記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

年に一度の水防訓練 淀川・神崎川及び左門殿川防潮扉点検操作訓練 

毎年7月第1日曜日の深夜は、水防訓練で、

淀川河口域に設置されている防潮扉の開閉訓練が実施されるので、

見学してきました。

 

戦後、室戸台風やジェーン台風などで

高潮による甚大な被害を受けた

大阪市やその周辺部では、

いくつもの防潮鉄扉が設けられました。

特に大阪西部の河口部は、

淀川や神崎川などの大きな河川に囲まれた低い土地であるため、

常に河川の氾濫による浸水の恐れがあります。

台風による高潮対策はもちろん、豪雨による洪水や、

南海トラフ地震による津波に対しても備える必要があり、

これらの防潮鉄扉は、地域を浸水被害から守る重要な設備なのです。

 

防潮鉄扉は、堤防よりも高さが低くなっている部分、

淀川に架かる国道2号線淀川大橋国道43号線伝法大橋、

阪神なんば線淀川橋梁、

それから神崎川に架かる国道2号線神崎大橋、市道の千船大橋、千北橋、

左門殿川に架かる国道2号線の左門橋に設置されており、

空の箇所で一斉に実施される訓練には、

国土交通省近畿地方整備局、関連自治体、警察、消防等々、

28もの機関が合同で参加する大規模なものです。

 

この訓練のために、国道2号線国道43号線という2本の大動脈が、

深夜1時間ほど完全に封鎖され通行不能になります。

 

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実際に防潮扉が閉鎖される午前1時に合わせて、

0:30に、国道2号線淀川大橋南詰(左岸側)にやってきました。

すでにたくさんの関係者(管轄行政の担当、警備、作業員等々)が集結し、

道路封鎖の段取りや、防潮扉の動作確認等々が行われていました。

 

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10分ほど前になると、鉄扉が徐々に立ち上がってきました。

アラート音が鳴る中、少しずつ少しずつ立ち上がり、

ちょうど一番垂直の状態で、時間まで待機。

 

1時を少し過ぎて、川の両岸で、

橋の1つ手前の信号で車の往来を完全に遮断して、

道路封鎖を完了したのを確認して、

鉄扉が少しずつ下がってきました。

巨大な鉄の塊がゆっくりと下りてくるのを、

現場にいるすべての人が固唾を飲んで見守っています。

目の前だとなかなかの迫力です。

 

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そしてついに、国道2号線、完全閉鎖です!!

作業員の人たちはきちっと、

隙間がないか、問題がないかを点検しています。

 

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ここで暫くは閉鎖中なので、ほかの現場にもいってみることにします。

まずは左岸をそのまま下って、国道43号線へ。

先ほどの淀川大橋の鉄扉が、180度上下に回転して下りてくる方式に対して、

こちらの伝法大橋の鉄扉は、そのまま真横にスライドして引き出す形式でした。

 

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続いて、国道43号線のすぐ脇を走る阪神なんば線の方も、

小さいながらに鉄扉があり、そちらも閉鎖されていました。

この阪神なんば線の淀川橋梁は極めて河口に近い位置にありながら

淀川に架かる橋梁の中でもっと橋桁が低く、

両岸の堤防を切って、線路が敷かれている状態で、

その高さは計画高潮位を下回っているため、

ほかの道路と同じように鉄扉が設けられています。

ただし、この問題を解消するため、淀川橋梁を改築事業が決定し、

橋桁を高くすることで、ゆくゆくはこの鉄扉は不要になります。

 

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さて、ここで時刻は1:30。閉鎖時間は残り30分~1時間程度です。

せっかくなら神崎川、左門殿川の現場も確認したいと思ったのだが、

いかんせん橋が閉鎖されてしまっているため、淀川を渡れない!!

仕方がないので、いったん十三大橋まで大きく迂回。

なかなか時間がない!!

十三を経て、大野川緑陰道路を伝い、歌島橋の五差路へ。

そこから国道2号を飛ばして、神崎大橋へ。

道路はまだ閉鎖中でしたが、すでに鉄扉は収納されていました。

 

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そろそろ閉鎖が解かれる時間になったので、

左門橋へは向かわず、

国道2号を引き返して、淀川大橋北詰に戻ってみると、

ちょうど鉄扉の収納作業中でした。

 

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しばらくして、いよいよ閉鎖が解かれて、

橋を渡ります。

無事に訓練は終了したようで、現場には安どの空気が流れていました。

 

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くしくもこの週末は、集中豪雨により、

静岡の熱海での土石流発生をはじめ、

全国各地で自然が猛威を振るってしまいました。

梅雨もまだ明けず、たっぷりと水分を含んだ土壌はまだまだ予断を許しません。

そして今年も必ず台風が上陸し、各地に被害をもたらしてしまうかもしれません。

この記事が、今一度、防災というものについて深く考える機会になればと思います。

改めて、ご自分の住んでいる地域のハザードマップを確認したり、

実際に避難が必要になった場合の手順・動線の確認など、

事前の備えと心構えを万全に。