記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

『複製技術時代の芸術』 by ヴァルター・ベンヤミン

ベンヤミンの著作の中で最も重要な地点に位置する文献。
複製技術の向上により、大量生産が可能となった現代において、
場と儀式の体験であった芸術は
「いま、ここにしかない」1回性(アウラ)を喪失し、
モノそのもの価値を推し量る大衆の視線にさらされるようになる。
19世紀中頃の写真そして映画の登場は、
まさに芸術の本質を変える決定的な出来事であった。
そしてそれは芸術の分野だけにとどまらず
封建的・ブルジョワ的な権力構造をも揺るがしてゆく。
単なる芸術論にとどまらず
社会学、CSへと続いてゆく極めて重要な評論。


複製技術時代の芸術 (晶文社クラシックス)

複製技術時代の芸術 (晶文社クラシックス)


大友さんのイベントでちょうど思い出したので、
ベンヤミンの名著を紹介。
大学生の頃、何度も読みました。
ヴァルター・ベンヤミンは、ドイツの芸術批評家・社会学者で、
本誌はもちろん、『写真小史』『パサージュ論』など、
急速に変化する現代社会の一側面を鋭く考察し、
そのまなざしは今なお重要な視点を与えています。
第2次世界大戦のさなか、ユダヤ人迫害を恐れて逃亡しますが
スペイン国境の町ポルボウで自死しました。