アンサンブルズ東京2017 大友良英スペシャルビッグバンド
さあて、いよいよブログ版もフィナーレですよ。
もろもろ他の出演者さんの本番を見たり、奥さんたちと合流したり、
色々なワークショップの方々とお話しさせてもらったりしながら、
東京タワーにどっぷり丸一日。
18時となって、いよいよ東京タワーの被り物を装着して、
チキンを抱えて会場へ向かいます。
控え室から出るところで、CANTUSの太田美帆さんとすれ違い、
お父さんガンバレ!とエールをもらい、行ってきます!
朝すっかりリハを飛ばしてしまい、
舞台上の立ち位置もはっきりしないまま、
とりあえず娘を前列の子供たちの並びにして、自分はその後ろに陣取る。
舞台の上は、ビッグバンドの皆さん、ワークショップの皆さん、
それに池袋盆BANDのみなさんまで乗っかって、総勢100人ほど。
そのうえで舞台上には様々な楽器がありーの、
マイクスタンドにアンプがありーの、
おまけに縦横無尽にシールドが張り巡らされていて、
ほとんど身動きできないほどの過密状態。
ぼくらはそれほど演奏スキルはいらないけれど、
管楽器、弦楽器の人たちのやりやすいポジションを邪魔しないようにしないと。
そうして、指揮者・大友良英が登壇し、いよいよスタート!
↓大友良英ビッグバンド(ph拝借)
まず何がしたい?みたいなことを大友さんが子供たちに聞くと、
「ドラえもん」という答え。
ええ??
ドラえもんなんて練習してなかったけど、イキナリできるの???
と、思ったら、さすがです。
すぐさま「あんなこといいなあ〜♪できたらいいな〜♪」とメロディーがはじまり、
それにみんなが1人1人が音を拾って、次々後追いしていきます。
そうして、「とっても大好き、ドラえもん〜」と1番を完奏!!
練習もなく、昨日集まったばかりの人たちで
しかも肝心の大友さんもこの曲全部は知らないそうで、よくもまあ(笑)
すごいねえ。
でも、冷静に考えると、「ドラえもん」とリクエストした子供は
まだ未就学くらいの子。
もうずいぶん前、キャスト一新のタイミングで、
確か主題歌は『夢をかなえてドラえもん』に代わってしまっているから、
今演奏した、僕ら世代の主題歌にはピンと来てなかったかも!?
と、思いつつも、楽しいから、まいっか(大笑)
それに今の新ドラえもんバージョンよりも、
我々昭和世代の旧式バージョンの方が
この東京タワーという場所にはぴったりのような気がします。
ということで、大友良英スペシャルビッグバンド、
こんなゆる〜い感じで始まりました。
予想外のスタートで、もう会場は一気に盛り上がって、
その流れを駆って、『あまちゃんのテーマ』でスタートダッシュ!!
もうこの曲は、老若男女、誰彼問わず、万人が楽しい気分になれる、
まさに自由の象徴。
聴く方もそうだけど、演奏するほうも、
極めてシンプルな構成なので、
本当にみんながみんなのペース、ノリで入っていける
まるで魔法のような曲ですね。
そっから、次の曲へ行く前に、
その曲をパロった『楽しくてやりきりたい』を軽く演奏。
パレードではこれをオーラスに持ってきて、
芳垣組に音を引き継いだのだけど、
本当に原曲とは全く真逆の賑わいで。
悲しくてやりきれなかったんじゃなかったのかよっ!!
と、思わずツッコミ入れたくなるような身軽さ。
やはり音頭のリズムはニッポン人の深層心理に
脈々と流れているんだなあと実感してしまう。
いやひょっとしたら、
このリズムは日本を飛び越えてしまう可能性だってある!
そしてそして『悲しくてやりきれない』へと。
最初は方々で静かにさざめきながら、
少しずつ音の波が寄せ集まって、
いつしかぽっとメロディーがこぼれ出し、
音と音が何重にも織りかさなって、
しまいにはその圧みに耐えかねて
内側から一気にエネルギーがスパークする。
今までの全ての音楽体験を振り返ってみても、
今この瞬間ほど自分の存在が音楽と一体となって解き放たれたことはない。
集中というよりも一心不乱の状態で、
不思議なことにこれだけ音が充満していて、
メロディーに酔いしれ、身を任せているというのに、
まるで穏やかな海のしじまに浮かんでいるように無音の感覚に陥って、
なにか自分の魂が身体をすうっとすり抜けたかのようになって、
アレ?アレ?と思いながらも、
それがえも言えぬ幸福なきもちに包まれて、
もうほとんど泣きそうになりました。
大きな感動に包まれて、
そこからは一転、即興タイムになだれ込む。
大友さんの合図に合わせて、
あちらでコロン、こちらでシャリン、みんなでドーン!!
ギギギギ〜ガガガ〜とノイズ君がさく裂したかと思えば、
管楽器隊が後追いしてボロロ〜ン、パララ〜ン。
太鼓、マラカス、木琴、ピアニカ、
どの楽器もみんな音を出したくてウズウズして、
それを嗅ぎ取って大友さんが、分け隔てなく合図を送る。
そしてそして、
チキンの断末魔がグウァァアァァ〜〜〜〜〜〜〜@@@@$#%&'&(%(
これほど自由な音楽があるでしょうか???
そして、勢いに乗った我々はそのまま
『あまちゃんクレッツマー』『Gazzelloni』となだれ込み、
激しいテンポと熱い、熱すぎるパッションに身をまかせて乱舞。
すごい。すごい。すごい。すごい!!
そして最後は、名残を惜しむかのように
『灯台』の優しくて滑らかなメロディーラインに乗って
40分間の音楽フライトをゆっくり着地させていきました。
もう本当に無我夢中で、恐ろしく時間があっという間に過ぎてしまいました。
アンコールが沸き起こり、
イベントの総フィナーレのラストはやはり即興。
差し出がましくも我らがチーム動物園がご指名を受けて、
ガーガーとスタート。
それに合わせて、みなも色々な楽器を使って動物の鳴き真似をしたりして、
とっても牧歌的でピースフルな音が生まれていきました。
そしてそして、名残を惜しみながら、
『楽しくてやりきりたい』を演奏しつつ舞台を下りたのでした。
最初、舞台上がった時にはいろいろな緊張や不安があって、
そこからどんどん気持ちが高ぶって、
タマシイがピロロロロ〜と脱走して、
そこから怒涛のリズムにエネルギーを噴射して、
楽しすぎるのか、悲しくてやりきれなすぎるのか、
盆と正月と喜怒哀楽の一切合切がいっぺんに身体を駆け巡っている状態で
舞台を下りたら、CANTUSの太田美帆さんがいてらして、
親指をピーンと立てながら、
「チキン、よかった!」と一言、力強く言ってもらって、
ああ、なんだかもうすべてのことが今成仏したぁ〜と
いっぺんに力が抜けていきました。
本当に本当に、とてつもない経験をすることができました。
なんといっても娘が終始笑顔で、
真の底から楽しんでくれているというのがわかったのがうれしかった。
みんなと一緒に歌ったり、音を出したり、
他のメンバーの人と交流をしたり、褒められたり、楽しんだり、
そういう人と音楽とのふれあいというのを、
身でもって感じてもらえたことが何より。
この体験が、彼女の原風景となって、
自分自身が自分自身の幸せを生み出せる人、
そしてその幸せをたくさんの人におすそ分けできる人となるための、
栄養となってくれたら、もう何も言うことはありません。
とにもかくにも、こんな楽しい瞬間に混ぜていただいて
大友さん、プロジェクトFUKUSHIMAのみなさん、アーツカウンシル東京のみなさん、
坂本美雨さん、CANTUSさん、ワークショップの皆さん、
どうもありがとう!!
そしてそして、東京タワー、最高!!
<セットリスト>
1. ドラえもん
2. あまちゃんのテーマ
3. 楽しくてやりたいんだ音頭
4. 悲しくてやりきれない
5. ノイズ君から始まる即興
6. 木琴から始まる即興
7. 子どもたちから始まるあまちゃんクレッツマー
8. なっちゃんから始まる即興
9. Gazzelloni
10. 灯台
アンコール.チーム動物園から始まる即興