折する。
住宅街を鈍く抜けて、小さな川を渡り、集落の間を抜けていきますが、
なんか予習したのと様子が随分違うので曲がりどころを間違ったようだ。
(本当はもう1つ先の分岐)
それでも道はしっかりと目的の方向へ打進んでいるし、このまま行ってみます。
そのうちに、前方にコンビニが見え、
こんなところにコンビニがあるということはそれなりに大きい道だろうと予測すると
案の定R163に出た。
ここから鈍く上り基調で道は進んでいく。
R163といえば全区間に渡ってトラフィックのひどい道だがさすがに深夜はひっそりとしている。
ここからいよいよ長野峠にとりついていく。
以前に走った時は、えらく長いヒルクライムで、
ピークにあるトンネルの手前はかなり斜度が厳しかったと記憶している。
周囲の空気は徐々にひんやりから寒いへと変わってきたが、
今からは上りなので袖をまくっていきます。
本来とおってくるはずだったグリーンロードとの交差点を抜け、しばらく川伝いに進みます。
小さな集落に入ったところの自販機で単独のブルべライダーさんが休憩されていたので
合図をして先行していきます。
北長野の集落をバイパスでかわし、いよいよ黒々とした山の中へと突入していきます。
足は全然調子がよく、時折ダンシングを交えながら軽快に進んでいきます。
国道でありながら外灯がなく、深い木々に覆われているので本当に周囲が真っ暗。
聞こえるのは木々を揺らす風の音と、自分の息遣いだけ。
なかなかおっかないシチュエーションではあるが、
さきほどの剣峠を経験してしまっているので何ということもない。
先に民家らしいものがある明るいところに到達し、
思ったよりピーク近かったなと思いきや、そこは外れ。
どんどん山深いところへと潜っていきます。
斜度はまだ大したことがないのだが、何しろ長い。ヒーハー言いながら進んでいくと、
ようやく周囲の木々が開けてくるのだが、そこから斜度が一気に増す。
ここが凌ぎどころとダンシングでどうにか切り抜けると、
その先にぽっかりとトンネルが口を開いているのでした。
そこに迷いなく突入していくが、このトンネル2.5kmほどの長大トンネルで、
しかも最初下りに入ったと思ってアウターに入れたのだが、どうも若干上っているようで
途端にペースが落ちる。
よくわからない平衡感覚なのだが、インナーに落とすほどでもないので
ダラダラと重いマシンを引きずって進んでいくと後ろから気配がするので覗いてみると、
またまた鳥羽展望台でお会いした方でございました。
「これ上ってます?下ってます?」と向こうも聞いてきたので、
「や〜わからないんですが。たぶん上ってるみたいですねえ」というような話をしつつ、
結構時間がかかってトンネルを抜けます。
向こうさんはそのまま一緒に下りましょうという感じだったのだが、
ここから下りなのでレインウェアを羽織らないとえらいことになりますので、
先に行ってもらいます。
ついでに、一応復路のピーク地点を一枚パチリ。
いつもトンネルの写真は出口で撮るようにしています。
突入する前に撮って何か起こったら嫌なのでね。


↓長野峠


さて、ここからは長い長いダウンヒルが待ち受けます。
ソロで光量が悪いし、距離があって自然とハイスピードになってしまうので慎重にいきます。
しばらくして集落に入ってきて徐々に周りも明るくなってきます。
とにかく全身に風を浴びて、一気に冷やされてしまいます。あああ、寒い!
下りというよりも下り基調の平坦というくらいになってきたので暖を取る意味でも回していきます。
服部川に沿いながら、前方の山の塊を大きくミナミへ迂回しつつR163は伊賀方面へ進みます。
曲がりどころを間違わないように、平田の交差点で右折をして県道2号へ入ります。
が、この道がまたえらく心細い道で、本当にこっちで合ってる?と心配になります。
左手に点々とネオンが続いているのであちらに名阪国道が続いているのだろうから、
あっちじゃないの?と、自信がないので惑わされつつ、
前方のちょっとしたのぼりをこなし反対側へ下る。と、道がドンツキで左右どっち?
さっきは左手に名阪国道が見えてたけど…と迷っていると、
後方からライトが来たので、後続を待って、どっちですか?と聞くと右ですとのこと。
(左へ行ってたら元のR163へ無駄にバックするだけだった…)
じゃあ一緒に行きましょうかということになり、2人で寒い寒いといいながら、
鈍い上りをこなしていきます。
このYさんとはこの後、ゴール地点までご一緒することになります。
小上りを上りきると、民家も何もないただっぴろい平野に出る。
ビジュアルだけでも相当に冷えてきました。
そこから道は一本道で進んでいるので、迷うことなく進みます。
しばらく行くと集落へと突入。寒いのでくるくる回してペースアップしつつ、
壬生野の集落を抜けると、前方に名阪国道がぬっと現れ、そこをくぐります。
本当はあと1km先でCP到着なのだが、あそこのコンビニはイートインがないので
屋外で休息ができない。
それならばR25の西ノ沢にあるファミマはイートインがあるので、
そこで少し休憩していくことにします。
Yさんも、とにかく寒さをなんとかしたいらしく、ご一緒することに。


ファミマに入るとイートインは時間外でクローズしていたのだが、
店員さんに交渉。最初は困りますと突っぱねられたのだが、
事情をお話しすると、食事をしている間だけならOKということで、助かりました。
カップ麺をすすりながら、2人とも遠い目をしつつ補給します。
ただ、チャリンコを目立つところに置いていたせいで、
後続のブルベライダーさんが間違って入ってきてしまい、
このままでは今晩はずっとイートインコーナーを開けさせてしまうことになりかねない。
本当はここでもう少しゆっくりするつもりだったが、
迷惑になるので切り上げて、店員さんにお礼を言ってリスタートします。
それでもわずかでしたが、暖かい場所で休息できたのは大きかった!
そこからわずかですが次のCPまで進んで、サークルK伊賀阿山店に到着したのが3:12でした。
とにかく寒い!
補給はさっき済ませたので、とりあえずレシートをゲットするためにお茶だけ補給。
レジのオッチャンが、「話聞いてますよ〜。あともう少し頑張って!」とエールを頂きました。
こういうご協力していただいている方々には本当に感謝ですね。
それから食後で一気にお腹が冷やされたので、おトイレ休憩に入るのだが、
気付いたら寝落ちしてまして、長いこと出てこないのでYさんが心配になって、
「大丈夫ですか!?」とノックしたのに気付いて起きる。
いやいや大丈夫ですよ〜。


さて残りいよいよ50kmちょいとなりました。
残りの区間も勝手知ったるエリアだし、
もうよほどのことがない限りは完走できるという安心感があります。
でも、最後の最後まで何があるかわからないので気を引き締めて参ります!
ここでYさんとオーラスまで一緒に参りましょうと意気投合をしてリスタートします。
県道49号に出てすぐに、短めの急坂を駆け上がります。
ピークの信号を左へ折れると、短いトンネルがあり、
そこを抜けて、高台の平たん路を2人で淡々と進みます。
この時間はお互いに眠気との格闘もあり、
こうやって話し相手ができてラッキーでしたねと話ながら和気あいあいと進みます。
Yさんは、ブルべを始めたところらしく、今回の400kmで最長不倒となるらしい。
それはオメデトウゴザイマス!
いつの間にか道は県道674号からR422に入り、斜度が一気に増します。
桜峠はそれほど大した上りじゃなかったはずなのだが、
2人ともあれ?意外としんどい?となり、えっちらおっちらダンシング。
ピーク手前はなかなかの斜度でヒーヒー言いながら、ようやく三重県を脱出して滋賀県突入。
上りもしんどいが、問題はダウンヒル
長い長い下り坂が続くのだが、深夜早朝の信楽の気温は3〜5℃と低く、
風を切る度にみるみる体は冷えていく。とにかく寒い!
ライトの強いYさんに前を走ってもらいながら、寒さに震えて下ります。
立石橋で左折してR307に入る。
ここも昼間は面倒なトラフィックだが、この時間はストレスフリー。
で、さっきのダウンヒルでまたもお腹の調子が崩れてしまったので、
中野のセブイレに緊急ピットイン。
先を急ぎたいところ、Yさんにもお付き合いいただいて申し訳なし。
でも、胃腸だけはコントロールできんのよねえ…
で、リスタートしようとしたところ、車のドライバーさんに引き留められ話しかけられる。
京都からここまでの道中でやたら自転車を見かけるねんけど、
今日はなんかイベントでもしてるの?と尋ねられたので、
ブルべというイベントがありまして、みな伊勢志摩の大王崎灯台から折り返しなんですというと、
ええ?自分ら今から大王崎灯台の近くにサーフィンしにいくところなんよ〜と言う。
なんたる奇遇でしょうか。
これから道中でたくさん同志を見かけると思うので、その時は応援してあげてください!
と言ってお別れしてリスタートします。


R307に復帰し、2人で寒空の中を進んでいきます。
自分が先頭に立ってペースを稼いでいきます。
おなじみの府道5号を過ぎて、小さなピークを越えて朝宮の集落に入る。
そこから先の裏白峠が、思ったより難儀で、ヒーヒー言いながら上りをこなしていく。
Yさんは、お疲れの様子で、上りでは少し距離が開いてしまうので、
様子を見ながらどうにかピークをやっつける。
その先の暗い茶屋トンネルを抜けると、空が白み始めて朝を迎えます。
そこから先は基本ダウンヒルになるので、ペースを上げていきます。
Yさんは疲労のピークを迎えているらしく、ちょっとしんどそうだったので
少し落としましょうか?と聞くと、
ヘタに落とすと意識がやばいので集中してついていきますとのご返答。
ツラいゾーンに入った時のしんどさは知っているので、頑張れというしかありません。
あと30km!ファイト!
順調に宇治田原に入り、先行していた方々をパスしながら、郷之口の交差点に到達。
当初はここから直進して上りをこなし宇治に入るルートだったが、
直前に変更されたので右折して天ケ瀬ダムを目指します。
自分は朝を迎えて意識も覚醒し、多少寒さで硬いが足もまわっているので、
とにかく回せるだけ回して突き進みます。
やはり自分は後半に強いみたいです。(って単にスロースターターなだけだけどね)
府道62号を快調に飛ばし、宵待橋でおなじみの府道3号に入ります。
ここは台風で崩落して長らく通行止めになっていたので久々に走ります。
夜中のドリフト族の残党が一部残っていて、コーナーをギリギリ攻めているHONDA車が怖い…
35kmオーバーで駆け抜けて天ケ瀬ダムをかすめ、無事に宇治市内に入ります。
ここからルートが微妙なので先頭をバトンタッチ。
いったん府道15号に出ますが、素直に直進せず、
指定のルート通り一旦太陽が丘の方へと上り返すという面倒くささ。
カムループス通りに入ると、鈍い鈍い上りが発生し、
2人ともヒーハー言いながら最後の上りを片づける。
植物園のところから爽快に下り、大久保駅前に到達。
あとは、府道15号をひたすら直進して、
最後のCPであるセブンイレブン久御山佐山店に到着したのが6:02でした。
レシートを頂く際に、店員さんにおめでとうございますと思わず声をかけていただきました。
アーザッス!
しかしここがゴールではありません。
すぐにマシンに飛び乗って、もう少し先にあるジョイフルまでひとっ走り。
すでに、何人かの方が帰路につかれていて、すれ違いざまにお疲れ様!と声かけ。
そうしてそうして、いよいよゴール地点であるジョイフル久御山店に到着です!
お疲れ様でした〜!!!
Yさんとゴールを祝ってがっちりと握手をして、
さっそく店内に入ろうとしたら、お店方出てきた男の方に呼び止められました。
自転車についていろいろ、特にシマノのコンポについていろいろ聞かれてお答え。
で、話を聞くと、なんと、
シマノの下請けでチェーンステーとかの金型を製造している会社の社長さんでした。


そうして、店内に入るとに入ると、すでにゴールされたブルベライダーの方々が
思い思いに食事や休憩をされていました。
みな、道中でお会いした方ばかりで、お疲れ様のご挨拶をして回ります。
席に通されて自分はモーニングを注文。Yさんは朝からがっつりステーキ頼んではりました。
元気ですねえ。
注文の品が来るのを待つ間に、K野さんのところで受付を済ませます。
スタッフの方々も夜通し移動してのご対応ご苦労様でした。本当にありがたいこってす。
レシートのチェックとサインを済ませ、メダルも購入します。
個人的には400km以上は何度も走っていますが、
ブルべで認定されるのは初めてなのでちょっと楽しみです。
といっても忘れたころにしか届きませんがね(笑)
そのメダルを待つ煩わしさを解消するためか?今年からオダ近特製のピンバッヂができたので
それも購入します。やはり、なにか自分の出した結果が形として残るというのはうれしいもんです。
おいくらですかと行くと、K野さん真顔で「500万円」と古いボケをかましてくるので、
普通にスルーして500円お支払(笑)。
あーざっす!


↓乙〜


今回の400kmブルべのリザルトタイムは、22時間32分でした。
獲得標高4500m以上(噂によれば実際5000mあったとかなかったとか)の
エグさを考えると上出来のタイムだと思います。
あとでアップされていたリザルトを見ると上位陣はだいたい22時間台だったので、
自分なりにきちんと出し切れたのだと確認できてよかったです。
しかし中には、16時間とか、もはや驚異(脅威?)としか言いようのない方もいらして、
そんなんもう、チャリやのうて車ですやんと思わずツッコミを入れてしまいました。
いやはや、上には上がいるもんです。恐れ入ります。
今回改めて感じたのはブルベライダーの強さです。
自分よりも10も20も年上の方々が元気に、上ったり下りたり、昼も夜の走り続け、
暑さ寒さにも耐え、本当に最強のオールラウンダーというか、自転車の総合格闘技だなあと。
年を取れば体力というのは落ちていきますし、速さも失われがちですが、
経験を積めば積むほど、その部分を補うだけの強さ・賢さを身につけていけるし、
年を追うごとに円熟味を増したライダーになれるだなあと。
それを今回色々な方々と一緒に走って実感することができたのは今後にとても勉強になりました。
今回一緒にブルべを駆け抜けたすべてのライダーの皆さんと、スタッフの方々!
お疲れ様でした!そしてありがとう!


↓オダ近特製ピンバッヂ


Yさんはもう眠気マックスのようで、長居するとっこから抜け出せないよと大急ぎで食べて、
お先にと帰っていかれました。
また京都300kmでお会いしましょう!
自分はもう少しのんびりと食事を続け、後続の方々をお迎え。
7時になり、そろそろお暇することにします。
スタッフの方々や、ゴールされたみなさんにお別れをしてリスタートします。
府道15号を走ってすぐにR1にぶつかり、木津川大橋で対岸へ。
木津川CRで御幸橋まで到達したら、眠気を誘うばかりの淀川CRには下りずに、
府道13号をチョイスしてひた走る。幸いにして追い風基調だったので助かりました。
関西医大前のファミマでトイレ休憩を済ませると、いよいよ眠気と疲労でフラフラ。
安全第一に切り替えて、ここからやっぱり淀川CRに切り替えます。
全然ペースが出ずにフラフラと進んで、帰宅したのが9時でした。
さて、次は5月の京都300km。
こちらも序盤の山岳3連星があったりするので気を引き締めていきましょう!
目指せSR!