記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

子連れハイク ホーム黒岩

日曜日。
この時期はまったく天気が読めないし、
事前準備や予約が必要な遠征はちょっと難しい。
先週は尋常じゃない夜中の雨もあったし、
今週末もお山は無理かなと思ったがまさかの晴れの予報。
本格的なお山に行こうか、あるいはひさびさロングでもと思ったのだが、
同じく雨で自宅にこもりきりの長女も気になるし、
お山に行くかと誘ってみると、満面の笑みで行く!
ということで、夏のアルプスに向けて、
ちょっと難易度を上げて、荒地山にご招待。


ブランチを食べて出発。
この日は阪神競馬場へ向かう人で特急電車が混み混みでした。
12:30に阪急芦屋川駅に到着。
トイレを済ませたらいざ出発。
20分ほどのロードで、すでにカンカン照りに汗がダラダラ。
ドンツキから森へ入ると、上から冷たい風が吹いて一転心地よく。
茶屋に着くと、いつもはちょろちょろの川の水が勢いよくしぶいている。
ここ数日の大雨でどうも水量が増えているようなので、
高座谷は大丈夫か少し心配…
高座の瀧に到着して少し休憩。滝も今日は勢いよく、
上部にあるもう1本の滝も下からよく見える。


↓高座の滝。今日は水勢が多い


しばし涼を取ったのち、出発。滝の左にある巻き道を登る。
久々のお天気の週末ということもあってか、
この時間でもこの日は結構人の往来が多かった。
地獄谷の入り口のほうは広範囲で水没していました。
あとからやってきた部活帰りのような格好の女子3人組が
そちらへと下っていきます。
我々は岩の階段を登り、いつもの分岐から主稜線はずれ高座谷へ。
滝の勢いからするとこの辺りは思ったより水の量は多くなく、
普通にずんどこ奥へと進みます。
娘ももうこういった道はお手の物でスイスイ進む。
2つめの堰のところ、川向かいにイノちゃん発見。
久々にお見かけしました。結構でかいねえ。
と思っていたら、あとからヒョコヒョコと4頭のウリ坊たちが出てくる。
娘は初めての野生のイノシシに大興奮していましたが
餌をやってはいけないのはもちろん、ちょっかい出してもいけないので
川の向かいからそっと写真を数枚だけ。
必要以上の慣れあいはお互いに不幸な結果を招くだけなので。


↓イノ来た


↓ウリ来た


そこから川の左手の道を進んで次の堰。
そこで飛び石を伝って対岸へ渡るが、ここはいつもより水が多く、
娘も慎重に石を伝ってわたります。
そこから斜面を登って、城山尾根から続く登山道と合流。
そこで、シャシャっと足元に動くものが。
ヘビ?と一瞬ドキッとしましたがトカゲさんでした。
娘も恐る恐るでしたが、いろいろ生き物が登場して盛り上がる。


↓対岸へ


↓トカゲさんコンニチハ


荒地山の連続堰堤に出ると、堰は水のカーテンでおめかしをして、
いつになくきれいでした。
水を除くと、あれはでっかいオタマジャクシなのかイモリなのか、
真っ黒なやつがたくさん気持ちよさそうに泳いでいる。
上部に上がると、堰にたまった池にはいつものように錦鯉の姿。


↓荒地山第二堰堤


そこから足場の悪い急登を詰めて、分岐点へ。
そこを右へ折れるのだが、一部水没している。
大丈夫かなあと心配しているとそちらからハイカーが歩いてきたので
先の具合を尋ね、行けそうだったので進みます。
通常のルートは水没しているので迂回して、堰堤の底までいったん降ります。
対岸の山肌はこのところ崩落の一途でかなり荒れていて、
この日は大量の雨水で山の地盤が緩んでいる危険性もあるので
頭上にも十分注意を払って進むことにします。


↓分岐先が水没してる


と、その矢先に、谷底に、非常に重く鈍いズズ〜ンという音が響く。
どう聞いても非常に不安で不気味な音で、
ひょっとしてどこかで落石?
もしくはキャッスルで誰か滑落?と、とっさに身構える。
娘も何?何?と不安がるので、とにかく安全な場所でしばし待機。
上部やこれから進む方向に異変がないのを確認してからリスタート。
キャッスルと奥高座の滝の分岐点までは、岩の沢を詰めないといけないのだが、
この日は水量が多く、ほぼほぼ沢歩きの状態。
服が汚れたり水に浸かるのは大丈夫だから
とにかく安全な場所を確かめて確実に登りなさいと指示して、進みます。
大きな岩や枝を縫うようにして分岐点に到着。


↓キャッスル分岐へ向かう


↓ちょっとした沢登り状態


分岐を右に折れて、ちょっと段差の大きな岩の間を抜けてキャッスルに到達。
この日のコースのコンディションや、少し荒れた区間なので、
行く前から一番心配していたのですが、
娘はしっかり進む方向を見定めながら
両手両足を慎重に使って無事クリアできました。
たどり着いたキャッスルはこの日も
多くのクライマーさんで大賑わいを見せています。


ここで少しだけ休憩を入れていると、おじさんが、
「さっきキャッスルの巻き道の入り口のところででっかい落石があったか、
この先進むなら十分気を付けてよ」と声掛けをしてくれました。
やっぱり、あの不気味な音の正体は落石だったようです。
ちょうど登山道のど真ん中に、
なにかで削られたように地面がむき出しになっている個所があり、
その脇に不自然に電子レンジサイズの岩がごろり。
こんなものが頭に直撃でもしたら、怪我じゃすまないです。
たまたま被害はなかったようですが、よく人が集まっている場所だし、
登山道の真ん中なので、本当に恐ろしい…


↓大賑わいのキャッスル


↓落石現場


本当は娘が意外とここまで難所をあっさりクリアしているので
キャッスル脇の巻き道を登って、
岩梯子〜ボルダー群へともうワンステップ行こうかと思っていたのだが
巻き道が危ないということなので、断念し、
そのままC-4方面へと進むことにします。
奥高座の滝の上部を水平になぞっていくところで、
娘がスリップして谷側にバランスを崩してとっさに掴んで事なきを得る。
油断禁物だがや。


↓奥高座の滝上部周辺から


C-4を過ぎれば、そこからは穏やかな山道で、
頭上から岩が降ってくることもない。
緑が濃いので直射日光に晒されることもなく、
心地よい山歩き。
途中、単独女性の人とすれ違う。
どうも地図を持っていないうえに、
荒地山から適当に歩いてきたらこんなところに迷い込んでしまって
ひさしぶりに人に出会えて、安心した〜と泣き疲れる勢い。
あかんがな!
女性に下りルートをレクチャーしてお別れしてずんずん進み、
ラストに岩場をずんずんと詰めて、
元旦以来お久しぶりの黒岩にとうちゃこ。


↓黒岩


黒松の根元まで岩場を登らねばならないが、
娘のサイズでは少し難儀。
で、ようやくテラスにたどり着くと、
その向こうには絶景が広がっていて、
娘も思わず、「ワアアア〜」と感嘆の声を上げていました。
幸いこの時間帯は誰もおらず貸切状態、
のんびりとおやつタイム。
黒松のパラソルが絶妙に日光を遮り、
谷からの涼しい風が何とも心地よい。
眺望は果ての方が霞んでしまっているけれど、
大阪平野の街並みや大阪湾はしっかり見えていて、
あの島はどうだとか、あの線は高速道路だよとかいろいろ教えてあげると、
「すごいね、すごいね」と興奮気味の娘さんでした。
なんだかんだと40分ほどまったりと黒岩で過ごしました。


↓絶景かな〜


↓おやつタイム


↓の〜んびり


↓親子タイム


15:40となって、帰宅の途につきます。
もう少し登って荒地山のてっぺんを過ぎ、
魚屋道へと進んでいると、行き止まりの枝道との分岐で
ふらふらと悩んでいる男子大学生風の子がいる。
中国か韓国からの留学生と思われ、なまりのある日本語で、
どっちが道ですかと尋ねてきたので、右の道が正解で、
道なりに行けば魚屋道というメインストリートに出ますよと答えたのだが
どうもピンと来ていない感じ。
そのまま娘と道を進んでいると、後ろから静かに一緒に歩いてこられ、
自然と3人体制となります。
魚屋道まで出たので、右へ行けば六甲山のピーク、
左へ行けば風吹岩経由で、芦屋か岡本ですよとお伝えするが、
やはりピンと来ていない感じ。
ここから道は滑らかになるのだが、雨のせいか結構ぬかるみがひどかった。
風吹岩に到着すると、まだ結構なハイカーさんで賑わっていた。


↓風吹岩


↓がんばりました♪


風吹岩で撮影をしたり休憩をしていると、
さっきの青年がどっちですかと聞いてきたので、
左はロックガーデンを下って芦屋、
右は岡本で、自分たちは岡本へ下るよと言うと、
じゃあ一緒に岡本に行きますというので、またも3人で。
娘といろいろ話をしながら下るのだが、
嫌な雰囲気ではないんだけど、
なんとなく”千と千尋”のカオナシみたいに、
青年はただ黙って静かについてくる。


途中、春になると桜並木がきれいな階段区間の途中にある
見晴らし台のベンチで小休憩。
娘におやつを上げる時に一緒に、
おひとつどうぞとお渡ししたのだが「大丈夫。ありがとう」と一言。
その時に少しだけ話をしたのですが、京都の大学に通っているそうで、
山も六甲も初めてというビギナーさんだということがわかりました。
その後無事に保久良神社まで下りてきて、せっかくなのでお参り。
ちょうど5円玉が3枚あったので青年にもどうぞというと、
仏教徒なので大丈夫です」とのこと。(笑)
青年とはそのまま岡本駅前まで一緒に下りてきました。
ほとんど会話をすることもなかったですが、
かといって不快というわけでもなく、
最後にはお礼なのかジュースをおごると言ってくれたのですが、
礼には及びませんよと、手を振ってさようならをしました。
ちょうど電車がやってきたので、そのまま帰宅。


今回は距離的にはさほどですが、
岩場があったり、沢歩きがあったり、
今までより少し難易度の高い山行でしたが、
彼女なりにきちっと三点確保やルーティングもして、
ほとんど問題なく歩ききることができました。
娘の方も、バリエーションに富んだコースを楽しんだようで
生き物に出会ったり、黒岩からの景色を眺めたり、
写真を撮ったり、充実していたようで満足顔。
娘の著しい成長を目の当りに大満足のお父ちゃんでした。


<山行スケジュール>
12:30芦屋川駅⇒12:50高座の滝⇒13:30荒地山第2堰堤⇒
14:00キャッスルウォール14:05⇒14:56黒岩15:40⇒
15:50荒地山⇒16:30風吹岩16:40⇒17:30保久良神社⇒17:50阪急電車岡本駅