記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

ソロイスト

この間、山好きの社員同士でちょっと話をした。
みんな共通の意見として興味深かったのは、自転車にせよ山登りにせよ、
単独が基本、というか大原則という点。
別にみな集団行動が苦手というわけでない。
でもやっぱり1人でチャレンジしなきゃというのである。
何人かでパーティーを組んだり、あるいは大人数でワイワイやるのも
嫌いじゃないし、たまにはそういうのに参加している。
でも、それでは何か決定的な醍醐味が損なわれていると感じるのだ。
勘違いしないで欲しいが、それは決してスカしているというわけではない。
ソロイストは決してナルシストというわけではない。
ナルシストというのは周囲の人間に自己を顕示するものだが、そうじゃない。


かくいう私もソロイスト。
伊吹山鈴鹿などのイベント事も楽しかったし、
木馬の人たちとの淡1も勉強になってとってもよかった。
だからといってどこかのチームにどっぷりなじんで楽しむというのは難しい。
うまく説明できないのだが、たぶんこういうことだと思う。
いつもの勝手知ったる道や山であっても、100kmに満たない近場ツーリングでも、
自分の意識の中ではちょっとした「冒険」なんだと思う。
「冒険」とは自分自身にとっての挑戦であり、葛藤。
ロードを相棒に、彷徨い人となって、
周囲の環境、例えば景色や音、におい等々を全身で感じ取りながら、
結局何をしているかといえば、自分自身との対話。
走る上るを繰り返す中で、可能性とか限界とか感じながら、
家族のこととか将来のこととか、つまらないことから深刻なものまで、自問自答する。
ロードって単なる趣味や遊びというよりももっと深い、
哲学的というと大袈裟だけど、自分にとってはそういう時間。
だからこれからも、時々イベントとかに顔を出しつつも、
ソロという立場は変わらないと思う。


結局同じ山好きの面々との話の中で、「今度一緒に」という話は一度も出なかった。