木曽駒ヶ岳&宝剣岳 電撃戦
金曜日。たまたま奥さんと仕事帰りが一緒で、
帰りつつ週末の段取りの話をしていたら、明日休みやでと。
ええ?土日拘束じゃないのん?
日曜は祭りがあるし、土曜日は通常ルーティンだと思っていたので
お山行きたいなあと思いつつ断念していたのだった。
それが突如降ってわいたチャンス。
でも前ノリを敢行するには、タイミングが遅く、
すでにデッドの新幹線は発車した後。
んんん〜!!!
せっかく丸1日あって、しかも晴れ確定なのに近所のお山はもったいない。
かといって、始発で乗り込んで、当日日帰り可能なアルプスのお山はあるのか?
帰宅してすぐに検索総動員かけて、導き出したのが木曽駒ヶ岳でした。
始発の新幹線に乗って、麓の駒ヶ根到着が11:00ごろ、
そこからバスとロープウェイを乗り継いで登山開始は12:30。
帰りのロープウェイの最終が17時。
木曽駒までの一般的なタイムは往復4時間だから、普通にいけばピストン可能。
そこから最終をつないでいけばどうにか日付が変わる直前に帰阪できる。
これに決まり。
土曜日。4時に起床し、もろもろパッキングなど。
5時過ぎに出発し新大阪へ。
5:30前に到着したので、改札も券売機もすべてクローズ。
しばらくして開いて、駒ケ根までの複雑な乗り換えを説明して切符購入。
始発なので、全部自由席でコストカット。
6時ののぞみに乗り込み、7時前には名古屋。
乗り換えの合間に朝食用のサンドイッチを購入し、7時には出発。
乗りなれたワイドビューしなので爆睡かまして、塩尻着が9時前。
ここまでは意外とスムーズにこれます。
塩尻駅で30分以上乗り換え待ちをして、
中央本線支線(大八回り)で辰野駅。
そこで愛しの飯田線に乗り換えます。
余談になるが、今年も第4回のあーる君イベントがあるのだが、
気づいたときには応募締切&その日は出動不可日だったので今年は参加できず。
なので、せめてこの日、愛すべき飯田線&伊那谷に来ることができてよかったです。
I LOVE 飯田線! I LOVE 伊那谷!
さて、飯田線は序盤から本領発揮。
短い間隔で駅が続き、しかも駅員がいないので、
降車する際は車掌がホームに出て切符を回収していく。
電子カードは使用不可なので、
間違ってそのまま利用してきた客の運賃計算やらなんやらで、
出発時刻を過ぎても電車が出れないことになっている。
そりゃあ、ダイヤが遅れるわけです。
それでも結局、行き違いの待ち時間が10分のところを5分とか、
そういうところで帳尻があって、駒ヶ根駅到着はほぼ予定通り11時過ぎでした。
1年ぶりの駒ヶ根〜。
↓駒ヶ根駅
そこからバスで山麓のロープウェイまで行かねばならないが、
次の便は30分発ということで、ずいぶん時間がある。
駅前のスーパーでレーションとして、いつものマーブルチョコとあんぱんを購入。
こんな時間なのに、登山客が多く、ほぼ満員になって出発。
途中、黒川平(自家用車で行ける最奥)からもお客が搭乗し、
ギュウギュウで奥地へ。
ロープウェイのふもとのしらび平駅に到着が12:15。
次の便が、臨時20分があり、大急ぎでチケットを購入して乗り込みます。
この駒ケ根ロープウェイは、日本一高いところにある索道で
山上駅である、千畳敷駅は索道を含めた鉄道の駅で日本で最も高いところにある。
また高低差950mの落差も日本一で、その区間を時速25km、8分弱でつなぎます。
バス客がそのまま詰め込まれるので、行きは全然景色見えませんでした。
そうして、山上の千畳敷駅に到着。
ここはホテルも併設されている立派な建物で、
ちなみに日本一高いところにあるホテルです。
売店を抜けて建物を出ると…
素晴らしい景色がドーン。WOW!
これが千畳敷カールです。
氷河期に氷によって削られたお椀型の地形で、
険しい山々が屏風のように連なり、そこに緑と雪渓の白が混ざり合って、
いかにもアルプスらしい風景を見せてくれています。
いや〜、もうこれだけでテンションあがります。
このカールの中央には、切り立った岩の殿堂、
宝剣岳が威圧感バリバリでそそり立つ。
そうしてふと振り返ってみれば、青空のもとに麗しの南アルプスの山々が連なる。
まだ1mmたりとも登山を開始していないのにすでに絶景三昧。
なんて贅沢なんだ!
↓千畳敷カール
↓見上げれば宝剣岳の岩塊
↓振り向けば南アルプス
さて、時刻は12:35を過ぎました。
泣いても笑っても、ロープウェイは17時に終了してしまいます。
なので、残り約4.5hでミッションを成功させなければなりません。
グズグズしていると、次々と登山客が出発して、渋滞に引っかかるため、
大急ぎで登山届を提出して、歩き始めます。
まずは駅の右側から、カールの底へと下っていきます。
そこからいったん雪渓を横断する箇所が発生します。
一応アイゼンは無駄にザックに入ってはいるのだが、
それほど傾斜のないところを横切るだけで、
しかもたくさんの人に踏み固められているので、そのままで突っ切ります。
登山靴じゃない一般の観光客が普通の靴だとちょっと滑るかもしれませんね。
雪渓を横断すると、いよいよ稜線まで一気に高度を上げる、
八丁坂が壁のように見えてきました。
距離はそれほどなさそうだが、思ったよりもキツそう。
でものっけから超ハイペースで参ります。
どかどかと臆することなくジグザグの登山道を進みます。
ロープウェイでいきなり高度を上げて、体が順応していないせいか、
一気に発作が出てしまいましたが、それも折込済みで、
二段飛ばしの要領でテンポよく進みます。
途中途中、先発したパーティーの行列に合わせてペースを落としたり、
下山者との行き違いなどで譲ったところで息を整えながら、
30分ほどで浄土乗越に到着です。
浄土乗越までくると、もうきつい個所はなくなり、
山上は穏やかな稜線が続いています。
すぐ脇に、宝剣小屋があり、その横にはさらに宿泊専用の小屋もあります。
ここまで来ると呼吸も落ち着いてきたし、
体力的には言ってもまだ30分しか歩いていないので、
まずはピークを落とすべく小屋をスルーしていきます。
ここから見えているピークは残念ながら木曽駒さんではなく、中岳。
ひょいひょいと5分足らずでたどり着くと、
乗越からは隠れて見えなかった木曽駒のピークと、
その奥に御嶽山が顔を表しました。
よくみると山頂からは白い煙が出ている様子。
ここからいったん眼下に見える頂上小屋まで一気に下ります。
下ってから再び緩やかなのぼりをえっちらほっちら歩いて、
13:30に標高2956mの木曽駒ヶ岳に到着しました。
千畳敷駅から歩いて1時間足らずのアクセスの良さ!
山頂は結構広くて、たくさんの人がお昼ご飯を広げたりしておりました。
この日は本当に天気がよく、360度丸見えの状態。
先ほどから見えている御嶽の少し右手には乗鞍岳のどっしりとした山容が構え、
さらにその先に、まだところどころ白い衣をまとった穂高連峰、
日本アルプスのポラリス、槍ヶ岳のトンガリがはっきりと見えます。
うむ〜、素晴らしすぎる!
↓乗鞍岳
さらに視線を東へと転じていくと、
まるで天と地の境を司っているかのごとく南アルプスの山々が居座っております。
木曽駒と並ぶもう1つの駒、甲斐駒から仙丈ケ岳、
北岳から間ノ岳をつなぐ日本一高い稜線、
そのラインから気ままにはみ出しているのは富士山である。
そして来た道を振り返れば、宝剣岳が俺もいるぞと挑発的な主張をしています。
ああ、こんな風景の中であれば、
それこそ朝日が昇り、日が沈み、満天の星空になるまで
ずっと飽きずに居続けることができると思います。
↓南アルプスが丸見え
↓宝剣岳
さてさて、15分ほど滞在して景色を堪能したら、移動を開始します。
本当ならばこれほどの快晴で見晴らし抜群なことを思う存分満喫したいところなんだけど
ミッションの優先順位は「日帰り」。
残念ながらそんな余裕は今回は全くないので、名残惜しいが腰を上げます。
ちゃちゃっと宝剣小屋まで戻った時点で、時刻は14時。
ここから千畳敷までいくらなんでも1時間もかからない。
であれば、ひょっとして予定から外していた宝剣岳に寄り道が可能じゃないか!?
往復に1時間ずつかかったとしても、どうにか最終のロープウェイに間違いなく間に合う。
ここまで来て、みすみすスルーするなんてもったいないので、
思わぬボーナスステージに喜び勇んで突撃します。
ということで、休憩もはさまずに宝剣岳へと向かった訳であるが、
この宝剣岳は実は一筋縄ではいかない山。
宝剣小屋から見ると、なんだすぐそこじゃんと軽口をたたいてしまいそうなほど
目と鼻の先に見えているのだが、
実はかなりスリリングで切り立った岩場を詰めていかねばならず、
決してイージーなルートではない。
場所柄、一般の観光客でもすぐにアクセスできるのだが、
それなりに岩場の経験がないとリスクが大きく、
なにより結構な高度感があるので足がすくんでしまうかもしれない。
時間的な余裕はそれほどないが、慌てて足を踏み外すと怪我では済まないので、
急ぎつつも慎重に参ります。
↓宝剣岳攻略
まずは取り付きまでなだらかに続く稜線を進みます。
一応緑のロープによってルートが仕切られているので安心です。
徐々に岩場が多くなり、傾斜も明らかに急になります。
前方を見上げると、切り立った岩の上にポツポツと登山客がへばりついている。
あそこ進むのか〜という感じ。
そうして、鎖場に到達し、前後確認しつつ、上っていきます。
まだこの辺りは手足の置場もあるし集中していれば恐怖感もそれほどありません。
同じように続く岩場を集中して進んでいきますが、
途中で行き違いなどで待機してふと気を抜いたときに、振り返ってしまうと、
なかなかの高度感に思わず唾をのむ。
そうして頂上直下で、いよいよ山の南側へと回り込むところ、
このルートの核心部に到達。
ここの全容は下からだと岩の向こう側になっていてよくわからない。
行き違いのため、順番に待っていると、岩の向こうから悲鳴やら絶叫が聞こえる。
ようやく上からどうぞという声がかかり、大きめの岩を鎖を使いつつ上がってみると、
上がったところからすぐ先はもう断崖絶壁。
そこですぐ左手の岩に鎖が渡されているのだが、
足場となる岩のスペースはほんのわずか。
足を踏み外したら谷底へまっしぐらなデンジャラスゾーンが5,6mほど。
こーれはなかなか怖い。
とりあえず前も後ろも詰まっているので、意を決して、下を見ないようにして
しっかり鎖を握り、足場を確認しながら渡りきる。
そうして、わずかばかりのピークに到達いたしました。
ふぃ〜。
ピークにはご夫婦の2人と、3人組の5人。
もうほとんどゆっくりできるスペースはありません。
で、この宝剣岳には素敵なアトラクションがございまして、
まるでオベリスクのごとく天に向かってそびえる岩があります。
厳密言えば、やはりこの岩の上がピークということなのでぜひとも上りたいのですが
これがまた結構シビアなのです。
背丈のある自分でも、よっこいせとしないといけない高さで、
しかも岩が結構つるつる滑る。ホールドできる箇所もあまりない。
特に岩から降りるときに、足場が目視できないうえに、ぎりぎり尺が足りない…
なので、わずかながら、めぼしで足を下ろすということになるため、
万が一足を踏み外したら谷底という頭があるので、
ヒジョーに恐怖心を抱かせる岩なのです。
どうしようかと思っていると、ご夫婦の奥さんがチャレンジ!
旦那さんの補助も借りて、見事に登頂。
山上の皆さんからも拍手が湧きました。
これに勇気を得て、次は自分がチャレンジ!
ザックをデポして岩に取り付くと、微妙に尺が足りず怖い〜。
でもここまで来たらと、両腕に力を込めてぐいっと体を押し上げて上りました。
そうして真の山頂を制圧!ヤタ!
しかし、かなり怖い。
テーブル1つ分ほどしかないスペースで、そこから先は完全なるスペース。
しかも絶妙に風が吹き付けて、ふらつかせるので、
あまりの高度感に足がガクガク震えてきました。
そこで、ほかのパーティーの方にカメラをお願いしてシャッターを切っていただく。
どうせなら、いつものポーズをと、文字通り命がけの決意で
一世一代のシェ〜ポーズ。
いやあああ、超怖〜〜〜〜〜@@@@@@@@@
でも、やったおかげで山上で歓声が湧きました。いや、もう怖いDEATH。
で、問題はこの岩からどうやって降りるか。
岩の北側の祠の横のわずかなでっぱりに足をかけたいのだが、微妙に届かない…
と、次に登られる方が、片足をアシストしていただいて、どうにか生還。
いやああ、思った以上に怖かった。
↓あちらの空木岳縦走もしてみたい
ドキドキを抑えきれずにどうにか荷物のところへ戻り、
しばし呼吸を整えます。
お腹も減ったのでマーブルチョコを流し込み、甘味で緊張を和らげます。
ただ、次々と上がってくる人で山頂はかなり混雑して危険な状況になってきたので、
すぐに下山を開始します。
一難去ってまた一難、先ほどの一番スリリングな区間から下山ルートが始まります。
上ってくる人があったので、その様子を見守ります。
降りるときはどうしても視線が下になりがちで、
上ってきたときよりもより高度感を感じてしまいます。
向こう側でお先にどうぞという声がかかったので、
今度は自分が鎖をつかんで渡り切ります。
核心部を過ぎれば、もうあとはどれだけ険しかろうが、
恐怖心は湧かず、慎重に岩場を下って、宝剣小屋に無事生還しました。
この時点で時刻は14:40。思った以上に早かったです。
ここで腹が減って休憩しようかと思ったが、
下山客がぞろぞろと列をなして移動し始めたので、
これは行列に巻き込まれる前に降りるが先決ということで、
小屋で大急ぎでバッジを購入して即下山開始。
今日は何やらせわしない。
案の定、道幅が大きくない八丁坂では軽い渋滞が起こり始めていました。
これは無理やり追い越しできるわけもなく、列に従って下ります。
ルートが複数ある個所で、上ってくる人がいないのを確認したうえで、
追い抜きをかけたり、
気づいて道を譲っていただいたりしながら、トントンと降りて、
千畳敷に戻ってきたのが15:15ごろでした。
ということで、駆け足ではありましたが、木曽駒と宝剣岳の両方を落として
2時間45分の山行を無事に終了です♪
↓千畳敷に戻ってきました
この時点で、まさか無理だ思っていた高速バスのプランが
もしかしたら行けそうな時間になってきました。
高速バスの出発が16:47。
なので、ここから大急ぎでロープウェイとバスを乗り継げば間に合うか?
もしこれが利用できるとなると、
わざわざ大回りをして帰らなくてよくなるので2時間も短縮できるうえに、
運賃も半額で済むので、これは一大事です。
いつもなら土産物を物色したり、ご当地名物に舌鼓なんてところをスルーして
ちょうど臨時で15:20が出るとアナウンスがあり、すぐにロープウェイ乗り場へ。
でも、観光客も含めて大渋滞で、定員60名をすぐにオーバー。
で、次便の15:30発のロープウェイになりました。
バスもバスでそのまま大混雑ながら、どうにか15:50発のバスに乗り込みます。
運転手に聞けば、駒ケ根ICの最寄りのバス停には16:40には着くので
たぶん間に合いますよとのこと。
大半の客が、黒川平と駒ケ根高原で下車し、定刻通りにIC最寄りのバス停に到着。
「女体入口」という大変スキャンダラスなバス停です。
そこから少し歩いて、高速バスの停留所に向かい、バスに間に合いました。
いやあ、まさに足で稼ぎましたヨ。
高速バスは結構空いていました。
駒ケ根の位置が中途半端な距離なので大阪からは夜行バスが出ておらず
昼便だけなので、なかなか使い勝手が限定されてしまうからでしょう。
自分もまさか、この便に間に合うとは思いもよりませんでした。
さて、最後列の2席をゲットして、登山靴を脱いでくつろぎタイム。
夜行とは違って景色が見えるので、いつものバス恐怖症は発症しませんです。
ただ、大急ぎでバスに乗り込んだので、腹ペコ。
何しろこの日は、朝電車の中で食べたサンドイッチと、
山行途中に流し込んだマーブルチョコだけ。
ビールも何も買えず、とりあえずレーションのお菓子をぼりぼりしてしのぐ。
恵那峡SAで休憩が入り、そこで大好物の五平餅!(カレーメシっぽく読んでね)
バスは順調に進んで、梅田三番街に到着したのが21:45でした。
腹ペコだったので、途中でラーメンを食べて帰宅が22:30。
無事に日帰りミッションを成功させることができました。
ちょっとせわしなかったけど、行かない(行けない)より行った方がいいし、
絶景を目に焼き付けて、うまい空気吸ってくるだけで活力が湧きますね。
今年はこういう山行が増えそうです。