記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

氷瀑を見に 有馬紅葉谷

土曜日。
本当は少し遠征をして久しぶりにお山と思っていたが、
大寒波が来て荒れるかもというので、やんぴ。
晴れていればどんだけ雪が積もっていてもいいけど、
少しでも荒れてホワイトアウトしてしまえば、
慣れない雪山は恐ろしい。
それに電車が止まって立ち往生もありうるのでまた次の機会にでも。
で、これだけ寒ければ、あっちはどうかなと、目的地を切り替えて、
裏六甲へ氷瀑を見に。


9時発の高速バスに乗って有馬まで。
道中、道の脇にさらっと雪がまぶしてある程度で、
全然雪がないからこれは肩透かしを食らったかなと、
行く前から残念モード。
10時に有馬に到着し、早速スタート。
六甲有馬ロープウェイの駅の所からの紅葉谷道は、
途中崩落個所があり、通行止めになっています。
魚屋道から炭屋道経由で迂回が必要です。


↓六甲有馬ロープウェイ


↓紅葉谷道は通行止め


癒しの森の広い河原の所まで到着しても、
雪が全然ありません…
湯槽谷峠方面との分岐くらいまでくると、
少しずつ雪が出てきて、
踏み固められてアイスバーンになっているところが出てきたので
アイゼンを装着。


↓ここでアイゼン装着


堰堤の上をなぞって、徐々に白い世界へと入っていきます。
この一帯の山はどうも脆いのか、
台風などが来るたびにあっちこっち崩落したり、
登山道が寸断されてしまっているようで、
いたるところで見たことのない迂回路が出現します。
古い道も残ったままなので、迷路のようです。


↓う回路


途中から紅葉谷方面へと山肌を下っていきます。
その先、滑落事故が多発していた谷筋の道の真上に、
かなり高巻きする新しい道がつけられていて、
そちらを進む。そこから急激に下って、
ゴルジュの入り口付近に到着。


↓ゴルジュを抜けます


ゴルジュを抜けると、目的地の七曲滝です。
3年前の同じころに来た時と比べても、
雪も氷の付き方もほとんど育っていませんねえ。
まあ、角度によってはそれなりに見せることはできますが、
やはりちょっとボリューム不足は否めません。


↓七曲滝


↓まだまだ氷の付き方が弱いが


↓3年前の様子


↓記念撮影


色々な角度から撮影を済ませて戻ります。
ゴルジュを抜けて、その先の別の谷筋へ入り、
クモ滝を目指します。


↓ゴルジュを戻る


↓いざクモ滝へ


七曲滝と違ってこちらへはほとんど人が入ってこないので、
踏み跡もなく、静かに谷歩き。
こちらも3年前と比べて雪の量が少ないため、
連続する小さな滝の段差を乗り越えるのに難儀します。


↓こちらは結構凍り付いている


途中の滝で面白いものを発見。
見事な飛沫着氷。
これは滝の飛沫がそのまま滴の形で凍りついたもので、
1つ1つまるで宝石の方にきらきらと美しい。
雪深かったらきっと雪に埋もれて見れなかったので、
それはそれでラッキーだったかもしれません。
しばし見惚れて撮影に没頭。


↓飛沫着氷


↓びっしり


↓自然の造形は美しい


↓宝石のようであり


↓蛙の卵のようであり


谷のドンツキまでたどり着くと、
そこに高い高いクモ滝が勢いよく流れています。
こちらも全然凍りつきが悪いですねえ。
3年前はここから無茶をして、
巻き道ルートを見誤って危うく遭難・滑落の目に遭いましたが
あのころは経験がまだ浅かったですね。
今日は大丈夫か???


↓クモ滝


ここで前回はそのまま左手の壁を直登するという
無茶をしましたが、
滝壺の手前にしっかりロープと看板を発見しました。
それに従って急登を登っていきます。
なかなかに難儀な道で、先ほど歩いてきた谷の真上の壁を
細く細くへばりつくように進みます。
大きな筋を抜けるところは相当に高度感もあり、
しかもポロポロと岩が谷へ転がっていくし危険。
どうにか1つ目の筋は抜けましたが、
次の筋が超キケン。
この筋の先に道は確認できるのですが
筋の中央部分は、足場が、
片足のつま先しか乗らない程度の所があり、
ヨコバイで何度かトライしましたが、
無理をしたら確実に滑落します。
ここもポロポロ岩が崩れて転がっているので、
ひょっとしたら元あった細道がさらに崩れてしまったのかもしれません。
もっと雪があれば、それを足場に進めたかもしれませんが
この感じでは足を滑らせるだけ結局ここで引き返しました。
実は後で知ったのですが、
こことは別に、もう一つ高巻きする道があったようで
このルートはすでに廃道になっていたようです。
それを知らず後から来た団体さんに道の様子を尋ねられて、
あそこは難しすぎますと
誤った情報を教えてしまいました…すみません!
やはり2回目もうまく巻けませんでした…


↓ルート発見


↓ここはさすがに危険すぎて撤退


ひとまず七曲滝方面へ戻り、
高巻きの道で紅葉谷道へと戻ろうと、
ロープ場に差し掛かると前方からおばちゃんがダラダラ降りてくる。
えらいダラダラしているが、安全第一だからと待っていると、
おばちゃんが声をかけてきて
「あんたアイゼンしてんの?うちはなくても大丈夫やったわ」と
意味不明のドヤ顔。
アホかと。
アイゼンしてへんから、こんなしょーもないところで
ダラダラ渋滞作ってんやろうが。
山行、それも雪山はただでさえ自己責任の世界やのに、
万一の準備もせんと、なにを自慢げに言っているのか。
そんなんで滑落でもされたら本当にたくさんの迷惑をかけるというのに。
こういう人の迷惑を考えない連中が、面白半分で山に来るなよ。
六甲とか富士山とか、なまじ気軽に入ってこれる山ほど、
こういう迷惑な年寄が正直多いです。
て言うか、自分が遅いせいで長々と人を待たせて、
道を譲ってもらってるんやから、
普通そこは「ありがとう」ちゃうんか。


紅葉谷道へ戻って、そこから百間滝方面へと登り返す。
道の分岐の先にある入り口からぐぐぐっと下って、
さっきの七曲滝の上部へ到着。
なかなかの高度感でした。


↓戻ってからの裏道


↓七曲滝上部


再び引き返して、今度は百間滝への激下り。
時間的にもハイカーが結構増えてきて、行き違いも頻繁に。
谷まで下りきって、ダイナミックな百間滝に到着。
ここはさらに凍り付きが悪かったです。


↓百間滝


そこから白石谷へダイレクトに続く谷を進みます。
みな紅葉谷道へ登り返す人ばかりで
ここはほとんど人の往来がありませんでした。
1つ目の関門のロープ場はすんなり。


↓第1の関門


その先、しばらく進むと1人のハイカーさんが立ち往生。
「これどうしましょう?」と話しかけられて見ると、
ハイライト区間であるゴルジュが険しい。
もっと雪が吹き溜っていれば、足掛かりにできるのだが
この日はたっぷりの水量があって、
どう見ても膝下くらいまでは浸かってしまう。
とはいえ、難所はここだけだし、
最悪有馬で足湯にでも浸かれば問題ないので、強行突破します。
深みの部分も、対岸付近では砂が溜っているので、
無理やりジャンプして、
浸かるのも足首くらいまででなんとか。
それを見て、ハイカーさんもジャンプして、難所を切り抜けました。


↓最難関のゴルジュ


その先谷を折れると、のどかな河原が広がっていて、
たくさんのハイカーがランチタイム。
目の前に流れる白石滝も凍り付いていませんでした。


↓白石滝


そのまま氷瀑めぐりを終了して、有馬へ。
途中の炭屋道の登り返しがしんどかった…
3時間ほどの氷瀑体験でしたが、
ひさびさの山行はちと疲れました。