記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

東京Midnight 山手線徒歩一周

メーンイベントを終えて、
その日はそのまま帰らずに東京にとどまります。
が、宿泊は考えてなくて、一度東京でやってみたかったことを。
それは夜の東京を彷徨いながら撮影することでした。
それは決してきれいなイルミネーションや夜景を撮るのではなく、
大都会の片隅で、真夜中に広がる日常の断片を拾うといった趣旨です。
東京の夜というのは自分の中でとても魅力的で、
例えばS・コッポラ監督の『ロスト・イン・トランスレーション』で描かれたような
猥雑で孤独で、未来でも過去でもない、西洋でもアジアでもない、
極めてニュートラルな都市のエッセンスが、
夜の闇を纏うことで一気にその本性を曝け出す、
そんな感覚を持っていて、ずっとそれに魅惑されてきました。
一度ぜひ、じっくりと味わいながら自ら収めてみたいと考えていました。


やみくもに歩くというのも手ですが、
ここはやはりテーマというか、何か軸があった方がよいなあと考えた結果、
一晩かけて山手線を一周歩いて、
そこで出会った風景や瞬間を収めることにしました。
といっても、距離にして約40kmあり、
実は起伏の激しい関東平野の山あり谷ありを行かねばなりません。
しかし、それも他に真似できない、
自分らしさが出せるやり方かなと。
ということで、呑んだお酒も全然残りつつ、
上野駅を起点として時計回りで夜通し歩いてきました。
20時ジャストに出発して、7時に無事ゴール。
なかなか骨が折れましたが、興味深い歩きになりました。



↓山手線


<タイムスケジュール 40.8km/11h>
20:00上野駅⇒20:28御徒町駅⇒20:44秋葉原駅⇒21:09神田駅⇒
21:32東京駅⇒21:58有楽町駅⇒22:14新橋駅⇒22:34浜松町駅
22:58田町駅⇒23:27品川駅⇒23:59大崎駅⇒0:20五反田駅
0:36目黒駅⇒1:00恵比寿駅⇒1:26渋谷駅⇒1:58原宿駅
2:49代々木駅⇒3:00新宿駅⇒3:27新大久保駅⇒3:47高田馬場駅
4:00目白駅⇒4:29池袋駅⇒4:54大塚駅⇒5:10巣鴨駅⇒
5:29駒込駅⇒5:50田端駅⇒6:18西日暮里駅
6:30日暮里駅⇒6:45鶯谷駅⇒7:00上野駅


まずは上野駅の公園口を20時ジャストに出発。
すぐにアメ横へとなだれ込みます。
関西の人には、年末年始の買い出しのニュースのイメージしかありませんが、
実際はもっとカオスで、様々な国の人や店が路面にはみ出して、
アジアン夜市感が半端ない。
ここはなかなか激アツに面白そうでした。
アメ横を過ぎると静かな御徒町を挟んで、
電飾もにぎやかな秋葉原へ。
神田から東京駅までは、裏路地感が味な区間が続きました。


↓はじまりは上野駅


アメ横


御徒町駅


秋葉原駅


↓神田駅


東京駅はやはり山手線の29駅の中でも別格の造りで、
日本の顔という感じがしますね。
ここは2016年のアンサンブルズ東京の思い出の地。
あの日もとても素晴らしかった。


↓東京駅


↓去年のアンサンブルズはここで。思い出の地・行幸通り


↓丸の内口


↓やはり別格


そこからしばらくは、呑兵衛たちの聖地が続き、
有楽町〜新橋と、酔っ払いの波をかき分け、
色々旨そうなお店の誘惑にも負けず前進。


↓有楽町駅


↓新橋駅


新橋を過ぎると、一気に味気ないオフィス街へと突入。
浜松町〜田町〜品川と夜の闇の寂しさを全身に受けながら進みます。
ちょうどこの辺りでは線路の真横に沿った道がないので、
先日のキャノボと同じく第1京浜をトレース。
あの時はこの辺は土砂降りだったなあと思いだしながら。
途中、東京タワーがちらっと見えたり、以前も訪れた”品川まんぶ”なども。


浜松町駅


西郷隆盛勝海舟 会見の地


田町駅


↓麗しの東京タワー


↓品川まんぶ


↓品川駅


品川で一瞬の賑わいを見せ、
そこからいよいよ線路は大きく舵を切って北向きに転じる区間
御殿山の閑静な住宅街を抜け、一気に目黒川まで下ります。
大崎駅の先の、マンションの一角にある小さな開発公園で、
眠る遊具と、背景にそびえる高層ビルを同アングルに収めるために
寝っ転がって撮影していると、不意に後ろから声をかけられ、
振り返ると怪訝そうな顔で2人のお巡りさん!!
あ、そうか、完全に不審ですな。
正直に、いやあ上野から歩いてきて、写真撮ってるんですと
説明したのだけど、ますます意味不明だったようで、なお焦る。
そうか、そうだな。
でも、カメラの再生を見せて本当だとわかると、
ご苦労様ですと苦笑いで去って行かれました。
ホッ。


↓大崎駅


五反田駅の先のガード下で
画になる黒人トランぺッターが練習をしていたので
写真を撮っていいかと尋ねると、
チップを要求されたので、no wayとお断り。
目黒駅までは急な登りをこなします。
目黒から恵比寿までは高台のオシャレな道。
一瞬、ここからも東京タワーが見えてびっくり。
恵比寿からは一気に下って、渋谷川へ。
かつては文部省唱歌『春の小川』に歌われた川ですが、
今や大都会の暗底を流れる秘密の水脈です。
徐々に渋谷へと近づくと、
大規模開発で様々な場所で電飾が点滅、機械音が鳴り響き、
眠らぬ工事現場となっていました。


五反田駅


↓目黒駅


↓恵比寿駅


↓渋谷駅


渋谷でようやく半分ほどを消化し、
そろそろまとまった休憩をと思いましたが
時間が時間ということもあり、なかなか店が見つからず
結局原宿まで彷徨って、駅前で見つけた
閉店間際のラーメン屋に飛び込みました。


原宿駅


↓らーめん せい家


↓味玉ラーメン大盛り


リスタート後、一度休憩をして気を抜いたせいか、
恐ろしく足取りが重い。眠気も容赦なくやってきて、
かなり厳しい時間帯に差し掛かります。
千駄ヶ谷の路地裏を抜けて代々木からは西新宿方面から新宿へ。
さすがに3時の新宿はほとんど人もおらず、
ゴーストタウンのようでした。


↓代々木駅


新宿駅


そこから、新大久保、高田馬場と人気のない寂しい区間を過ぎ、
上りをこなして、昼間訪れた目白駅
さすがにこの辺りでは体力がかなりそこを突き、
駅前で少し仮眠(といっても10分足らず)をとりました。
そこから池袋まで、昼間下見しておいた裏道で抜けていきます。


新大久保駅


高田馬場駅


目白駅


池袋駅


池袋からはさらに重くなった足を引きずって大塚駅へ。
ここで山手線の初発が動き始め、
朝早くから通勤客がちらほらと増えてきました。
ここからはそこそこアップダウンが始まりましたが、
駅と駅との間隔は短く、巣鴨駒込とつないでいきます。


大塚駅


↓始発が動き出した


巣鴨


駒込駅


駒込を過ぎると山手線のサークルの最後の四つ角を曲がります。
そして山手線で唯一の踏切である「第二中里踏切」を渡り、
田端駅へ。
この辺りで東の空が白み始め、朝がじわじわとやってきました。


↓山手線唯一の踏切


↓田端駅


田端駅からは高台の道をトレースしながら。
途中、有名な富士見坂がありましたが、この日は見えず。
日暮里、鶯谷と下町の歓楽街を抜けて、ようやく上野駅に到着し、
無事一周を達成しました。


↓朝がやってくる。スカイツリーが見える


西日暮里駅


↓富士見坂


↓富士山は見えない


↓日暮里駅


鶯谷


ドキュメント72時間にでてた定食屋


↓祝福の朝焼け


上野駅に到着でゴール!!


終盤はとにかく歩くので必死で、カメラを構える余裕もなかったですが、
一晩かけてたくさんの写真を撮ることができました。
それらは、まずしっかり補正をしてからアップしようと思いますが、
果たしていつになることやら@@


↓お帰りの小宴