武田尾廃線跡ハイク
この週末はどこかお山に行きたかったのだが、
土曜日が大ハードだったのと、
奥さんが晩に旧友達とお食事にでかけて帰りが遅かったので、
近場ですますことに。
ほとんど時間がなかったので、この間からのつながりで、
久々に武田尾の廃線跡を歩くことにした。
ここに初めて訪れたのは9歳のころ。
廃線となって間もなくのころから遊び場として何度も訪れています。
大昔、MTBで走り通した時は、
枕木のバウンドでケツをしこたま打ち付けて一週間腫らしたこともありました。
大学のころはここで自主映画の撮影もしたり、思い出深い場所です。
↓JR生瀬駅
さてJR福知山線で生瀬駅に到着したころにはすでに16時を過ぎていて、
大急ぎで出発。
交通量の多いR176にでて歩道を歩く。
有馬街道の分岐である大多田橋を過ぎると、左手から廃線が並走してきます。
まだ廃線には入れないので、しばらく進み、
中国道の高架下あたりでR176の反対へと横断、川のほうへと下って、
いよいよ廃線跡に入ります。
ここは完全に放棄された場所で、ほとんど整備されていないため、
一応一般開放されてはいますが、完全に自己責任となります。
(以前落石で亡くなられた方もいます…)
すでに夕暮れが迫ってきていることもあり、
ほとんど人はいません。
右手に武庫川の流れを見ながら、枕木と砂利の道を踏みしめていきます。
枕木だけでなく、見張り台や交換台といった
もろもろも設備も放置されたまま残っています。
しばらくしてトンネルが見えてきました。
当然、照明は一切なしです。
一応ライトは持ってきていますが、
1つ目のトンネルはそれほど長くないと知っているので(といっても100m以上はあります)
あえて無灯で突撃。
トンネルの中はひんやりと涼しく、夏場には最高の場所です。
足元がガタガタなのと、時折落盤したようなブロックの塊が落ちていて注意が必要です。
しかしこれだけの暗闇というのは日常ではなかなか体験することができません。
闇に対する畏怖の念というのは忘れたくないものです。
実はこのトンネル、あまり知られていませんが、トンネルを通過せずに、
川との間に回避路が設けられています。
で、そこにある碑がありまして、
このトンネルを掘削中に亡くなられた作業員を弔うためのものです。
今まで見たことはないですが、ひょっとしてら見えるかもしれませんね〜。
とかなんとか言っているうちに、出口に到着。
1つ目のトンネルをクリアしてどんどん武庫川渓谷の奥へ奥へと進みます。
こうやって線路跡を歩いているとどうしても
大好きな映画『スタンド・バイ・ミー』を思い出してしまいます。
青春だなあ。
lolipop♪lolipop♪と鼻歌を歌いながらどんどん参りましょう。
2つ目のトンネルに到着。
ここがおそらく一番長いトンネルでしかもカーブがあって
反対側の出口から光が届かないので真っ暗。
さすがにライトを点灯させて進みました。
しかし、都心からわずか30分足らずのところに
これほど険しい自然があるというのは不思議ですね。
上流の三田エリアでも、下流の阪神エリアでも
武庫川は非常に穏やかな川ですが、この区間だけは本当に激流で、
時折台風で大きな被害を出すほど暴れることもあります。
そのせいでこのすぐ上流にある武田尾温泉では水没の被害が時々発生します。
あそこも何度か泊まったことがあるが静かでいいお宿です。
↓武庫川に沿って進みます
いくつかのトンネルを抜けていくと、突然真っ赤な橋が現れます。
これがなかなかいい味わいを出していますが、
老朽化が激しいうえに枕木の下は剥き出しなので、立ち入るのは危険。
横に通路があるのでそちらから対岸に渡ります。
落ちたら濁流の餌食です。
↓トラス橋武庫川第2橋梁
橋を渡れば、ゴールはもうすぐ。
徐々に親水公園の一部として整備され、観光客もちらほら。
時間があればここから十万辻を経て中山まで抜けていきたかったが
もう西の空もずいぶん赤くなってきたのでこの日はこれにて終了。
わずか1時間足らずのハイキングでした。
そこからもう少し歩いて、長い長いトンネルの中に埋め込まれた武田尾駅へ。
群馬の土合駅とまではいきませんが、
上り線がゴォォォ〜っと音を立てて入線してくるのは独特な感じです。
↓武田尾駅
大阪まで戻ってきて、駅に入る直前に西梅田スクエアが目に入り、
なんかやってそうだったのでちょっと寄り道。
サッポロ黒ラベルのビアガーデンがあったので、一杯だけ飲んで帰る。
この武田尾廃線跡は自分にとってはあまりになじみがあるので
何の不思議も感じてきませんでしたが、でもよく考えると、
ここまで長い距離の廃線跡が何十年もそのまま放置されて、
その上、一般の人が気軽に歩けるような産業遺産って実はかなり珍しいことです。
大阪からのアクセスも便利で、
ちょっとしたハイキングにはもってこいの廃線跡です。(ただし自己責任)