記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

酒場探訪記 酒パラ福島 「ハレトケ」「立呑み 仁」

昨日はちょっくら福島に用事があり、せっかくなんでその足で酒探訪。
このあたりに試飲ができて、
しかも珍しい量り売りをしているという酒屋があるということで行ってきました。
占いで有名な商店街を抜け、聖天さんのそばに発見したのが
「日本酒セラー ハレトケ」さんです。
このネーミング、社会学に明るい人ならすぐに
柳田國男のハレ(晴れ)とケ(褻)を思い出すでしょう。
きっと特別な晴れの日も、日常でも楽しめる酒をということでしょうか。


↓日本酒セラー ハレトケ


一見普通の酒屋さんの引き戸を開けると、
和装をしたちょっと癖のありそうな店主がお出迎え。
どうしたものかと思ったら、どうぞ酒蔵をご覧くださいと、奥へ案内される。
冷やものは冷蔵庫にありますんで入ってみていってくださいとのこと。
ずらーっと並べられたストックは圧巻です。
しかもどれもこれも関西ではほとんど見慣れないような珍しい銘柄ばかり。
思わずじゅるり。


↓冷蔵庫にはストックがズラ〜リ


一度蔵を出て、試飲させてもらうことにします。
サイズは2種類あって、おちょこサイズと、それより少し大きめの試飲グラス。
一応ラインナップのメニューがあるが、蔵にあるものなら全て試飲OKとのこと。
しかも高くても1杯300円とリーズナブルなので、いろいろ試せそうです。
ただし、あくまで酒屋さんでお酒の試飲だけなので、アテは一切ありません。
ただ話を聞くと、持ち込みOKだそうで、
今後業務に支障のない程度で簡単なアテを用意していくかもとのこと。
(でも角打ちスタイルにする気はなくあくまで酒の卸しの延長というスタンスだとか)


↓有料試飲のラインナップ


まずはずらーっと並ぶラインナップで目を引いたブルーのボトル。
富山は玉旭酒造の季節商品の大吟醸をば。
さすがに洗練されたクリアなのど越しでゴクゴクいってしまいました。
まさにこれからの季節にいい感じ。


↓玉旭 PREMIUM BLUE 大吟醸 生酒


続いて、青森はむつ市の関乃井酒造さんの「おしまこ美人」。
なんだか言い間違えると危険な名前のお酒ですな。
おしまことは下北の方言で目を見張るほどの美人を指す言葉らしいです。
さて、このお酒、下北半島の地元米が豊作の時だけしか作らないという貴重なお酒。
関西でこれが飲めるところは本当に少ないそうです。
ではさっそく。
ん〜、超強烈濃厚ボデー!
いわゆる山田錦のすっきりとした味わいではなく、
下北米の独特な香りと味わいがぐるんぐるんと回る。
どちらかというと雄町のようにちょっとクセのある味わいでした。
いやクセの強いお酒のほうが面白いです!


↓純米 おしまこ美人


ここまであてずっぽうでお酒をチョイスして、
蔵の話や酒造りのあれこれをレクチャーしてもらいながら2杯いただきました。
ここで遅ればせながら店主のおすすめを聞いてみると、
福島は南会津のお酒、「花泉」さんを推してこられました。
しかも、アル添酒でもここまでのクオリティを出してくるんです!と
本醸造スペック。
どれどれといただくと、確かに香りはそれほど立ってこず、
後味もアル添特有の苦みが残るのだが、非常にきりっと透き通るような辛口で、
本醸造ですと言われなければ、純米吟醸クラスと間違いそうなハイクオリティ。
ここの蔵は、福島といってもほとんど、
群馬・新潟との県境の深い山奥の豪雪地帯だそうです。
ここの卸す酒は特徴があって、まずはお水。
日本のお水の硬度は大体30〜40くらいなのだが、この地域の湧水はわずか3!
ほとんど味がしないほどの水だそうですが
それでどうやって発酵を促しているんでしょう?
それにも関係するのでしょうが、ここの蔵のこだわりは、
全スペックで、もち米四段仕込みを採用しているそうです。
普通は3段で仕込むのでもうひと手間かかっているということですね。
小さい蔵ながら地元密着で、地元米の採用やそのほかの地域活性にも積極的で
そういうところはどうしても応援したくなります。


花泉 本醸造 辛口


それからもう一杯、夏向けのお酒としておすすめいただいたのが、
愛媛は砥部の協和酒造さんの「初雪盃」。
最近、大手の酒造さんでもPRされている、
日本酒をロックで飲むというところに合わせて作られた生酒。
一緒に、普通verの夏純生もいただいたのですが、
確かに、最初から割る前提で少し濃いめの仕上がりになっていて、
氷の解け具合に合わせて、酒が馴染んでいくようになっていました。
ふむふむ面白い!


↓初雪盃 ロックで楽しむ夏純生 


この後も色々と酒談義に花が咲きました。
店主さんはお生まれが綾部ということで、
中丹(福知山・綾部・舞鶴)にある小さな駆け出しの蔵元さんも応援していきたいとか、
できるだけ関西で流通していない酒を紹介していきたいとか、
熱心にお話しされていました。
ここまでアテなしで飲み続けてきたので、そろそろお暇いたします。
試飲だけでもOKで、夜中までやっているので
また気軽に来てくださいとおっしゃていただきました。
おみやを購入して店を後にします。


お腹がペコペコなのでどこかええ店ないかなと商店街をブラブラしていたら
某アニキのお友達のブログで紹介されていたお店を発見し、飛び込みます。
ちょうど昨日一昨日にオープンしたばかりの「立ち呑み 仁」さんです。
威勢のいいスタッフさんに迎えられて、カウンターへ。
せっかくなので引き続きお酒をいただきます。


↓日本酒酒場 立ち呑み 仁


メニューにはたくさんの銘柄が並んで目移りしてしまいます。
そんな時は冷蔵庫チェックが手っ取り早い。
振り返ってすぐのところにあるでかい冷蔵庫を覗き込んで、
まずは面白そうなパンダ柄のこちらをいただきます。
佐賀は鹿島市にある矢野酒造さんの「たけのその PANDA FESTIVAL 夏純吟」です。
最近はラベルも趣向が凝っているものが増えましたが、なかなか可愛らしい。
酒はさすが佐賀の酒らしく、甘口ジュワ〜。
キンキンに冷やされているので、後口もベタつかず、スイスイ入っていきます。
アテには、厚揚げとジャコのたいたん、それから好物のキンメをいただく。
ん〜ウマシ!
夏に向けて、香住鶴のにごりをいただいて、グビグビ。
酒のラインナップも豊富で、アテもうまく、
スタッフも気さくでなかなかええお店でした。
ここは1人より酒仲間を連れていきたいですね。


↓たけのその PANDA FESTIVAL 夏純吟


↓金目うまし!


↓香住鶴 山廃純米 夏のにごり


ということで、福島でどっぷり酒三昧。
天満側に住んでいるので、梅田の反対側はなかなか足が向かわないんだけど、
たまには福島もええですなあ。
駅の南側はもう路地という路地が繁盛してすごいですが
北側はまだ昔ながらの風情が残っていてええ感じ。
ということで歩いて帰り酔い覚まし。