2日目のメインの用事は昼から埼玉なのだが、
午前中の空きを使って、行ってみたいところがあり、
やってきたのは多摩ニュータウンの北の端、
駅でいうと聖蹟桜ヶ丘というなんともキラキラした名前の駅です。
桜の名所であるということと、明治天皇の御狩場が付近にあり、
天皇が行幸した土地=聖蹟なのだそうです。
さて、こんな何の変哲もない住宅街に何の用かと言いますと、
実はこの街、大好きなジブリ映画『耳をすませば』の舞台となった
杉の宮のモデルとなった街なのです。
昔から自分も大好きな映画ですが、このところ上の娘も大好きで
最近何度も観ています。
普段東京に来ることはあっても、
なかなかここまで足を延ばす機会がなかったのですが、
念願かなっての聖地巡礼の旅に参りましょう。
用事が次々連鎖するため、ここを出るのは10:33の準特急。
それまでの2時間で撮了して戻ってこなくてはなりませんので
駆け足で参ります。
ちなみにこの記事ではシーンごとに写真を並べ替えしていたりしますので
必ずしも歩いた順番、撮影した順番とは限りません。
またあまりマニアックなことまでは知らないので、
内容が一部不確かだったりするかもしれませんがあしからず。
↓京王・聖蹟桜ヶ丘駅
駅を出てすぐのところのビルに
散策マップとスタンプラリーの用紙があるので、
行かれる際はそちらを利用すればよいと思います。
京王線のホームの発着の音もちゃんと「カントリーロード」でしたし、
町ぐるみで映画の舞台というアピールがされています。
ただ、この日は朝8時スタートということもあり、
ビル自体が閉まっていましたので、
自前のMAPを駆使していきます。
↓スタンプラリーと地図がありました(ビルの2Fのエレベーター横)
まずは駅と駅前自体がすでに映画の中に出てきます。
主人公の雫が、図書館で司書をしているお父さん(立花隆)に
お弁当を届けるために隣町から電車に乗るのですが、
そこで、ナゾの野良猫ムーンに出くわすというところから
物語が進んでいきます。
電車を降りたムーンを追って、雫が駅を出て、
丘へ向かっていくシーンでこの街の風景がいくつか登場します。
すでに駅前から南側にある高台が見えていて、
そちらへ向かって伸びる道を進んでいきます。
すぐのところにファミマがありますが、
ここは雫が同級生の夕子と待ち合わせをしたり、
お使いで牛乳を買ったりするシーンで出てきます。
でもフツーのファミマなので写真は撮らず。
少し歩くと小さな川があり、霞ヶ関橋という名の橋がかかっていて、
その先で、道は緩やかな右カーブを描きながら、
高台への上り坂となっていきます。
いよいよここからが映画の舞台となる街への入り口。
↓桜ヶ丘の入り口。大栗川にかかる霞ヶ関橋
このいろは坂は劇中何度も登場します。
雫がムーンを追って図書館へ向かう場面や、
誠司が自転車で雫が忘れた弁当を届けるシーン、
二人で自転車や歩きで何度も登ったり下りたり出てきます。
路面の塗装の赤いところや、手すりの具合など、
映画が実にしっかり描写しているのがわかります。
↓雫と聖司が何度も上り下りするいろは坂
そこそこの斜度の坂を上がっていくと、
右手側の見晴らしがどんどん良くなって、
北側に広がる国立や府中の街並みが広がっていきます。
その坂を上っていくと前方に小さな公園が登場しますが
ここが劇中では図書館の建っている敷地です。
実際にここには図書館はないのですね。
でも地形的なものや配置はそっくりそのままです。
そこからさらに坂を上っていきます。
車道はクネクネと蛇行を繰り返してなかなか興味深い道。
雰囲気は、関西でいえば、
箕面駅側とか、千里丘のあたりを彷彿とさせます。
関東のローディーさんにとっては格好の練習場になりそう。
ちなみにスタジオジブリのスタッフはチャリダーが多かったのは有名な話。
なので、聖司のチャリンコの漕ぎ方とかの描き方が
妙に力が入ってますね。
さて、道はいくつかのヘアピンが連続するようにして登っていきますが、
歩道は、その蛇行を横断するような格好で区間の真ん中を貫いています。
ここは、地球屋で昼休みの時間に気づいて
慌てて図書館へと向かう雫が駆け降りるシーンで出てきます。
あそこも背景を動かしたりテクニックが生かされて、
とても生き生きとしたシーンでした。
この階段は、車道を何度も横断しながら、
ほぼほぼ高台のテッペンまでずっと続いていくことになります。
さて、その階段を一番上まではいかずに
途中のヘアピンから脇道へ入って、少し寄り道します。
1つ目のヘアピンの右わきから住宅地へ入り、
そこから少し進むと高台の端っこの緑地帯に出ます。
ここは、聖司が一時帰国をした早朝に雫を連れ出した秘密の場所で、
日の出を眺めながら、
「俺と結婚してくれないか?」「雫。大好きだ!」と告白したところです。
ああ、青春かな〜。
ちなみに向き的には北側なので、朝日が正面からがることはありません。
そして、ここは会社の敷地で、急斜面の危険エリアに指定されているので
フェンスで囲われて立ち入り禁止になっていますので、
無断立ち入りはしないようにしましょう。
↓聖蹟桜ヶ丘を一望です
ここからもう少し住宅地の先まで歩くと、
竹林の間を行く階段がありました。
ここは、雫が図書館からムーンを再発見した後、
フェンスを越えて、裏口の斜面を
ずんずんと登っていくところに出てきます。
さて、寄り道はこのくらいにして、いろは坂に戻ります。
先ほどの階段をテッペンまで上がると、左手に小さな祠があります。
金毘羅宮というところです。
ここも映画に出ていて、幼馴染の杉村が雫にKYな告白をする場所です。
とても掃除や整備が行き届いていて、
ご近所の憩いの場になっていることがわかります。
↓金毘羅宮
ここまで上がってくると、桜ヶ丘の尾根に出たことになります。
道はここから南側の斜面に開けた格好になり、
ゆっくりと弓なりに南下していくことになります。
その南斜面に入るところにある階段が、
映画では雫が最初に階段を駆け下りるテッペン部分として描かれています。
そこの小さな交差点も1シーンで登場します。
ここまで上がってきて南側を見ると、
いくつもの丘が細かく波打っていて、
広大な住宅地を形成しているのがわかります。
桜ヶ丘は、日本最大級のニュータウンである
多摩ニュータウンの一番北に面したところなのです。
↓南側は多摩ニュータウン
このままいろは坂通りを進んでいきます。
道の左手に貯水施設があり、その入り口が小さなロータリーになっています。
この丘の上にはいくつものロータリーがあり、
大きなお屋敷が整列して、とても住み心地の良い静かな住宅街でした。
そのまま、道を進んでいくと、より大きなロータリーに出ます。
ここが地球屋のあったロータリー。
昔、地球屋のモデルになったと言われるお店があったようですが、
今は残念ながら閉店してなくなっています。
このロータリーがこの桜ヶ丘エリアの中心地。
実は生まれ育った武庫之荘の近畿中央病院の辺りにも
このようなロータリーがあって、思わず思い出しました。
さっきの坂の具合とか、このラウンドアバウトとか、
特徴的でとても上品な街の佇まいは、
確かに映画や作品にしてみたいと思わせるものが感じられますね。
さて、ここからさらにメイン通りを先へと進んでいきます。
静かな住宅街を貫くバス通りをずんずんと南下していくと、
再び小さなロータリーがあります。
さらにずんずん下っていくと、県道157号の大きな通りに出ました。
その向かいに別の丘がポコンとあり、
そのテッペンにランドマークとなる給水塔が一本。
そこを目指して歩いていきます。
大きな交差点を渡ると、その先には団地群があります。
入り口に多摩ニュータウンの案内板があり、現在地を確認。
もうここは東京都の一番西のはずれなんですね。
目指す丘のふもとにもずらっと団地。
ちょうど月島家が住んでいたようなタイプの
古い造りのものもあります。
小さい頃同じような団地に住んでいたので懐かしく、
また団地マニアとしてもたまりませんなあ。
そこから信号を渡り、愛宕団地に入ります。
ここは小さいながら急に盛り上がったような丘になっていて、
坂を上がっていきます。
団地の建物に囲まれるようにして小さな公園があるのですが、
そのベンチの感じは、夕子が泣きながら雫に相談したベンチにそっくり。
その先に見えている、緑のラインが入った給水塔は、
間違いなく映画の中に出てくる給水塔ですね。
本当にこの一帯の風景を描いたのだなというのがよくわかります。
↓特徴的な給水塔のある愛宕団地
愛宕団地は結構な高台で、東の端にある小さな公園からは
さっきの県道157号をまたいだ先にある桜ヶ丘が一望できました。
静かで平和な風景。
↓愛宕団地から桜ヶ丘をのぞむ
さて、この段階で時刻は9:30。
なんだかんだ結構な距離を歩いてきてしまいました。
電車の時間は決まっているので、ここからは急ぎ戻りながら、
風景を探していくことにします。
愛宕団地を降りて、県道をまたいだら、
さっきの小さな辻からバス道を外れて、住宅街へ入ります。
本当に静かな街並みです。
雫はきっとこんな街をムーンの後をつけていったのでしょう。
もちろん、なかには犬を飼っているお宅ももあって、
きっとムーンに遊ばれたことのあるワンちゃんもいるかもしれません。
途中、展望が開ける場所があり、
そこは小さな休憩所のようになっていて、
そこから一段下へ長い階段が伸びています。
その階段の奥に、今建設中のお宅があったのですが、
そのオレンジの色合いとか、バルコニーが張り出している感じが
まるで天沢家のようでした。
ひょっとしたら映画にあこがれて、
あんな家に住みたいと思って設計されたのかもしれません。
そこからバス通りへ向かい、地球屋ロータリーに戻ってきました。
つくづくいい街だなあ。何か物語が生まれそうな雰囲気がありますね。
ここからは若干時間との勝負もあり、バス道を早足で戻ります。
さっきの耳丘のところで、ひょっとして下から見たら、
エンディングロールの雰囲気があるかもしれないと思って、
残り少ない時間で、霞ヶ関橋まで戻り、
そこから大栗川に沿って歩いてみると、
下からよく見える場所に出ました。
こう見ると、いきなりの絶壁の丘になっていて地形的にも面白い。
一通り、めぐることができたので、ここから大急ぎで駅まで戻ります。
なんとか予定していた電車の6分前にミッションクリアできました。
アップダウンもあり、意外と広範囲の所まで歩いたので、
結局2時間みっちりの聖地巡礼でしたが、
午前中の空きをうまく使えました。
では、次のミッションへと向かいます。
↓聖地巡礼MAP