記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

レッツゴー鹿島槍 feat. Mr.K レイニーブルーなアタック編(2−3日目)

2日目。
4時過ぎに起床し、
外の様子をうかがうとまだ雨は降ってなさそう。
遠く東には富士山の姿も見える。


でも、天気予報は昼前から雨。
とりあえず早がけをして、
降られる前に冷池山荘へ駆け込んで、
そこから鹿島槍へアタックできるかどうか判断するしかない。
しっかりと朝食を摂り、
準備を済ませ、5:45にいざ出発。


↓夜明け


↓左奥が八ヶ岳、中央に富士山、右手に南ア


↓朝食


小屋からすぐ東に見えている爺ヶ岳へ向かいます。
なだらかな稜線を進み、
結構な幅の雪渓を滑らないように慎重に抜けます。
ここは南側の斜面なのに
まだこんだけの雪が残っているのはびっくり。
稜線からは、北側の眺望も開け、
これから向かう方角を確認しますが、
かろうじて冷池山荘は見えますが、
それより高度を上げた布引山や鹿島槍自体は
分厚くて黒々とした雲に覆われています。
もう明らかに天気がよろしくない…


↓いざ爺ヶ岳


鹿島槍は黒い雲の中…


のどかな稜線はしだいに斜度をまし、
ガラ場をジグザグと進みます。
Kさんを励ましつつ、ウンショと登ります。
途中山頂を巻く道がありますが、
巻くと言っても知れているし、
これから雨で鹿島槍へ行けなければ、
ここが唯一のピークになるので、
山頂まで進んでピークを踏みます。


↓爺ののぼり


↓振り返って種池山荘


扇沢方面


標高2669.82m、300名山の爺ヶ岳の南峰に無事登頂。
この時点ではまだ雨は降っておらず、
南側の眺望も見えていました。
Kさんと握手を交わして記念撮影。


爺ヶ岳南峰


爺ヶ岳からの眺望


そこからすぐに出発。
爺ヶ岳は、この南峰、次の中峰、さらに北峰と
3つピークが連なり、その度にアップダウンを要します。
縦走路に戻るころには、
黒部側からモーレツな雲が押し寄せてきて
一気に世界を灰色に包み込んでいきます。
そしてその風に吹き飛ばされた小さな雨粒がビシバシ。
慌ててレインウェアを着ます。
中峰ピークへの分岐に到着。
Kさんはそのまま回避して縦走路を進みます。
自分はザックをデポし、空身で山頂までピストン。
当然眺望も何もなく、タッチしてすぐに取って返します。
分岐に戻り、ザックを回収して、縦走路をダッシュ
ほどなくしてKさんと合流。
そのすぐ前に、シニアの団体さんがいて、
狭い狭い道を随分と占領したまま、
しばらくは真後ろでのろのろ運転。
北峰からの下りに入るところでようやく道を譲ってもらいます。
しばらく樹林帯へ突入し、そこを抜けたガレ場を下ると
冷乗越。
到着して少し休んでいると、一瞬だけ雲が切れ、
すぐ上に、冷池山荘が見えました。


↓どんどん天候が悪化していくが、小屋が見えてきた!


目的地がわかったからと、Kさんが先行させてくれて、
一足先に冷池山荘に到着したのが7:30でした。
すでに雨にやられて全身びしょぬれ。
10分ほど遅れてKさんが到着。
Kさんはもうこの悪天候なら
小屋で待機しますと早々に宣言されます。
自分はもうどうせこれだけ濡れてたら、
あとどんだけ降られても一緒だし、
まだ2時間程度しか歩いてないのに、
本日の行程終了というのもしのびないし、
とりあえず鹿島槍の2つあるピークのうち南峰までは
危険個所はないからということで、
このままアタックをかけることにしました。
もちろん、天候が急激に悪化して危険を感じる前に
きちんと判断して登頂ならずとも撤退します。


↓冷池山荘


ひとまずザックから、
ペットボトル、カメラ、補給食をサコシュに詰め替え、
念のためグローブと、トレッキングポールを持っていきます。
後の荷物は置いて行って、軽量化することで
スピードを稼いで、できるだけ短時間で戻ってくる作戦です。
まだ時刻は8時前で、
小屋の方も宿泊のための入室準備ができていないので、
荷物はKさんにお願いすることにします。
そしてすぐに出発します。
小屋の裏手から、いったん東の斜面へ出て、
そこからテン場まで登る。


↓テン場から種池山荘ちらり


テン場の先から、ブッシュを抜けると、
何か所か雪渓を渡るところが出てきます。
ここもしっかり足跡が残っているし、
ステップも切ってくれているので歩きやすい。


↓雪渓渡り


雪渓を渡り、さらにブッシュを抜けていくと、
一気に前方が開け、ガレガレの岩場の九十九折れを
黙々と行く登りに入ります。
高度を上げたせいか、天候が急転しているのか、
このあたりから雨粒の大きさが
はっきりと先ほどとは違って大きくなります。
そしてなにより西側から吹き付ける風が狂暴化。
ぴしゃんぴしゃんと雨粒を叩きつけてくる。
当然右も左も真っ白の世界で、
そのもやもやの中へ岩の登りがすうっと登っていくのを、
ひたすらに詰めていきます。
そうして30分ほどで布引山という標識のあるところに出ました。
ここでひと段落しますが、
立ち止まっていても疲労が増すだけなので、
写真を撮ったらすぐに移動開始。


布引山から先、一旦斜度は緩みますが、
延々と同じようなのぼりが続きます。
何度かピーク化と思えるようなところも偽ピーク。
さらに荒れ狂う風と、大粒になった雨に、
できるだけ低い姿勢を取りながら、
トレッキングポールを支えに前進。
ダラダラとしたガラ場の道を詰めて
ようやく鹿島槍ヶ岳の南峰に登頂。
いやあ、辛い!雨と風で何も見えない!


鹿島槍ヶ岳南峰


全身ずぶ濡れで、まとわりつく不快感を払いながら
写真撮影をしていると、
アンザイルをした4人パーティーさんが別方向から登頂されてきた。
どうも、この悪天候の中、
キレット小屋から出発されたそうでご苦労様です。
思ったよりも早く登頂できたので、欲が出て、
北峰まではどんな感じですかとリーダーらしき人に尋ねると、
いくらかかっても30分で着けますよということだったので、
とりあえず行けるところまで行ってみることにします。
すぐに北側の斜面に取り掛かりますが、
南側と違って、一気に本格的な岩場になります。
あまりに急なので掛けてあった一眼レフをザックにしまい、
両手を自由に使える状態にして、濡れた岩場をガシガシ下ります。
いやああ、ここはちょっとこのコンディションでは厳しい@@@
どうにか急場を抜けるると、今度は細い吊尾根。
風が狂ったように横殴り@@@
そこから五竜への分岐までの登りを耐え、
さらにジグザグ進んで北峰登頂。


一眼を出すのが面倒なのでと、
さっとスマホを取り出し記念撮影してすぐに引き返す。
とりあえずここまで来てしまったので、
再びあの怖い岩場を登り返さねばなりません@@
この天候でただでさえスリリングなルートが
濡れて難易度が上がっているので、いろいろ堪えながら進みます。
往路はとにかく先に登頂を目指して黙々と進んだが、
帰りは要所要所で写真を撮れればと思って、
スマホを取り出していたのだが、
その際に、いきなりバチッという小さな音とともに、
ディスプレーの一部が、蛍光灯の替え時のような影が出て、
画面が出たりでなかったり(汗)
いやこれはおかしいと、いったん強制終了して、再起動をかけるが、
今度は指が反応せず(大汗)
水に落としたのならまだしも、
まさか雨で漏電はないだろうと思っていたし、
まあディスプレーがやられた程度なら大丈夫だろうと軽く見てたし、
何より、こんなケースは初めてだったので、
漏水時は絶対に電気を流さないという基本的な対応も知らず、
ただただ焦って、何度もつけたり消したりしてしまう。
それでもどうにもならないし、
こんな雨風吹きすさぶ岩場で
長々と立ち止まっている場合でもないので、
スマホを仕舞って、代わりに一眼を取り出しリスタートします。
南峰のえぐい岩場を丁寧に登り詰め、
山頂に戻ってきた時にはさすがに安堵しました。


↓南峰のえぐい岩場


↓さすがにちょっと焦る@@


↓南峰に無事に戻ってきた


そこからは、来た道を戻るだけで、
難所もないので飛ばして帰ります。
戻りがてら、今から山頂へ向かう人たちと何度かすれ違います。
ここから昼にかけてますます天候は悪化するのでちょっと心配。
布引山で写真を撮って、そこからも転げるように戻るが、
一眼のレンズの内部にびっしり水の結晶がついてしまって、
覗いても白モヤがかかって、こちらも撮影不能に!
こちらはよくある現象なので、乾けば大丈夫だが…
そんなこんなで、11時前にどうにか小屋に舞い戻りました。


↓布引山


もう上も下も全部びしょ濡れで、
持って行った携帯食も全部水没。
衣類も全部どろっどろで、すぐに乾燥室へ。
(冷池の乾燥室は乾きづらい…)
玄関口で荷物と格闘しているとKさんが部屋から降りてきて
労をねぎらっていただきました。
メインザックに着替えなどを置いていったので、
大半の荷物はセーフ。
すぐに着替えをして、体を温めるために談話室のストーブに当たる。
この日はさすがにこの天候だし、
日曜日ということもあって全然人がおらず、
個室を2人で貸切状態でした。


↓本日の寝床。2人で1部屋


じきに昼になって、カレーをいただきます。
で、ここからはとにかく
スマホをどうにかこうにか直そうとするのだが、
どんどん悪化して、もうどうしようもなく…
雨で午後は何もすることがなく、
小屋にいる人は雑誌を見たり漫画を見たり、
テレビで相撲観戦したり。
自分は全力でアタックをかけた影響か、
疲労で眠くなり2時間ほど昼寝。
唯一の楽しみの夕ご飯もしっかりいただいて、
20時に消灯。
どうも体がカッカしてなかなか寝付けなかった。


↓昼飯


↓晩飯


さて最終3日目。
寝たら治るかもとわけのわからない理由で
起きてすぐスマホを起動してみたけど、やっぱダメ。
お天気も相変わらず好転する兆しはないが、
前日の土砂降り状態ではなく、朝は小康状態。
その間に、できるだけ稼いで、
稜線を外れれば濡れずに済みそうだ。
5時に朝食をいただきます。20人もいない食堂でした。
小屋の人と、長野県の山岳パトロールの方にお礼を言って
すぐに出発。


↓朝食


↓天気わろし


爺ヶ岳を抜けていく辺りは、風が抜ける通り道なので
黒部側からのモーレツな横風がびゅんびゅん。
幸いにして雨は降っていないし、
生暖かい風で寒さもないが、
とにかく吹き飛ばされそうな感じになりながら、
Kさんと黙々歩く。


↓モーレツな風!


↓悪天は嫌いじゃないわよ


爺ヶ岳南峰から進路を西へ取り、一気に下り。
昨日は見えていたすぐそこの小屋はモヤの中で全く見えず。
淡々と歩いていると、
南斜面の繁みがザワザワしているので覗いてみると、
雷鳥さんがひょこひょこと歩いており、Kさん大喜び。
眺望もダメで、1日小屋で缶詰めだったので、
最後のご褒美のようにひょっこり出てきてくれました。


↓ん?あれは…


ライチョウさん♪


種池山荘には7:30頃に到着。
少しだけ休憩を入れます。
ここは10:00〜13:00の間だけ、
自家製ピザが食べられるのですが、
初日もこの日も時間外でじゃんねん。
またピザを食べに遊びに来ますと
小屋の方にご挨拶をしてリスタート。
急登を下っていき雪渓まで来ると、
小屋の方がスコップで雪渓をカットして
歩きやすく整備をしておられました。
ありがたや〜。ご苦労様です!


↓雪渓渡り


そこから柏原新道を黙々と下ります。
途中、何度も行き違いや追い越しがありましし、
どこかTV局の人たちがカメラを回しておりました。
下りは思ったよりも長く、結構疲れましたが、
10時ごろに駐車場に無事下山。
お疲れ様でした!


↓無事下山なり


帰りは、まず大町温泉郷の薬師の湯で汚れを落とし、
それから蕎麦処でランチ。
ちかくの産直市場で、
地のお野菜を格安で購入してお土産にしました。


↓そばランチ


帰りも高速飛ばしてびゅん、なはずが、
中央道はいたるところで工事でレーン規制。
岡谷JCTでは、名古屋方面への分岐が
まるで封鎖されているかのようで、
一瞬曲がりそこなうところだった(汗)。
恵那峡と多賀で2回休憩を取り、
帰阪したのが19時を少し過ぎたところでした。
Kさん、お疲れ様でした!