記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

子連れハイク 富士山 2日目

2日目。
目覚ましがうまく機能せず、自然に目覚めたのが5:30!
本当は1時間以上前に起きるつもりだったのだけど、
まあこれ以上遅くならなくてよかった。
大急ぎで娘を起こし、身支度を整える。
幸い、2人とも高山病の兆候もなく元気。
すでに外は明るくなっていて、
食堂であんパンを2個ずつかじって、
6時を少し過ぎたところで、いよいよテッペンへ向けて山行スタート!


↓決戦の朝


↓いざ出発!


6合目のもう一つの小屋の裏手から、
いよいよ頂上を目指す長い長い上り坂がスタートします。
足元はふかふかでぼろぼろの砂地で、結構足を取られるので、
最初から疲労軽減を図るために、
娘と1本ずつトレッキングポールをシェアして、上がります。
風もなく、温度もちょうど良い感じで、絶好のコンディション。
絶対後で足に来るので、慌てず慎重なペースを保ったまま上がります。
昨日火口から見上げた宝永山もすでに下に見えてきて、
30分ほどで新七合目に到着。


↓ずっと上りです


↓宝永山


↓新七合目


少しばかり休憩したら、すぐにリスタート。
ここからは少しばかり、岩場も増えてきます。
すでにご来光を見て下山する人も多数あり、
富士宮口はほかのルートと違って
上り・下りが1本のルートなので、
行き違いを慎重にしつつも、楽な段差を選んで上っていきます。
外国人の人も多いのだけど、お国柄みたいなのもあって、
欧米人はアウトドアに慣れているからか結構ラフな感じで、
Tシャツに短パンとか。
逆に、韓国や中国の人は、それ絶対暑いし重いやろというほど
完全武装の山装備。
どっちがどうということもないけど、とにかくカオス。
キッズたちも結構いて、見かけるたびにがんばれよと励ます。
再び40分ほどかけて元祖七合目に到着し小休止。
富士山の数え方にはだましがあって、純粋に7⇒8⇒9⇒10とはいかず、
7⇒7.5⇒8⇒9⇒9.5⇒10と余分があり、
それがまた疲弊した登山客を奈落に突き落とす要素となっています。
そういえばこの元祖七合目の標高は3010mなので、
いつのまにか3000mラインを越えておりました。


↓岩場が増えてきました


↓もうすぐ元祖七合目


元祖七合目から八合目はすぐそこに見えていますが、
斜度が結構あり、急なジグザグを詰めていきます。
このくらいになると、
そろそろ道の端々で行き倒れている人が増えてきます。
我々は一定ペースをしっかりと保って、慎重に進みます。
そうして8時を少し過ぎたところで8合目に到着。
小屋付近は混むので、もう少しだけ上って、
西からの風を遮れる岩場の陰で小休止。
8合目から見上げると、岩場の中間に九合目と、
さらにその上に九合五勺、
そこからそびえたつ岩壁の上に頂上の鳥居が小さく見えました。
近そうで遠いけど、ゴール地点が見えれば頑張れるというものです。
あまりがっつり休むと体がそれを覚えて動かなくなるので
水分補給と息を整えるだけして、リスタート。
娘もまだまだ元気!


↓八合目


↓山頂が見えてきました


ここからは少し斜度も上がり、道幅も若干狭くなります。
降りてくる人の数も増えて、若干トラフィックが渋滞気味。
高度を上げるにつれて西からの風が一段と強くなってきたので、
レインウェアを羽織って温度調整しつつ、
汗をかかない程度でしっかりと進みます。
そうして9時に九合目の小屋に到着。
上ってきた道のりを振り返ると、雲ははるかかなたで
なかなかの絶景。
これだけ晴れてくれたのが本当にありがたい。
ここでしばらく休憩をしていると、
小屋の人がぞろぞろと出てきて、ラジオ体操を始めだした。
で、なぜか娘もいきなり混ざり出して一緒に体操。
後で疲れても知らんぞ〜。


↓九合目


↓絶景をバックに小休止


↓なぜかラジオ体操に参加


九合目からも急なジグザグ道が続きます。
右手の谷筋にはうっすらと雪渓が残っていましたが
もうほとんどありませんでした。
9:30に九点五勺の小屋に到着。
いよいよゴールはすぐそこ!


↓若干の雪渓


↓九合五勺


九点五勺からはさらに岩場が急となり、
トラフィックも混雑して大変。
浮石に注意しつつ、
できるだけ緩やかなところを狙って少しずつ進む。
途中、さすがにきつくていったん休憩を入れましたが、
そこから残りをやっつけて、10:15、
娘と手を取り合って山頂の鳥居をくぐりました。
やったああ、ついに富士山登頂に成功です!
標準タイムが5時間30分なのですが、
約4時間ほどといいペースで上がってくることができました。


↓あと一息!


↓山頂とうちゃこ!


たくさんの登山客をかき分けて、
まずは浅間大社にお参り。
それから小屋の脇を抜けてその先火口へ向かいます。
ぽっかりと開いた巨大な噴火口は迫力満点。
今まで2度の山行の時はガスがひどくて
全く大きさもわからなかったので、新鮮に感動しました。
そこでいったん休憩をする前に、
まずは上りは全部片づけてしまってからゆっくり休憩をとることにして
最高地点に当たる剣が峰へ向かいます。


↓噴火口と左に見えるのが最高地点の剣が峰


↓記念撮影♪


荷物をデポして、火口をなぞりながら、
観測所のある剣が峰へ向かいます。
最後の急斜面はザラザラの砂地で、
放っておくとずるずると滑り落ちてしまうほどの急斜面。
2人手を取り合って最後の上りをやっつけました。
最高地点には碑が立っているのですが、
そこでの記念撮影のために行列ができていました。
さっと踏んで帰ることもできたのですが、
娘もせっかくならというので並びます。
しかしどこでも行列ですなあ@@@
まあ、ここから迫力ある噴火口が丸見えなので、
それを見ているだけでも全く飽きません。
30分弱ほど並んで順番にありつき記念撮影。
その先の観測所の端へ行ってみると、
わずかですが西側の眺望も見え、
雲の合間から、甲斐駒の鋭い頂や、八ヶ岳の山塊、
そしてはるか遠くに北アルプスの山々が見えてびっくり。
いやあ、もうこんな天気に恵まれてほんと最高です。


↓いざ剣が峰


↓こちらか覗く穴も大迫力


↓日本はどこも大行列@@


↓日本で一番高いところ


↓左に甲斐駒、奥に穂高・槍、右に八ヶ岳


さて、無事に剣が峰を踏んで、
山頂小屋のところまで戻ってきたのが11:15。
ここでしっかりと休憩と補給をして下山に臨みます。
雲海荘さんで用意してもらったお弁当をいただきます。
でっかい噴火口を眺め、
登頂できた喜びをかみしめながらのお昼ご飯は最高で、
娘も充実の顔をしております。
30分ほど休息して、いよいよ下山。時刻は11:50。
自力で登っても、自力で降りなきゃ登山は完結しないし、
帰るまでが遠足なので、気を引き締めて下りますヨ〜。


↓お弁当


↓お決まりの実験


↓下山開始!


最初は上りのコースタイムが予想以上に良かったので
下りはそこまでかからないだろうと思っていましたが、
この下山がこれほどまでに過酷になろうとは思ってもみませんでした。
9.5合目には12:40、9合目には13:35と、
ほぼ次の中継点まで約1時間ずつかかっているような感じ。
当然上りの疲労の蓄積もありますが、
下山だと足への負担や衝撃が思った以上に大きくて、
9合目に到着するころには娘の足が痛み出し、
ヨチヨチとしか歩くことができないほど。
幸い捻挫とか、豆がつぶれてといった明らかな外傷はなく、
疲労による痛みだったので、
中継点に着くたびに靴とソックスを脱がせて入念にマッサージをしてやる。
ちょうどこの日やっているであろう24時間テレビのマラソンのようです。
とはいえ、それで疲れが完全に取れるはずもなく、
リスタートすれば再び足の痛みが襲ってくるような感じで、
娘も最初歯を食いしばっていましたが、
途中からは半泣き状態となり、本当に辛そうでした。
それでも自力で降りるしかありません。
本人もそれがわかっているので、泣き言や弱音を一切吐かず、
ただ一歩一歩集中し、痛みで顔をゆがめながらも前進し続けていました。
八合目からは荷物をもってやり、少しでも負担を軽くしてあげましたが
もう足はボロボロのようで、
さすがに彼女の限界を超えた山行だったと猛省しましたが、
それでも担いで下りるわけにもいかず、
必死で励ましたり、はっぱをかけたりしながら、
騙し騙し下りていくしかありませんでした。


↓果てしない下山が続く


↓九合目


↓ガンバレ!!


↓お神輿上がってきた


新七合目に到着した時点で時間は15:10。
15:30の下山バスはあきらめるとして、次が16:30。
その次が18:00で、この最終だと本当にギリギリ帰阪できるかできないか。
翌日は普通に学校があるので、どうにかこうにか16:30に間に合わせたい。
しかし、このペースで歩いていると本当にギリッギリ。
娘もそれがわかっているので、限界を超えて必死で歩いているので、
これ以上ガンバレとも言えない。
とにかく足を止めた時点で間に合わないので、
少しずつでもいいので止まらずに進んで、
前日に泊まった六合目に到着したのが16:10。
普通のペースでいけば、まあ間に合う時間なのだが、
この状態では一刻の猶予もない。
そこで、ひとまず止まらず歩いてこいと娘に指示をして
自分がは猛ダッシュでバス停まで走って行って、
バス停に荷物をデポ。この時点で残り10分。
大急ぎで登山道へ戻って上り返し、
ヨレヨレに歩いている娘をピックアップして、2人で猛ダッシュ
最後は、さすがにスパルタンな状況でしたが、
出発の2分前に下山バスに滑り込むことができました。
奇跡的なミッション成功に思わず2人ハイタッチ。
最後は娘も痛みを忘れて、必死でついてきてくれましたが
わが子ながらすごい根性。


↓さらば富士山


バスでは二人ともさすがに疲弊しきっていましたが、
先ほどの興奮と、もう歩かなくてよいという安堵で、
2人とも変なテンションで、寝落ちすることもなく、ワイワイ。
だが、勝負はまだ終わっていなかったのです…
バスが新富士に到着する時刻は本来18:27で、
そこから18:39の新幹線こだまに乗って帰るのですが、
帰宅ラッシュの時間帯と重なってバスが遅れ、
駅に到着したのが18:35!
これまた娘にゆっくり歩いてこいと指示をして、
自分は猛ダッシュみどりの窓口へ行って切符の手配。
もう座席指定と化している場合ではないので、
とりあえず乗車券を発券してもらい、
ちょうど追いついてきた娘と一緒に改札からダッシュ
棒のような足で階段を駆け上がり、
すでに到着している列車に飛び込んだ瞬間に扉が閉まる。
ゼエハア。なんかいつもこんな展開だなあ。
今回ばかりは娘まで巻き込んで申し訳ない…
で、このこだまが自由席がもうどこもいっぱいで座れず、
とりあえず次の静岡までは連結のところで待機。
静岡から新大阪行のひかりに乗り換えるのだが、
こちらも指定が取れず@@@
さすがに大阪まで座れないのは致命的なので、
ダッシュで自由席を2席ゲット。
ここでようやく落ち着くことができました。


この下山後のドタバタでもう自分なんかはヘロンヘロンだったのですが、
娘はすでに体力が回復して、歩く姿も正常に戻り、元気ハツラツ。
若いってうらやましい。
21時を少し過ぎたあたりで無事に新大阪に到着。
ドタバタで駅弁すら変えなかったので、
ターミナル駅で晩飯にしてから帰宅。


いやあ、もう後半色々ありすぎて、
娘も限界を優に超える苦行をさせてしまいましたが
親子で日本一のお山を制覇するという、
ある意味究極の夢を叶えることができました。
何より、こんな過酷で無茶なチャレンジに対して、
弱音を吐いたり、諦めたりすることなく、
全部自力で果敢に挑み続けた娘の姿がとても頼もしく、
それだけでもうお父ちゃん何杯でもお酒飲めちゃうほど(笑)。
終盤、かなりスパルタンな場面もありましたが、
またお山に行きたいと言ってくれたし、
夏のチャレンジ大成功ということでメデタシ、メデタシ。