記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

最も美しい敗戦

先のCL準決勝後のインタビューでのインテル監督モウリーニョの言葉だ。
その言葉どおりの試合だった。


新しい世代の名将である、グアルディオラモウリーニョ
方や、現在世界最強、向かうところ敵なしのバルサと、
不正行為で衰退したミラン、ユーベを尻目に、セリエA連覇を続けるインテル
本大会の目玉。まさに世紀の戦い。


1stレグ、下馬評を覆して3-1の完勝。
神がかり的な活躍をみせていたメッシに仕事をさせないのはもちろん、
球の出所であるシャビを徹底的につぶし、ほとんど仕事をさせなかった。
そしてスナイデルという極めてタフな武器を最大限駆使して
決定的ともいえる結果を残した。


とはいえ相手はバルサ、しかも2ndレグは相手サポータで埋め尽くされたカンプ・ノウ
2点目を奪われた時点でジ・エンド。
モウリーニョはきっと相当なプレッシャーがのしかかっていたに違いない。
しかし恐らく、大観衆のプレッシャーが重荷になっていたのは、実はバルサの方だったかもしれない。


序盤から、予想通りバルサのほうが優勢。
必死に受けて立つインテル。まさに消耗戦だ。
そこへ前半28分、モッタが相手へのプッシュにより退場。
このとき、ああこれでインテルの勝ち抜け決定だなと思った。
インテルにしてみれば、守り抜くのか、あるいは攻めるべきなのかという
戸惑いが完全にここでなくなり、ひたすら残り時間を耐えて守るという意識に
完全にスイッチしたはずだ。
守り抜くサッカーはイタリアのお家芸
1点は失うかもしれない、でも2点目はもうないと確信した。
もうメッシに全盛期のマラドーナが乗り移ったて無理だ。
逆に相手が1人減って、是が非でも点を入れないとサポーターが納得しない状況に追い込まれたバルサ
案の定、怒涛の攻撃、シュートの嵐。
惜しいシュートは何本もあり、またジュリオ・セザルのスーパーセーブもあったが、
ゴールするしないの微妙な差は、このプレッシャーに少なからず影響されているだろう。
結局ほとんど防戦一方のインテル
1点失い、終了間際に冷や汗(あれは完全にハンド)はあったが、
プランどおりに任務を遂行した。
2戦続けて、モウリーニョの魔力は相手を完全に封じ込めてしまった。
ここまで監督が試合をコントロールするとは、悔しいが名将といわざるを得ない。


次はいよいよ決勝。しかし相手はクセ者のバイエルン
バルサほどの爆発力はないが、老獪な監督に率いられたドイツチームは
一筋縄ではいかない。