記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

ダイヤモンドトレイル全縦走

毎年恒例の大プロジェクトでGWも仕事三昧で、
お山熱が消化不良でしたので、
一挙大放出!!
頭ばっかり疲れてしまっては全然健康的ではないので、
いっぺん、全身クッタクタ、ヘロンヘロンになってやろうじゃないか。
ということで、健脚者の中でも、
あの六甲全縦より難易度が高いと言われている
ダイヤモンドトレイル全縦を完踏してきました!!


通称、ダイトレと呼ばれる関西屈指のロングトレイルは、
大阪/奈良・和歌山の県境の山々を繋ぐ縦走路で、
北の起点となる屯鶴峯(どんづるぼう)から
和泉葛城山金剛山岩湧山といった山々を経て、
槙尾山まで続く約50kmのコースです。
最高峰の金剛山で1125mですが、
山と山の間にはいくつもの峠があり、
その度に過酷なアップダウンが押し寄せます。
特に、延々と続く丸太の階段は地獄そのもの。
途中、補給・給水ポイントがほとんどなく、
また登山口・下山口ともにアクセスが比較的タイトなため、
普通は全コースを1日通しで歩くのではなく、
分割するのが一般的。
また大阪府主催のダイトレチャレンジ大会は、
全縦ではなく、二上山から紀見峠までの
約40kmの区間をコースとしていて、
関西のトレイルランナーにはおなじみで、
登山客も多いですが
紀見峠以西の区間まで含めて歩く人の数はググッと減ります。


自分の場合トレイルランナーではなく、
基本歩きで行くのですが、
そのペースで1日で完踏しようとすると、
初発でアプローチしても、ゴールが真夜中になってしまう。
そうすると、自力で下山できても帰宅は不可能になってしまうため、
色々検討した結果、前日の最終電車でアプローチをして
先にナイトハイクを済ませ、
下山ポイントで最終のバスに乗る方がよいと判断し、
そのプランを決行する。


金曜日の仕事終わりにわずかに仮眠をしたのち、
終電車にて二上山駅に降り立ったのが0:07。
穴虫のコンビニで準備をして、
ダイトレの起点である屯鶴峯を出発したのが0:40。
そこから日の出までは孤独なナイトハイクに突入します。
大和葛城山までは以前に下見で歩いているため、
道も迷うことなく、
前日のトライアル失敗した六甲のように
猪におびえることもなく、淡々と進みました。


↓起点の屯鶴峯を出発!


↓ナイトハイク


二上山のトップはスルーして、
ダイトレをトーレスし、岩屋峠を経由して
竹内峠に到着したのが2時ごろ。
人工的な明かりの中でしっかり休憩をしたら、
ここからはさらに鬱蒼とした森の中へ突入していきます。
誰もおらず、ただ木々や茂みの擦れる音だけが響く
漆黒の闇の中でただ一人、
大和葛城山名物の木の丸太階段の地獄と格闘。
途中、3時半〜5時くらいまで強烈な睡魔が襲い、
また予想以上に寒さが厳しく体が動かなくなって、
これはもうDNFかというくらい
フラッフラで危険な時間帯があったが、
朝を迎え、光が満ちるころになると徐々に復活。
6時に大和葛城山の山頂に立つことができました。


↓丑三つ時の竹内峠


葛城山


↓飛鳥盆地


1つ目のボスを制覇して、
そこから南側に大きな山容を見せている
チマコッピの金剛山に向かうのだが
その前には一晩かけて稼いだ高度を全部はたいて、
水越峠までの一気の下り@@


↓水越峠


7時に水越峠に下り立ち、
間髪入れずに金剛山への登り返し。
ここは道が整備されていて、
意外としんどくない登りで、
ダイトレトーレスコースで金剛山を制覇。
ちはや園地で早めの昼食。


金剛山頂(葛木神社)


↓ちはや園地から後半戦の山々をのぞむ。ネムイ…


金剛山から紀見峠までの区間は、
基本的には下り基調ながらも、
細かなピークと峠の繰り返しのたびに、
地獄のような丸太階段の応酬。
登りはモモ上げで強烈な筋肉疲労が襲い、
下りは足を踏み下ろすたびに、膝に激痛が走る。
特に、久留野峠から中葛城山への登り返しの所の階段は、
斜度が急で、足が千切れてしまいそうなくらいにしんどかった@@
これの前に、京都の愛宕山を登っていたから、
あれよりはしんどくないぞ!と言い聞かせるように登りました。
そんな辛い場面もありますが、
この12km近いロング・スティントは、
なんとなく中村新道(徳本峠〜蝶ヶ岳)を彷彿とさせるような
地味だけど、山らしい雰囲気で、
ここが大阪市街からすぐということを忘れさせてくれるような
とても歩き心地の良い道に感じました。
ここ最近は、お天気はすこぶるいいけど、
湿度もなくカラッとした陽気で
この日はそよ風も吹いていて、
とても清々しい山歩きができました。
時折、木々の間から、
北側には大阪市街、南には紀ノ川の集落を覗くこともできます。


↓中葛城山


↓高谷山


紀見峠に到着したのが12:20。
ここで全行程の約2/3程度。
ゴールまではあと15kmも残っており、
しかも標高400m台まで高度を下げてきたのに
再び900m近くまで高度を上げていかねばなりません。
峠から少し歩けば南海高野線の駅があるので、
何かあればここがエスケープになりうりますが、
その甘い罠に目もくれずに岩湧山へ向けて出発。


↓紀見峠


この岩湧山もなかなかどうしてハードで、
特に三合目と呼ばれる地点の手前の階段は、
おそらく全コースの中でも屈指の難所だと思います。
あんな斜度の階段が、あれだけ続くなんて、
ひどい罰ゲームかなんかでしょうか@@@
しかし、その苦行先に待ち受けていたのは、
見事なまでに爽快な大パノラマ!!
青々とした草原が広がる岩湧山の山頂からは、
大阪平野を一望でき、夜中出発した二上山から、
ずーっと歩いてきた金剛山系の山々を振り返る。
あああ、我ながら頑張ったなあと、しみじみ思う。
それだけで、なんか、十分。


岩湧山


↓左端の二上山から大和葛城山金剛山と歩いてきた!


さてさて、ひとしきり満足で来たら、
あとは帰るのみ。
arkibito恒例の帰宅ラッシュタイム発動になります。
岩湧山を出たのが15:00ジャスト。
残りは、ここから一気に滝畑まで激下って、
そこからまた槙尾山まで登り返しが待ち構えている。
距離にして7km、登りが250mほどを、
2時間30分でこなさないと、
槙尾山から出ているコミュニティバスの最終に間に合わない。
そうすると、さらに麓まで5km追加で歩かなくてはならなくなる。
ここからはとにかく時間との勝負に徹することにします。
滝畑までは比較的歩きやすい道で、
ずんずんペースを上げて下山下山。
滝畑に下り立ったのが15:50。
まだ売店は開いている時間だったが、
猶予がないので泣く泣くスルーして、
ラスト槙尾山への登り返し。
このオーラスがまた、容赦のない無慈悲なコースで、
施福寺までの3.5kmに、ボテ峠、番屋峠、追分と
3つもの峠を越えていかねばならず、
その度に急坂を登っては、獲得標高を全部吐き出し、
また登り返しを3回連続繰り返されます。
もう、ギリギリの体力と時間の中、
とにかく時間まではあきらめたらいかん!
ここで諦めるくらいなら、こんな辛抱の山行する意味ないぞ!と
自らに言い聞かせながら、必死のパッチで登る。
おそらく全区間でここが最速ペースでした。
そしてどうにか、ダイトレの西の端である、
施福寺に到着したのが16:46。
ついにダイトレを端から端まで歩ききることができました。
よくやった!頑張った!


↓ダイトレのゴール!!! 槙尾寺


しかし、真のゴールはここではなく、
バス停前ではまだ急な階段の続く参道を降りなければなりません。
施福寺にお参りをして、最後まで気を抜くことなく歩き、
バス停にたどり着いたのが17:03でした。
もちろん、17:28の最終バスにはバッチリ間に合い、
思わずガッツポーズ。
バス停の前にある茶屋のお父さんお母さんにも祝福していただいて
キンキンのサイダーで祝杯!
ヤッター!!!おつかれした!!!


実は、ここが勝負の綾というか、
事前の作戦が功を奏しました。
というのは、本当であれば土曜日の昼に十分睡眠をとって、
土曜の晩出動、日曜夕方下山でもよかったのですが、
この下山のコミュニティバスは、
平日・土曜日の最終が17:28なのに、
日曜・祝日は17:00が最終なのです。
なので、もしこれが当初の予定通り日曜日だったとしたら、
わずか3分の差で、バスに乗れていなかったことになります。
それを見越したうえで、あえて金曜発にしたことで、
余計な5km、1時間歩かないといけないのを回避できたのでした。


ということで、真夜中にスタートした山行は、
実に17時間という自己最長の行動時間を要し、
ダイトレ区間を含めて1日の移動距離約70km近くを歩いて
無事に完踏することができました。
確かに、六甲全縦と比べると難易度は高いかもしれないけど、
六甲の充実しすぎる開発ぶりや住宅街を抜けるコースと比べると、
こちらの方が山トレイル然としているし、
人も少なく静かな山歩きができるので好きかもしれない。
もちろん当分は結構ですが(笑)
トレイルランナーの中にはこの半分以下の時間で
クリアしてしまうツワモノもいるそうですが、
そんな超人的な人でなくても、
諦めずに歩き続ければ、ゴールできるんですな。
これでまた1つ大きな目標をクリアすることができました。
次は京都一周トレイルかなあ?
ひとまずおつかれさまでした!
詳細はまたぼちぼち。


↓山行ルート


↓歩行記録
[:W360]


<歩行記録>
山行時間:16時間56分(ダイトレ区間15時間57分)
歩行距離:69.91km(ダイトレ区間54km)
獲得標高:2880m


<山行スケジュール>
23:07天神橋筋六丁目駅⇒23:19動物園前駅23:22⇒
23:23天王寺駅23:34⇒23:54古市駅23:57⇒
00:07二上山駅⇒00:40屯鶴峯入口(ダイトレ起点)⇒
00:49ダイヤモンドトレール北入口⇒01:51岩屋⇒
02:05竹内峠02:20⇒03:00平石峠⇒03:45岩橋山03:50⇒
04:25持尾辻04:50⇒04:57トイレ小屋05:00⇒
05:59大和葛城山06:20⇒07:00水越峠07:03⇒
07:28金剛の水⇒08:26高天・橋本院分岐⇒08:35金剛山08:40⇒
08:55ちはや園地ピクニック広場09:100⇒9:40久留野峠
09:47中葛城山⇒10:00高谷山⇒10:20千早峠⇒
10:39金剛トンネル⇒10:49行者杉⇒11:04杉尾峠⇒
11:16タンボ山11:30⇒11:38西ノ行者⇒12:07山ノ神12:09⇒
12:20紀見峠(トイレ小屋)12:22⇒12:55ボ谷13:00⇒
13:08ボ谷ノ池⇒13:22ダイトレ砥石谷道分岐⇒
13:39岩湧山三合目⇒13:53根古峰⇒14:18五ツ辻⇒
14:23いわわきの道分岐⇒14:35岩湧山東峰
14:45岩湧山15:00⇒15:50滝畑登山口⇒
15:57施福寺登山口⇒16:18ボテ峠⇒16:29番屋峠⇒
16:33追分⇒16:46槙尾山施福寺16:51⇒17:03槙尾山バス停
槇尾山バス停17:28⇒17:40槇尾中学校前バス停17:49⇒
18:16和泉中央駅18:23⇒18:52天下茶屋駅18:56⇒
19:12天神橋筋六丁目