記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

2018Gパトの夏 パトロール3日目 初めての平和な日?

怒涛の初日二日目を終えて、三日目。

朝からガスガスで少し肌寒い。

TVから流れるニュースでは、

連日、記録的な猛暑で日本列島が大変なことになっていると伝えているが、

幸か不幸か、全く実感なく、

みな寒い寒いと着込みながら、朝のミーティング。

 

この日は、休日明けで、部屋の片づけが満載という事で、

午前中は小屋の手伝いに入りました。

布団の畳み方など細かい部分までスパルタな

朝日小屋の流儀をみっちりと。

でも、そうやって清潔で心地よい空間を築いているからこそ、

ああ、またこの小屋を訪れたいという気持ちにさせるのです。

 

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お昼ご飯を小屋ですまし、

午後からはまだ偵察に行けていない栂海新道へ向かうことに。

前日慌ただしく登頂した朝日岳

改めて登頂おめでとうございます。

日本三百名山にも数えられる標高2418mの朝日岳は、

北アルプスの最北の山。

どこからアプローチをしても遥か遠き山です。

 

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朝日岳を下りて東側に位置する吹上のコルは、

文字通り日本海から吹き上げてくる風の通り道となっている鞍部。

前日はそこから新潟側の蓮華温泉へと抜ける五輪尾根で

半日ほど格闘していたわけですが、

今日は、ここから海抜0mの親不知海岸へと続く、

登山者憧れのトレイル・栂海新道へ向かいます。

2015年に一度、歩きましたが、

途中エスケープがなく、ひたすらに長く厳しい道のりでした。

 

分岐に鎮座する大岩に

赤ペンキで書かれた「日本海⇒」の文字を見やって、

新道に入ります。

最初は小さな森をずんずんと抜けていき、

じきに、大きな湿地帯に出ます。木道をトコトコと渡って、

そこから一度大きく下り、長栂山へ。

この一帯は、広くなだらかな地形となっていて、

ルートを明瞭にする意味合いと、

植生への踏み込みを禁じるためのグリーンロープが長く続いています。

ここも前年に張られて以降、風雪に見舞われ、

外れていたり、緩んでいたりしているので、

持参したロープや杭で補強しました。

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結構風も強くガスっているなか、

ひたすら作業をして、結構重労働。

本当は黒岩山辺りまで足を延ばそうかとも思っていたのだが

思ったより作業に時間がかかり、戻ることに。

途中の木道付近で少しばかり休憩。

登山客もおらず、静かに流れる景色を、

時間に急かされることなく、ただぼおっと眺めることの贅沢よ。

と、気づけばついウトウト。

慣れない環境で、早朝から晩までみっちりで、

しかもドタバタ続きだったので、疲労も溜まってしまいます。

 

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吹上のコルまで戻って、そこで植生のチェックなどしていると、

五輪尾根から上がってきた登山客から、事故の話。

えええ、また!!

しかしよく聞くと、すでに警備隊の人が現場に急行済みとのこと。

耳にしてしまった以上、

自分たちもサポートに入るべきか悩みましたが

正確な場所もわからないし、作業の邪魔になってもいけない。

すでに警備隊が行っているという事は、昨日の状況であれば、

自分たち抜きで段取りは済んでいるはずだから、

余計に手出しは無用だろう。

ただ、やっぱり気になるので、どうしようかと思案。

そういえば昨日、ここから少し上のところで

無線バックアップとして待機していたから、

今日もきっと誰かが出張っているに違いないと上がってみると、

この山の達人の秀光さんが無線をもって座っておられました。

事故の内容を聞くと、昨日とほぼ全く同じところで、

同じように転倒して骨を折っているとのことで、

もう間もなくヘリが来るよとのことでした。

本当に現場何でもないところなのだけどなあ。

あのルート、ちょうどあそこから木道が出現するのだけど、

岩や土の露地よりも、木道の方が滑りやすかったりするので、

足のグリップの変化するポイントは慎重に入るべきなんだけど、

つい人工の道だと、安心して、それが油断に繋がるんだよなあ。

そうこうしていると、

ちょうど現場付近へヘリが飛んでくるのが見えます。

この日はなかなか風が強くて、

少し時間がかかっているようでしたが

無事収容してヘリが去っていきました。

それにしても連日の事故発生@@@

 

ということで、何事もなく済んだので、

引き続きコル周辺で作業。

植生に踏み込まないように、石ころで登山道を整備したり。

そのうちに、現場から警備隊が戻ってこられたので、

一緒に小屋へと戻りました。

 

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夕方からはいつものように小屋スタッフに変身。

少しずつですが要領がわかってきて、戦力になってきました。

おかげで、「できる中年」と言っていただけるように(笑)

つづく…

 

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