記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

 仙人と下った谷

最近、故障で自転車に乗れず山歩きを本格化して思い出した。
大学時代、ゼミ合宿で六甲山荘に泊まった次の日の帰りのこと。
急遽、山を歩いて帰るぞと仙人のひと声。
ハイキングコースでものんびり歩いて帰るのかと思ったら、
いきなり道なき道に、ロープのある激斜面に、幾多の堰堤越えというガチもいいところ。
男女15人ほどのパーティーの中に、仙人以外、山の知識のある者はおらず、
まして、本格的な山歩きをするなど皆考えていなくて、靴も地図も装備も補給も全くなし。
女の子の中には少しヒールのある靴を履いている子もいたはず。
ウホウホ言いながら、まさにサバイバルだった。
どこをどう歩いたのか定かではないが、
覚えているのは、ロープウェイの乗り場の付近からいきなりブッシュに飛び込んだことと、
幾多の堰堤を乗り越えたこと。
先生がいきなり河原の草(たしかクレソンと言っていた)を食べはじめたこと。
そして五助堰堤で人間の世界に復帰して、美術館の横を通って帰ったこと。
そうすると、あれは五助の谷だったのだろうか。
近々ぜひ確認しに行ってみよう。
仙人との山歩きはこれが最初で最後だったが、
山の面白さを教えてくれたことには、改めて感謝している今日この頃。
線香あげに行かなきゃな。