記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

前のりハイク 美ヶ原

今年はコロナのこともあり、

もうアルプスへの遠征はできないだろうし、

こんな状況下でわざわざするつもりもなかったのだけど、

山の仲間から、働いている山小屋に遊びに来ない?

とのお誘いを受けたので、

ご指名とあらばということで行ってきました。

 

山の世界もコロナの影響は甚大。

ハイシーズンにもなれば、人気エリアの山小屋は、

布団1枚を3人で分け合って寝ることもザラという、

密状態になる環境。

そんな中で、万一、クラスターが発生したとしても、

場所が場所だけに、迅速な医療体制を取ることもできない。

そのため、1日の収容人数を大幅に制限したうえで

完全予約制にする小屋や、

今年の営業を断念した山小屋が多数ある。

とはいえ、山小屋の維持、

登山道や周辺環境の管理は必要不可欠なので、

(人が継続して手を施さないとあっという間に荒廃する)

お客を取らなくても、山小屋の人間は山に常駐しないといけない。

貴重な収入源が絶たれた中でも、

彼らの任務はなくならないのだ。

(そもそも国立公園の維持管理を

国が山小屋や民間の自助に丸投げしているのもかなり問題だが)

 

そういう苦しい状況でも、

山を愛し、山に生きる仲間がいて、

自分が行くことで少しでも元気が出たり、

お助けできることがあるのなら、それを断る理由はない。

 

それにしても、

コロナ禍で、山登りどころか、通勤すらしなくなり、

めっきり運動量が減ったことで正直、

北アルプスを登る自信がないほど体力が低下している。

なにしろ、去年まで1日平均最低1万歩、歩いていたものが、

今年はその半分以下にまで激減し、

下手すればほとんど自宅に籠り、

数百歩も歩かない日もあるのだから。

 

なので、場所が場所なら、

行きたくたって、たどり着けないかも、と心配したら、

唐松岳頂上山荘だった。

八方尾根なら、途中まではゴンドラとリフトがあり、

その先も北アルプス入門編の登山コース。

なんとか行けそうだ。

 

ということで、連絡のあった日からすぐに手配をして、

その週末には出動。

仕事終わりに前ノリ。

まずは新幹線で名古屋まで。話には聞いていたけれど、

こんなにガラガラなんだなあ。

そこから特急しなの号に乗り換えて松本まで。

毎夏お世話になっている乗り慣れた特急列車も、今年初。

いつもは早朝の初発か、最終の夜中の便なので、

こんな昼日中に乗るのが新鮮で、車窓が楽しい。

 

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昼過ぎに松本に到着。

前のりの宿泊地として、

白馬にしようか松本にしようか悩んだのだけど

もろもろ選択肢の多さから松本にしました。

いつも登山の行き帰りに慌ただしく用事や買い物を済ませて

松本をゆっくり楽しむことがなかったので、

ゆっくり観光でも、と思ったのだけど、

結局、シーズンだけ運行している

美ヶ原へのバスに間に合いそうだったので、

お山に行くことに。

 

その前に、ホテルによりチェックインだけ済ませ、

ザックをデポ。

バスまでの時間で、なじみの駅前の立ち食いそば屋さんへ。

立ち食いそば屋さんだけど、そばがもう全然違う。

めちゃくちゃ旨い。

どこかの立派なそば屋じゃなくても、全然旨い!!

香川で食べる讃岐うどんと同じ理屈で、流石本場の底力。

 

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さて、美ヶ原行のバスの時刻です。

シーズンに出る直行バスは朝と昼の2便のみ。

そして松本に戻る便はその折り返しなので、

美ヶ原の滞在は約2時間程度です。

麓はそこそこ晴れ間があるのだが、

周辺の山の上の方がガスガスなので、

あまり眺望は期待できなさそうだけど、

翌日の山行の前に、軽くリハビリに歩くにはちょうどよい。

 

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バスは松本市街から、美ヶ原温泉、浅間温泉を中継し、

三才山トンネルの手前から、

いよいよ本格的な山道へ分け入っていく。

ひたすらクネクネ、クネクネと斜度のある道を

しんどそうなエンジン音を上げながら登っていきます。

雲間に突入したのか、車窓はほとんど真っ白いガスの中。

40分ほどかけて、ようやく山上へ上がると、

緑の絨毯が敷かれたなだらかな山肌が見えてきます。

 

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松本駅から約1時間15分で、

バスの終点・美ヶ原自然保護センターに到着。

残念ながら少し雨が降ってきたようで、天気はよくない。

あまり時間の余裕もないので、

レインウェアを羽織り、すぐさまスタート。

山頂である王ヶ頭は後回しにして、

西側の尾根の突端である王ヶ鼻へ向かいます。

道は、登山道というより砂利道。

 

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10分ほどで分岐まで来て、そこから西へ折れます。

電波塔をかすめて少し先が、王ヶ鼻。

頭上はどす黒い雲が張り出しているが、

眼下はどうにか松本市街を望むことができました。

 

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王ヶ鼻を後にして、つぎは王ヶ頭へ。

分岐からさらに砂利道を進み、途中で横道を登って、

標高2034mの王ヶ頭に到着。

サクサクッと来ましたが、

一応ここも立派な日本百名山です。

 

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山頂のすぐ脇に立派なホテルがあり、

それを東側へと回り込むと、

その先には広大な牧場からなる美ヶ原高原が広がっていました。

帰りのバスの時間があるので、

高原のシンボルである美しの塔までは遠くて行けなそうだが、

行けるところまでは行ってみたい。

 

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ホテル前から果てしなく続く散策路を歩きます。

両側の柵の向こうでは、

のんびりと乳牛が草を食んだり、寝転がってくつろいでいる。

それにしても空が近い。手を伸ばせば届きそうなくらい。

空はずっとゴキゲンナナメだったけど、

ここにきて少しだけ青空もちらちら。

なんかここだけ時間の流れがゆっくり流れているようで、

とても心地よい。

 

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本当ならもっとゆっくりしていたいけれど、

バス停までの戻りを考えると、そろそろ。

ゆっくりとホテル側へと戻ります。

それにしてもこんな2000mの高所に、

これだけのただっ広い場所が広がっているなんて。

 

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ホテルまで戻ってきて、

せっかくなのでとソフトクリーム。

やっぱりこれは食べないと。

 

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食べ終えて、名残を惜しむようにしてホテルの脇の小道へ。

そこからずんずんと下って、

15分前にはバス停に戻ってきました。

わずかの時間でしたが、とってもよい散歩でした。

 

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下山後、いったんホテルに戻り、しばし休憩。

わずか2時間歩いただけでヘトヘト@@

気付いたら軽く寝てしまってました。

今回のホテルは駅から出てすぐのところのホテルなのだけど、

最上階に大浴場があり、そこのヒノキ風呂が最高でした。

他に入浴客が誰もおらず、独り占めして、長風呂してしまいました。

 

さっぱりしたら、お腹がすきますね。

ということで、ホテルを出て、晩ごはん。

お目当てがあって、

昭和8年から、この松本の地、女鳥羽川沿いで営業している

「おきな堂」さんへ。

いわゆる町の洋食屋さんですが、

もうどのメニューをとってもおいしいそうで、目移りします。

(いっそ全メニュー制覇したい)

一番人気は、ハヤシオムライスにチキンカツの乗った

ボルガライスのようだが、悩みに悩んで

オムハン(オムライス+ハンバーグ)にしました。

いや、もうめちゃくちゃ旨い。

町の洋食屋好きも大納得の美味しさ。

例えば、神戸あたりの名だたる洋食屋を一通り食してきましたが、

三本の指に入るおいしさです。最高。

食後のデザートに思わず手作りプリンもオーダー。

んまあ、なんとも惚れ惚れする!!

最高のディナーを満喫できました。

 

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ということで、前のりから、

あれやこれや満喫しましたが、翌日はいよいよ山入り。

早めに就寝して翌日に備えます。