記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

有馬名瀑めぐり、のつもりがアドベンチャー

日曜日。
このところ自宅での色々が募っていたので、久々に外遊び。
金曜日に大雪が降り、これは絶対面白いことになっとるぞ、ということで、
普段アプローチが面倒で足が向かわない、有馬方面でお山遊びに決定。
有馬四十八滝と呼ばれる滝エリアを散策して、あわよくば大氷瀑を詣でましょう♪


ということで、朝イチで出発するはずが、このところの疲労で起きれず、
10時起床で、10時半出発。
まずは有馬までアプローチだが、阪急の高速バスをすっかり失念していて、
JRで宝塚まで出て、そこからバスに乗り継いでと面倒なアクセスで、
結局有馬に到着したのが12:30でした。
有馬温泉の時点で周囲は結構雪で白くなっておりました。ワクワク。


有馬温泉からすでに雪化粧


ごったがえす温泉街をスルーして、登山口へと急ぎます。
金の湯を通過し、温泉寺の階段を上り、炭酸源泉公園まで来ると、
急斜面はびっしり凍り付いている状態。
前のめりでキックしながら、九十九折れを慎重に上りきり、
車道に出ると、側溝はかき分けられた雪でいっぱい。
だが、車の走る部分は問題なく歩けるのでずんずん進む。
かんぽの湯の前を過ぎ、冬季休業中の六甲有馬ロープウェイの有馬温泉駅に到着。


↓六甲有馬ロープウェイの有馬温泉駅


駅の左わきに伸びる山道を進んでいきます。
この辺は雪が解け、未舗装のダートと混じった茶色い泥状態。
一か所、落石ポイントがあり、折れ木々をまたいでいく。
時間帯的に下山してきたハイカーたちとたくさんすれ違う。
アップダウンもそれほどなく、ダート道を進んで、川をまたぎ癒しの森に到着。
その先少し登りが発生し、雪の具合も徐々に増えてくる。
そうして、湯槽谷山との分岐ポイントからはいよいよ本格的な雪道となるので
ここで軽アイゼンを装着します。ワクワク。


↓紅葉谷出合にて6本歯軽アイゼン装着!


ここから先は、一面の雪景色で、登山道もびっしりと雪。
雪は登山客が多いので踏み固められていて、あいすば〜ん。
さすがにここは普通の足回りでは厳しいだろうが、
シャクシャクとアイゼンがよく効いて何の問題もなく歩ける。
白谷第一堰堤の上を通過し、しばらく雪原を進むと、
石谷と紅葉谷の分岐に到達。これを右手に進んでいきます。


↓紅葉谷出合から本格的な雪道


↓白谷第一堰堤の上を通過


↓分岐を右へ紅葉谷方面へ


徐々に傾斜が急な上りとなり、
クネクネと斜面に取り巻きながら高度を上げていきます。
登山道はしっかりしているし、たくさんの人が行き交うので問題なし。
だが、景色が一面、白いというだけでなんて楽しい♪
雪山というにはまだまだ序の口かもしれないが、また新しい扉を開けそうだ。
そうしてウネウネと進んでいくと、
今度は極楽茶屋跡へ向かう尾根道と、七曲滝に続く谷道の分岐。
それを右に進路を取る。
しばらく進むと、右手に落差6mの蟇滝が見えてきました。
残念ながら滝は凍り付いておらず、勢いよく水しぶきが飛んでおります。


↓蟇滝(がまたき)


蟇滝の真横は、やせ細った登山道が、どうにかこうにか山肌にへばりついている状態。
一応ロープが張られてありますが、傾斜も急でかなりの難所。
もし足を踏み外せば滝壺へまっさかさまで、そうなれば無傷ではすみません。
他のハイカーの話ではつい先日も2人ほど滑落してレスキューされたそうです。
当日は岩肌が凍ってツルツルで足元をしっかりと踏ん張りながら越えました。


↓痩せたロープ場。右は滝壺へまっさかさまヨン


↓なかなかスリリングな難所


ロープ場を過ぎると、平坦な川面となり、じきに谷は左右へとY字に分岐する。
そこを左へと回り込むと、ゴルジュ(両側の岸壁が狭くなった峡谷)があり、
その先に色とりどりのウェアがにぎやかにしております。
川の水にできるだけ沈まないように、雪面や岩場を渡ってゴルジュを抜けると、
ぽっかりと円形の空間があり、その右手に七曲滝があります。
ここは有馬側のメジャーな立ち寄りスポットなのでさすがにハイカーが多い。
有馬側からアプローチする場合は、さきほどの蟇滝上部の難所を除いて
比較的イージーにアプローチできるということもあり、たくさんの人が訪れます。
が、中にはこんなツルツルの状態にもかかわらず、普段着でアイゼンもなし、
それどころか普通のスニーカーで来ている若者もたくさんいました。
安易な装備、安易な行動はれっきとした迷惑行為ですぞ。


↓谷の分岐を左に折れ、ゴルジュを抜けると…


↓七曲滝


↓なかなかの盛況ぶり


七曲滝のほうも、この日は比較的暖かかったため、
完全に凍りつくところまではいかなかったが、
それでも滝の両サイドにはびっしりと凍りついていて見ごたえがありました。
色々とアングルを変えながら写真を撮ります。
滝の直下にもぐりこんで撮影していたら、ちょっとしぶきで濡れてしまう。
でも楽しい♪
腹ごしらえをしていなかったので、ここでおにぎりと水分補給。


↓両サイドはびっしり氷結


↓真下から


↓七曲滝にて


さて、今日は紅葉谷・白石谷の滝をできるだけ鑑賞したいので、次へ参ります。
ゴルジュを再び抜けてから、一般ルートを外れてバリエーションルートに挑みます。
蟇滝上部の難所の手前、谷筋がY字に分岐しているもう一方の方へと進みます。
谷の入り口が深い水のたまり場になっていて、どう抜けようか思案する。
左手の大きな岩の上を巻いていけそうだが、
雪が浅く転落したら、ずぶ濡れになってしまうため、少し靴が濡れてしまうが、
できるだけ水面から浅くなっている岩を伝って谷に侵入する。
七曲滝ではあれほどたくさんのハイカーがいたが、こちらの谷筋は全く誰もいない。
踏み跡もないので、雪がズボズボと膝下まで埋もれる。
滝と呼ぶのもはばかられるほどの段差がいくつも連なり、苦労して前進していく。
谷の入り口を少し入ると、再び谷が2分しているが、
右手側はすぐに行き止まりなので、左手へ進む。
ここまでは振り向けば一般ルートが向こう側に確認できるのだが、
ここを入ってしまえばもう一般ルートからは完全に見えない。
ひとまずこの谷のドンツキにある蜘蛛滝までは2つ3つ小滝帯を抜けていかねばならない。


↓蜘蛛滝へ続く谷へ侵入


↓膝下までズボズボ


↓前方に小滝現る


↓小滝群その1


ひとまず谷の奥へと進んでいくが、雪が思った以上に深く、
ズボッズボッと思うように前進できない。
段差もそこそこあり、悪戦苦闘しているうちに、
水面の上に張り出た雪庇を踏み抜いて川に片足をドボン。ああ、濡れちゃったよ。
この先どのくらいの距離なのか予測できず、
体勢が安定しないので、いったん一般ルートの見える位置までバックし
地図を見返しながら思案する。
すると、一般ルートの方から、赤いウェアを羽織った単独さんがこちらを認めて、
谷筋の方へ入ってこられる。
そうして合流してお話し、この先に蜘蛛滝というのがあるんでと説明をすると、
行けるところまで行ってみましょうということになる。
単独ではちょっと不安だったが、即席のパートナーさんを得て、
再び前進を開始する。


↓パートナー現る


1つめの滝は、自分の背丈くらいあり、相方さんは右手から巻こうとしたがうまくいかず。
どうも段差が大きく乗り越えられず、張り付いた雪も簡単に崩れてしまうようだ。
そこで自分は左の方から徐々に攻めていってルートを開く。
滝の上部に出ると、その先にまた同じような滝が続いている。
ズボッズボと真綿のような雪を踏みしめ、倒木をかき分け、
何度も流れを行ったり来たりしながら、前進する。
3つ目の滝には左手にトラロープが張られていて、それを利用して上がる。
そこからは上りはなく、静かな雪の谷を進んでいく。


↓小滝群その2


↓左トラロープから巻く


相方さん、結構アグレッシブな方の様で、臆することなくズンズンと進んでいく。
自分もそのあとについていきます。
すると谷のドンツキに出ました。右手上空から水がピチピチと流れております。
落差30mほどの2段の滝、蜘蛛滝に到達です。
下段はなかなか凍り付いているが、上段はちょろちょろと水が流れております。
しばらく絶壁に見入ったら行動に移ります。
ここから一般ルートに素直に戻ってもいいのだが、
ここからさらに裏ルートで先ほどの七曲滝の上部に抜ける道があるはず。
蜘蛛滝にぶつかってUターンをするような形で道があるはずで、
取り付きにはテープか何か目印があるはずなのだが、
見回してみてもそれらしいものが発見できない。
もしかして雪で埋もれて確認できないだけかもしれないが、
しかしまさかUターンする格好だとそそり立つ絶壁にかじりつくような形になってしまうし、
それは考えづらい。
どこからか滝の左手から上っていけば合流できるだろうという安易な発想で、
蜘蛛滝の一筋横の急斜面(といってもそこもすでに絶壁…)を上っていくことにします。
これが大間違いのはじまりまじまり〜。


↓蜘蛛滝


↓蜘蛛滝の左側の絶壁を上る!?(壁の具合がわかりやすかったのでこの写真は拾いました)


↓いざ参る!


おそらく、こちらの沢は水量が多いときは滝の一部と化しているであろうと予測できるほど
急で険しい絶壁。
ただ雪がうまい具合に張り付いていて、頑張れば上れないこともなさそう。
2人で手分けをしてできるだけイージーなルートを検索してみる。
まずは沢のど真ん中からアタックを開始するが、
壁に取りついている雪は締まっておらず、
足をかけた瞬間にずぶずぶと下に雪崩れてしまい、体を引き上げれない。
仕方がないので、両手をずぶっと突っ込んで、しっかりかませてから上がるが、
それを繰り返しているうちに、周辺の雪がはがれて、
結局、対して上がれないまま断念。
そこで、相方さんが、沢の左から右へと横切るような形で、どうにかルートを開き、
取り付きの一番傾斜が急なところをクリアしていく。
上から崩れてきた雪が押し寄せてくるので、一定の距離を開けて自分も追走していく。
そうして1段目をクリアし、次は沢が2分しているポイントに到達。
そこは水が軽く流れ、雪がついていない個所で、しっかりと3点確保で、
ジグザグをくりかえして右手の沢の入り口にアプローチ。
そのポイントは大木がなぎ倒されて上から流れてきたのが障害となっていて、
その幹の下をくぐって沢の中央部分に出る。
そこから右手、蜘蛛滝の方を確認すると、上部の木にテープは巻かれているのを発見。
ただ、そちらは明らかに蜘蛛滝上部へ向かう方向で、自分たちが向かう方向ではない…
この時点で明らかに道が間違っているのがわかったので、
前を行く相方さんを引き留めて作戦会議。
上部で沢は緩く右へカーブをしていて、自分の位置からはその先が確認できないのだが
相方さんからは見えるようで、さらに上った先で左へと進んでいるとのこと。
もうちょっと頑張ってみます!と相方さん、ここでもアグレッシブにリスタートしていった。


さて、自分はどうしようか…
上ってきたルートを確認すると、滝壺は遥か下。
よくよく確認すれば落差30mの蜘蛛滝の上部とほぼ同じ高さまで上ってきてしまっている。
自分が今絶壁にへばりついているという状態に我に返る…
果たして無事に下れるのか…
しかも、遮二無二雪の壁をあがいてきたので、グローブも水を吸ってぐじゅぐじゅ、
靴の中にも雪が入り、足先が冷えてきている。戦況は悪化の一途をたどるばかりだ。
その不安と同時に、どんどん先へと進む相方さんのことも心配だ。
自分が行ってみましょうと提案してしまったばっかりに、
妙なところへ迷い込み、このまま1人で滑落や遭難してしまったら申し訳ない…
それに相方さんはどうもこの辺の知識をあまり持っていないようだし、
なかなかアグレッシブな感じなので、ちょっと心配。
もしなんだかんだで、当初の七曲滝上部への裏ルートに出れれば問題ないし、
だめだった場合、単独よりも2人の方が撤退しやすい。
ここはもう少しだけ自分も頑張って追随することにした。


↓滝壺はすでに遥か下…バックできるのか…


先ほどよりは少し傾斜が緩くなった上部をひたすら雪と格闘して上がっていく。
だいぶ離されていた相方さんにどうにか追いつく。
上部にきたことで、谷全体の地形が目視できるようになった。
確かに相方さんの報告通りで沢は左へと進んではいるが、
今我々が進んでいるのは明らかに方角が違う感じ。
ここら辺まで来ると熊笹が雪の間から顔をのぞかせてきたので、
もうそろそろ上りも終了しててっぺんに出るかと期待する。
が、斜度はマシになったものの、延々と雪の斜面は続き、
今度は木々や茂みの密集具合がひどくなって前進するのがとても厳しい状況となった。
そこで、本来進むべき北東方面へと転じるためにも、左手にトラバースをして、
別の谷筋へと向かうが、なかなか雪が深く、
しかもうかつに踏むと崩れてしまうという危険地帯。
その先の大木のところで合流して、どうしようかと再び作戦会議。
やはり、見通しが全然つかないのと、時間的なものもあって、ようやく撤退を決める。
しかし、撤退といっても、さっきの絶壁を下るのはかなり危険が高い。
ということで、こちらがわにトラバースしてきたので、
この沢を蜘蛛滝方面へ下ることにする。


↓撤退ルートを検索中…


大きく鞍をまたいで、別の沢に侵入する。熊笹がいいストッパーとなる。
大木が横倒しになっているところを苦労して跨ぎ、
ゆるく左にカーブしている地点へと進むが、前をいく相方さんが急にストップ。
どうもその先で斜面が切れ落ちているようで、ここからは下れそうにないということ。
仕方なく、今下ってきたところを上り返す。
下りは雪が滑り落ちるのを利用できるのだが、
一度崩した斜面を登り返すのはかなりの重労働で、
足だけでは段差を越えれないので上半身もフル活用して上っていく。
さっきまたいだ鞍部は自分の背丈ほどあって、簡単には越えられない。
周辺の木々を支えにしつつ、どうにか上りきるが、
その反動で、背中のザックに刺していたポールの1本が枝に引っかかって落下…
後ろを進んでいた相方さんに拾ってもらい事なきを得る。
そうして、さっき作戦会議した大木のところまでどうにか戻ってきた。


↓決死の撤退中


これはもう、あれこれ探しても、危険なのには変わりがないので、
一度状況を確認している上り口のルートがベストなルートだろうと判断し、
そちらを目指すことにする。
自分たちの踏み跡を慎重に慎重に見極めながら進んでいくが、
その場所だって決して安定しているわけではなく、
足を置いた瞬間にズズズっと滑っていく。
前方に木々が密集している地点を見定め、
そこまでノンストップで滑り落ちる前に渡りゆくような感じ。
そして元の沢の最上部に戻ってくる。沢の分岐点までは割合傾斜も緩く、
分岐点は大木で遮られていて、それより下には滑落しないようだったので、
ここは尻セードで一気に下りきる。


↓あまりの絶壁に悪戦苦闘


問題はそこから先、滝壺までの20mほどの部分だ。
倒木と倒木の間を慎重にくぐり、
一度右手の沢にエスケープして、左の沢へトラバースしていく。
岩肌がむき出しのところは慎重に横断し、雪だまりの部分を狙って
ザクッツザクッと足を踏み込む。
コントロールが効かなく前に次の足をだし、
勢いをしっかり殺しながら下方向ではなく横方向に動いて
どうにかこうにか滝壺に降り立つ!
そうして後続の相方さんが下りてくるのを見守り、無事を確認して、
無時の生還に思わずがっちりと握手!
いやあああ、お疲れ様でした〜@@@@
必死すぎてあっという間の出来事でしたが、
気づけば1時間30分も悪戦苦闘しておりました(汗)
どのくらい登ったのかなあ、蜘蛛滝の倍は登った思います。
下から改めて見上げて、なぜここを登ろうと思ったのか。
きっと無雪期でもこの絶壁を上るのは、クライミングの領域だったと思います。
こうやって無茶をしたり、判断を間違って遭難するのだろうなあ。
無事だったから笑い話ですんだけど、ヘタすりゃ滑落、遭難が十分あり得ました。
見切り発車で突撃したことを深く反省です…


↓無事に安全帯まで降下完了!


無事に安堵して、少しばかり休憩をしたら、蜘蛛滝を後にします。
で、回れ右をして少し沢を下っていくと…
なんと右手の斜面にロープとテーピングが!
なぬ〜!こっちが裏ルートだったのね〜。ということで登り口を発見。
どうも滝の存在に気を取られて滝壺の奥に侵入しすぎたようです。
滝壺から見回しても、岩肌のでっぱりでこの目印は見えない位置にあり、
まんまとやられました…
しかし相方さんはもうすでに体力の限界、
自分も思わぬタイムロスで時間がないので今回は断念することに。
次回リベンジを誓う。


↓振り返れば巻き道発見…チャンチャン


↓ちなみに相方さんのレポはこちら
http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-407641.html


2人で一般ルートまで戻り、久々の人の賑わいに一安心します。
蟇滝のロープ場は大渋滞が起こっていて、しばし待機。
(そらあ、こんなとこアイゼンもなしで来るからだ!)
無事に通過し、極楽茶屋への分岐点で相方さんとお別れしました。
お疲れ様!
そこからゆったりとした上りをえっちらと上り返す。
一か所登山道が崩落して迂回路が設けられ、その先でカチカチと階段を下る。
しばらく進むと標識があり、百間滝方面へ左折する。


↓この分岐を左に入り、急降下していく


ここから先は急な下り坂となっていて、
九十九折れを慎重な足取りで下っていきます。
前方のパーティーの歩みが遅く、軽く渋滞が発生。
少しブレイクと、歩調を合わせて、しばらく進むと百間滝の直上に出ました。


↓百間滝上部より


そこからさらに急斜面をジグザグと下って滝壺へおります。
落差30mの百間滝です。こちらも残念ながら完全氷結とはいきませんでしたが、
正対すると、威圧感たっぷりのシルエットで迫力満点でした。


↓百間滝


↓盆栽の松のように雪がへばりついている


↓百間滝にて


同じ滝壺の別の分岐を奥へさらに進み、似位滝を目指します。
凍りついた沢を何度か渡るとすぐに到着。
こちらも30mほどの落差がある滝です。
ここでちょっと補給もかねてブレイク。


↓似位滝


↓似位滝にて死亡遊戯


少し休憩をしたらリスタート。
当初の予定では、極楽茶屋方面へ抜けて、軽く縦走ののち、
運行再開した六甲ケーブルで帰ろうと思っていたのだが、
既に時刻は16時近いこともあり断念します。
再び来た道を上り返すのも面倒だしということで、
この沢を下って白石滝を目指し、そこから有馬に戻ることにしました。


↓谷筋に沿って下っていく


静かな谷にはわずかにトレースが残っているので、迷うこともなく、ずんずん進む。
すると、沢は一気に幅を縮めてゴルジュとなります。
ここま巻き道がないので、段差を備え付けの小さな梯子で抜けていきます。
水がちょろちょろと流れていて、少し靴を濡らします。
後ろを確認すると、青いウェアを着た年配の方が追随してこられました。


↓1つ目のゴルジュは梯子で下る


↓振り返ると追随者


1つ目のゴルジュを抜け、しばらく進んでいくと、再びゴルジュ。
それもさっきよりも立派なもので、深い深い渓谷となっています。
さすがにこれは突撃できないなあと思ったら、
右手の岩場にロープがあり、巻き道がありました。
エイヤッと上って難なくクリア。
くぐった先にゴルジュの方へ道があったので引き返して写真をパチリ。


↓再びゴルジュ登場。ここは右手ロープ場を高巻く


↓深いゴルジュ


そこから穏やかな沢の流れに沿って歩いていくと、白石谷の広場に出ます。
ただっ広い一帯は雪で真っ白。ここは関西でしょうか?
広場を右折したらすぐ白石滝があります。
これは全部で7段ある滝なのだが、流れが複雑にカーブしているので、
下からは全容が見渡せません。
ここからさらに奥へ進んでいけば白石谷の核心部へと続き、
そこにはまだ白龍滝、大安相滝などがあるのだが、
この白石滝を巻く道が結構上りが厳しく、
しかもその先トレースがなく雪が深いため、時間的にリミット。
さっきも無茶してえらい目にあったので、今日のところはこれにて終戦
もっと朝早い時間から行動して、また冬の間に一帯を実踏調査したいと思います。


↓白谷の広場


↓白石滝


白石滝を後にし、有馬方面へと戻ります。
2つ、3つ堰をまたいで紅葉谷出合に戻ってきました。
そこから癒しの森方面絵春いていると前方から若者が1人山へ向かっていきます。
こんな時間から大丈夫と思っていたら、
「すみません!滝ってもうすぐですか?」と聞いてきました。
そこで細かくルートと距離を教えてあげ、プリントアウトしていた地図をあげる。
ただ、足元を見るとアイゼンはなく、登山靴でもない。
ちょっと足回りが難しいかもしれないし、
帰路が夕暮れの時間で足元が不明瞭だと危ないし、
何よりなんかあってももうハイカーはほとんどいないから、
無理はしないようにとアドバイスしておく。
とりあえず、行けるだけ行ってやばそうなら撤退しますといって若者は進んでいきました。


癒しの森の岩のベンチでアイゼンを外します。
ちょうどさっきゴルジュ帯を後ろから追随してきたハイカーさんと少しお話。
新神戸から摩耶山経由でこちらまで歩いてこられたそうです。ご苦労様です。
さっきのゴルジュの突破の仕方がわからず一度引き返したのだが、
自分がそっち方面へ進んでいったので確認がてら来たそうです。
イカーさんにお別れを言って自分は一足早くリスタート。
ダート道をトレラン気味に小走りで進み、有馬温泉まで戻ってきました。


まずはバスの時刻をと確認したら、梅田行きの特急はあと30分ほど待たねばならない。
とその時、阪神芦屋行バス出ますとアナウンスがある。
特急なら梅田まで1時間弱だが、芦屋までなら35分。
ちょっと六甲山上の具合も確認しておきたかったので、
大急ぎで切符(760円)を購入し飛び乗ると、すぐに発車。
ああ、温泉もみやげも酒も全て忘れてきました。まあ、早くおうちに帰りたかったので。
でバスは芦有ドライブウェイを慎重に走ります。
宝殿ICは一面の雪野原で、これは間違ってチャリでTTしてたら大変だろうなあ。
結局雪がなくなったのは奥池を過ぎ、料金所あたりまでかかりました。
阪急芦屋川でバスを降り、ジャストタイミングで電車に飛び乗り、梅田着が17:40。
雪と沢の水で濡れ、格闘で汗びっしょりのまま、
バスと電車で寝むりこけてしまいすっかり体が冷える。
これはちょっといかんということで、毎度の七津屋さんで熱燗しばいて祝杯。


↓熱燗で祝杯♪


いや〜ちょっと滝を見て帰るつもりがとんだ大冒険となってしまいました。
無茶ぶりは猛省しなければならないが、やはり筋書きのないチャレンジの楽しいこと。
しかしまた面白いことを見つけてしまったヨ。
ああ、またお母ちゃんに怒られる〜@@@
楽しみ〜!


<今回のルート>
10:30大阪⇒JR宝塚線宝塚駅11:44⇒阪急バス(金仙寺経由)⇒12:30有馬温泉
六甲有馬ロープウェイ有馬温泉駅13:00⇒癒しの森⇒紅葉谷出合(湯槽谷山分岐)⇒
白谷第1堰堤⇒蟇滝⇒ロープ場⇒七曲滝⇒小滝群⇒蜘蛛滝⇒蜘蛛滝左上部迷走⇒
蟇滝⇒百間滝⇒似位滝⇒ゴルジュ帯⇒白谷広場⇒白石滝⇒紅葉谷出合⇒
有馬温泉16:40⇒阪急バス(芦有DW経由)⇒17:05阪急芦屋川駅⇒17:40梅田