記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

中津ハードボイルド


















中津の高架下は、日常の風景の1つなのだが、
よくよく考えてみるとこれほど特異な空間は全国探してもそうない。
しかしここにも開発の手は伸びてきている。
大阪市が耐震化工事を計画していて、
その高架下で飲食店や工場などを経営している道路占有者が
市から立ち退きを求められ提訴している。
この動きは市全域で行われていて、梅田の「ぶらり横丁」だったり、
十三界隈の高架橋などでも同様の問題が生じている。
大阪環状線の高架下の占有率は80%以上を越えているが、
老朽化→耐震工事による立ち退きの流れがこのまま加速すれば、
鶴橋の焼肉街とか新梅田食堂街とかすらなくなってしまうのだろうか?(市の所有地だけ?)
もちろん、予想される南海トラフ地震に備えて耐震補強は必要である。
でも、土地の狭い大都市において、高架下を効率的に利用するというのは
生活の知恵から生み出された様式で、大阪らしい始末の1つだと思うのだが。
もっとうまくやる方法はないのだろうか。


グランフロント大阪あべのハルカスのOPENなど目まぐるしく大阪は変わっていく中で
昭和の風景が次々とひっそり消えていく。
最近のものだけ並べてみても、赤川鉄橋交通科学博物館阪神百貨店の屋上遊園。
なんともさみしい限りだ…
どうせ新しいものを造るにしても、どこの都市、どこの国でもあるような、
無機質で機能的で面白みのないハコモノをつくるのではなく、
建築基準法ギリギリの突飛で奇抜で無茶苦茶なものを建てたらいいのに。
ただただグローバルの波に後乗りして、まんまと乗り遅れるくらいなら、
世界中にここだけしかない、ここでしか見れない
究極のローカル=大阪丸出しを目指したほうが都市戦略的にもハマると思うし、
大阪だからこそそれが許されるベタコテの文化が根付いているというのに。
例えば日本のバルセロナみたいなのを目指せば面白いと思うのだが。
ちなみにこの中津高架下の街並みはメキシコの世界遺産グアナファトを彷彿とさせる。
いつまでも残っていてほしい空間だ。