裏銀座縦走
月曜に夏休みを1日取得して、金曜日前ノリ2泊4日で北アに遠征してきました。
向かった先は裏銀座と呼ばれる、黒部源流を貫くロングトレイル。
この週末は本当に特異日なんじゃないかというくらい雲一つない快晴。
ピーカンの直射日光が暑かったけど、
黒部源流の雪解け水が流れる谷から吹き上げる風が清々しく、
なんとも贅沢すぎる山行となりました。
もう見える山が全部見えているんじゃないかというくらい、
惜しげもなく大自然のすごさと美しさを見せつけられました。
とにかく画力がすごい!
↓今回のベストショット(双六から見た鷲羽岳。左奥黒いのが水晶岳、右白いのが野口五郎岳)
金曜日、少し早めに仕事を切り上げて、いつもの”最終”で松本入りをして
定宿となったネカフェで仮眠。
4時台のムーライト信州に乗り込んで信濃大町からは同じ方面の人たちを募って
タクシーを乗合して高瀬ダムまで。
そこからは日本三大急登の1つに数えられる「ブナ立尾根」の急峻な斜面を登ります。
登りきったところの烏帽子小屋に荷物をデポして、少し寄り道をして、
北アのオベリスクこと烏帽子岳に登頂。
山頂直下の鎖場のうち、上部のトラバース区間は大したことないけど(高度感はある)、
下の直登部分はなかなか手掛かり少なくテクニカルだった。(特に下り)
烏帽子小屋に戻り午後からはいよいよ裏銀座縦走スタート。
360度どこを見渡しても絶景が続くなだらかなトレイルを贅沢に踏みしめる。
左手には険しい餓鬼岳と、その先の燕岳から水平に続く表銀座、
右手には赤々としたレッドブル(赤牛)岳を中心として伸びる読売新道、
背後には烏帽子岳、南沢岳、船窪岳を前列に、後列には立山、針ノ木岳、蓮華岳、
さらに奥に後立山連峰が、ちょうど計ったように頭を並べている。
そうして1日目の宿泊地、野口五郎小屋に15時までには到着。
野口五郎岳からは、槍が方々に鎌を広げている様が、
まるでジュディ・オングか小林幸子がドレスを広げたような派手派手しさで、圧巻。
カーテンコールが鳴りっぱなしでした。
これぞ贅沢の極み。
小屋は小さく昔ながらのアットホームなよい小屋で、
さすがにどの登山口からも遠いこともあり、1人1枚の布団でゆっくりできました。
あまりに空が澄んでいたので、夕焼けは無理だろうと思っていたら、
松本盆地方面に8〜10個ほどの入道雲が各地から沸き立ち、
それらがみるみる発達してそのさらに上空に巨大な笠を作ってひとまとまりになり、
それらが夕日に焼かれ、ただその様を固唾を飲んで見ていました。
あれほど強大な雲は見たことがなく、あれほど雲で感動することはもうないかも。
夜にはその雲が稲光を連発し、下界はさぞかしすごいことになっていたと思います。
あれが稜線上だと本当に一巻の終わりですが、
表銀座の稜線が鉄壁のガードで雲を寄せ付けないので、一応安心でした。
↓烏帽子岳と南沢岳、の奥に立山。右奥に針ノ木岳。さらに奥に後立山連峰
↓烏帽子岳(標高2628m。200名山)
↓野口五郎岳(標高2924m。300名山)
↓巨大な入道雲!
2日目はいよいよ裏銀座のメーン区間。
昨日野口五郎岳の山頂から見えていた山々を総ざらいして、
はるか向こうに見えている双六小屋を目指す長丁場。
まずは水晶小屋までの細い天空の回廊をズンズンと。
あそこは稜線歩きの醍醐味が全部詰まっています。
水晶小屋で一服し、荷物をデポして水晶岳へ。
昨日は見えていなかったあこがれの地・雲ノ平を真下に見ながら、
まずまずの岩礁地帯を詰めていきます。
雲ノ平のそばにはどっしりと黒部五郎岳。
さらにはるかスカイブルーの先に白山のシルエットがはっきりと。
黒部の最奥にあり、もっとも登頂が難しい百名山の1つとされる水晶岳に登頂。
水晶小屋に戻り、そこからゴツゴツとしたワリモ(割物)岳の
少しスリリングな岩場を抜けると、いよいよ鷲羽岳の上り。
ここはピーカンの暑さもあって結構しんどかったです。
なんとなく常念岳を思い出すような上りを詰めて、100名山の鷲羽岳に登頂。
そこから見える絶景のすごいことすごいこと。
黒部の主は間違いなく鷲羽岳でしょといっても過言じゃない。
そこから直下に見えている三俣小屋までの壮絶な下りがまたエライこと。
ガレガレ、ジグザグの道を慎重に慎重に降りて、
小屋の小洒落た展望食堂でランチタイム。
そこから双六小屋までは難易度に合わせていくつかルートが選べるのだが、
どうせならピーク踏んでいきましょうと奮発して、
三俣蓮華岳(岐阜・長野・富山の3県の県境)と幅広い稜線が魅力的な双六岳を踏んでいく。
長い長い一日を歩き通して、無事に2日目の宿泊地に到着。
双六小屋はさすがに各ルートの起点なので人は多め。
最初は4人で3枚の布団といわれていたのだけど、
最終的に小屋の人が調整してくれて1人1枚の布団になり、ラッキー♪
食事がまさか前日と丸被りの天ぷら定食だったのが軽い誤算でした。
(三俣小屋どまりだったらシカ肉のブラウンシチューだった)
ここは山と山の間に挟まれた場所にあるので、夕焼け・朝焼けは残念ながら望めず
その代りに同部屋の人たちとの会話に花が咲きました。
↓最後の秘境、雲ノ平と黒部五郎岳
↓三俣小屋と鷲羽岳
↓三俣蓮華岳(標高2841m。300名山)
↓双六岳(標高2860m)
最終日は下山のみ。
まだまだこの好天がしばらく続きそうで名残惜しい。
でもいざ下山となればスピード勝負で、たったか降りるのはいいんだけど、
途中なぜか弓折乗越で道を間違え、笠が岳方面へ無駄にひと山分越えてしまったり、
もうあと30分で林道に降りるというオーラスの沢渡りで、
転倒して右手首と右ひざを強打したり、結構トラブル続きでした。
やはり油断ちゅうのはほんとにもう…
それでも長い長い下りを4時間ほどでまとめて、
出発30秒前というほんとジャストタイミングで高山行きのバスに間に合いました。
死にそうに暑い高山市街からまっすぐ家路につき、帰宅が16:30と余裕の最終日でした。
それにしても今回は天気も完璧で、火打のアレとかコレとか、
全部元を取って、逆におつりが出るくらいの素晴らしさでした。
1日約15km程度とそこそこの長丁場で、難易度の高い場所はほとんどなかったけど、
いくつもピークを登って降りてを繰り返す体力勝負のコースを
2泊3日で歩き通せたのはよかったです。
まずは膨大な写真整理から初めて詳細はボチボチ。
<0日目&1日目:8時間0分>
18:40新大阪駅⇒(ひかり)⇒19:30名古屋駅19:40⇒(ワイドビューしなの)⇒
21:35松本(ネカフェで一泊)3:00⇒
4:30松本駅⇒(ムーンライト信州)⇒5:11信濃大町駅5:15⇒(タクシー乗合)⇒
6:00高瀬ダム濁沢登山口6:02⇒6:15ブナ立尾根取り付き⇒07:25(6番)⇒
8:08三角点⇒8:16ダルマ岩⇒9:00烏帽子小屋9:15⇒9:30前烏帽子岳⇒
9:55烏帽子岳10:05⇒10:40前烏帽子岳⇒11:00烏帽子小屋11:05⇒12:45三ツ岳西峰⇒
14:00野口五郎小屋泊
<2日目:10時間15分>
5:30野口五郎小屋⇒5:40野口五郎岳⇒6:30真砂岳分岐⇒7:15東沢乗越⇒
7:50水晶小屋8:00⇒8:30水晶岳8:40⇒9:30水晶小屋9:50⇒10:20ワリモ北分岐⇒
10:40ワリモ岳(2888m)⇒11:20鷲羽岳11:35⇒12:40三俣山荘13:00⇒13:45三俣峠⇒
14:00三俣蓮華岳14:07⇒14:25丸山⇒15:00双六岳15:05⇒
15:35双六岳巻道分岐⇒15:45双六小屋泊
<3日目:4時間25分>
双六小屋05:30⇒6:20弓折乗越⇒6:25弓折岳⇒6:40大ノマ乗越6:42⇒6:55弓折岳⇒
7:00弓折乗越⇒7:25鏡平山荘7:45⇒8:00シシウドヶ原⇒8:55小池新道入口⇒
9:00わさび平小屋9:08⇒9:55新穂高温泉駅9:55⇒(濃飛バス)⇒11:45高山駅12:33⇒
(ワイドビューひだ)⇒15:02名古屋駅15:11⇒(ひかり)⇒16:05新大阪