記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

湊川隧道 一般公開

本日11/18は土木の日です。
なぜかというと、土木の字を分解すると、

土⇒十一
木⇒十八

だからだそうです。今年は土木学会100周年に当たり、
くしくも巷ではひそかな土木ブーム(ダム・トンネル・廃墟etc)ということもあり、
全国各地で様々なイベントが催されています。


日曜日。出張で治りかけていた体調も振出しに戻り、
山歩きを再開できるほど十分でもなかったので、
ちょうど神戸で行われている湊川隧道の一般公開に行ってきました。


湊川は度重なる洪水被害や、神戸港への土砂流出問題、
天井川で堤防が高く神戸と兵庫を分断して交通の便を遮断しているといった
いくつかの問題を抱えていたため、何度か流れを付け替えてきた歴史があります。
そういった歴史の中で、湊川隧道は標高85mの会下山の真下をくりぬく、
わが国最初の近代河川トンネルとして1901年に竣工されました。
その後、阪神淡路大震災などによってダメージを受けるなどしたため、
新しいトンネル(新湊川トンネル)に付け替えられたことで、
河川トンネルとしての役目を終えました。
現在では貴重な近代化遺産として、地元の保存会によって維持されています。


さて、このところの毎度のごとく午前中は動けずに、出発がかなり遅くなり、
湊川公園駅に到着したのはイベント終了30分前でした。
そこから会下山公園にある呑口側の坑門工へダッシュ
10分ほどで到着しました。
立派なレンガ造りの建物の前には保存会の方々がたくさんおられ、
聞きつけた人たちもたくさん集まっておりました。
申し込み不要、参加無料ということで早速中へ。


湊川隧道


入ってしばらくは急なコンクリート造りの斜面が続き、
保存会のこれまでの活動記録がパネル解説されていました。
その先へずんずんと奥深くへと進んでいくと、
見事なレンガ造りの空間が広がっておりました。


↓呑口からスロープを下っていく


内宮幅7.3m、内宮高7.7m、全長約680m(コンクリ増築部分含む)の湊川隧道は
側壁はもちろんアーチ部分も見事なレンガ造りで、
まるでそこだけ時が止まってしまったかのような、
ノスタルジックな気分を感じる。
なんとも雰囲気のある空間でした。
ここからは、しばし写真をお楽しみください。


↓レンガ造りの味のある隧道


↓素晴らしい空間


↓最奥


↓今でも湧水がある


中へとズンズン進んでいくと、
今でも湧出しているという地下水が中心部に溜まっている。
濡れないようにわきを歩いていくのだが、
丸くくりぬいているので道の両脇は少し斜面になっていて
しかもレンガ造りなので少々歩きづらい。
所々オレンジの電飾に照らされて、
ハードボイルドの世界?もしくは夢野久作ワールドに迷い込んだような錯覚を覚える。
時々このスペースでコンサートなども開かれているそうなのだが、
それはなかなか楽しそうだ。


↓記念撮影


レンガ部分を過ぎると、新湊川トンネルまでの接続部分を歩く。
無機質なコンクリート造の道をコツコツと。
バイオハザードを観たところなのでなんとなく不気味な空気に感じたり。
暗渠とかトンネルとかやっぱり独特で面白い。


↓新道へのコネクション部分


↓この階段を抜けると終了


階段を抜け、小さな梯子を下ると、現在の新湊川の流れに合流します。
まずまずの水勢がありました。
あの暗くなっていく奥が気になって歩いていきたいが立ち入り禁止。
子供の頃、家の近所は大田園地帯で、至る所に水路が張り巡らされていて
当然暗渠も数多くあった。
放課後に、親には内緒でそういうドブ底をよく探検したりしたものです。
今思うとかなり危険だけど。
海外ではドレイナーと呼ばれる暗渠専門の探検好きがいたりするので
そういうのがもっと日本でもあったらいいのになあ。
とりあえず奥へは行けないので、まばゆい光を放っている出口へと進んでいきます。
そうして吐口側から下界へ出て探検は終了。
なかなか面白い空間でしたね。また機会があれば歩いてみたい。


↓新湊川トンネルに出る


↓出口に向かう


吐口側から外に出たはいいがここは一体どこ?
それとこちら側にはスタッフさんが常駐していないようで、
入り口で売っていた資料もこちらでは販売がなかった…
仕方がないので呑口側へ戻らねばならないのだが、
すでにトンネルに入れる15時を過ぎているので、そのまま来た道は戻れない。
そこで、そのまま隧道の真上の会下山公園を登って戻る。
すでに入り口は施錠されようとしていて、
たくさん集まっておられたスタッフさんにご挨拶をして、資料を1部購入。
本当に地元に愛された隧道ですね。
この隧道のように普段何気ないもの・ところに、
こういった面白いものは意外と転がっているものです。


↓外界へ


↓吐口側


さて、どうやって帰ろうかと思ったが、最近運動不足なので、
三宮あたりまで歩いて帰ることにします。
湊川から新開地へと下る。
そのあたりで有名な立ち飲み屋でもと思ったが、日曜日は軒並み定休。
仕方がないので、そのまま東へと進み、モトコー制覇をもくろむ。
隧道ではないが高架下もまた立派な産業遺産です。
大学生の頃はこのモトコー(元町高架下)や日本橋五階百貨店辺りに足しげく通っては、
8mmビデオや音響のパーツとかXXXとか漁りまくっておりました。
昼飯がまだだったし、ええ感じの店があれば立ち飲みでもと思ったが、
目ぼしいところはなく、ただ端から端まで歩くだけでした。
それにしてもここも全く当時と変わらず、懐かしい。


↓モトコー7


↓モトコー6


↓モトコー5


↓モトコー4


↓モトコー3


↓モトコー2


↓モトコー1


元町までテクテク歩いてきてさすがにノドが渇いたので
観光客でごった返す南京町を突っ切って、こちらでビールを頂く。
なかなか渋いお店ですなあ。
30分ほどのんびりお酒を頂いて、
ちょっと小腹がすいたので店を変えます。


↓赤松酒店


↓たらことビール


神戸といえばやっぱり餃子。ちょうど17時の開店時間だったので
同じく南京町の路地裏にある「ぎょうざ大学」さんへ。
開店と同時に満員。さすが人気のお店です。
帰ってから晩飯もあるので(しかも餃子です)、
にんにく入りで2人前(540円)だけ注文します。
ちなみにメニューは餃子(にんにく入り・なし)とドリンクのみ。(昼はライスあり)
神戸餃子の特徴は何と言っても味噌ダレ。
壁の張り紙通り、ミソ2杯に、ラー油1杯、醤油と酢を少々ブレンドして待ちます。
目の前で次々と鉄板で焼かれていく餃子に惚れ惚れしてしまいますね。
料理では一番好きかもです。
そうして見事な焼き加減でやってまいりました。
や〜みなまで言うまでもなくウマイ!
この激戦区神戸の中でもここが一番ウマイ。
お昼を食べていなかったこともあってあっという間に平らげて、
店外にずらーっと並んだ後続に席を譲ります。
ごちそうさん


↓ぎょうざ大学


↓入りで2人前


まだ時刻は17:30だが、すっかり日が暮れるのも早くなりました。
元町で奥さんに焼き菓子の土産を購入して、帰宅が19時頃でした。
ああ、山が恋しい。