記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

clammbon モメントツアー2018 at 神戸チキンジョージ

これはまったくもって夢のはなし。





話は去年の今頃に戻ります。
大好きなクラムボンのライブへ家族みんなで行った際、
その前年のアンサンブルズ東京のワークショップのお礼もかねて
なにかお土産にと、当時ようやく本格的に始めた絵を描いて渡すことにして
奥さんと長女とわいわい3人の似顔絵を描きました。
学生の頃は趣味で時々絵は描いていたが、
すぐに写真や映像に移ってしまっていたし、
なにより元来、風景画しか描けないというコンプレックスがあったのだけど、
吉田類さんの例の番組で似顔絵募集をやっていて、
それ以来、自分はもっぱら”おじさん”専門の似顔絵を描くようになっていた。
女性を描いても、どうやったら女性らしい表情やしぐさを表現できるのかわからず、
敬遠していたのだけど、この時は不思議なほどスラスラと
郁子ちゃんを描くことができたのでした。
ライブ後のサイン会で、お3人に絵を直接お渡しでき、
郁子ちゃんもアンサンブルズ東京の時のことを覚えていてくれて、
とても心満たされた気持ちで帰宅したのを覚えています。



少し時計が進んで、今年の春の事。
一通のメールがわが家に届きました。
クラムボンの事務所の方から、
去年お渡しした絵を何かにぜひ使わせてほしいという内容で、
はじめは、一体全体何のことだか、キツネにつままれた感じ。
このご時世ですから、ひょっとしたら手の込んだ迷惑メールかもしれない。
じーーーーっとメールを眺めて、よく考えてみれば、
あんな極めて個人的な出来事を知っているのは当事者くらいだし、
それでお金がどうこうとという話でもない。
ってことは、これはホンモノ…え?マジ?マジ?マジ!!
しぇ〜〜〜〜〜。
一生懸命、想いを込めて描いたことは違いないよ。
でも、でも、あんなものをご本人が何かに使いたいなんて、
そんなこと起こりうるんですか?
普通ないでしょう。いや。ないない…
いや、でも、まさか???
本当に不思議の世界へと迷い込んだアリスのような気持ちです。


そんな雲をつかむような、夢うつつのまま、
GWの爆業へとなだれ込み、そちらの日常をどうにかこなして
ようやくフィニッシュしたタイミングで、
わが家に小包が届きました。
早速開けてみると、
な、な、なんとクラムボンの新盤『モメントe.p.3』!!
素晴らしくクールなデザインのそれを恐る恐る開封してみると…
な、な、なんと、CDのパッケージに見覚えのある絵!!
うっそ〜ん@@@@
夢のような話は本当だった!!


事務所やメンバーのSNSを通じて、
新盤製作に当たっては、サウンドはもちろんのこと、
CDプレスから、パッケージのデザインまで
こだわりにこだわりぬいて、いかに真剣勝負しているかを
ひしひしと感じていたのだけど、
そんな大切な大切な作品の一部に使っていただいて、
本当にいいのでしょうか@@@
いや、もう、恐縮も恐縮でございます。
しかも、よくよく見ると、
自分の絵のほかに、シークレットで長女の絵が!
まさか!?こんなニクい演出!!アホイ!!




繰り返しになっちゃいますが
正直言って、こんなこと、本当に夢のようです。
考えてみてください、20年来大好きなアーティストの作品、
それもミュージシャンにとっては魂そのものともいえるCDの一部に、
自分の描いたものが!
あまりのびっくりと嬉しさに、
結構長い時間、ぽかーんと口をあいたまま宙ぶらりんな感じでした。
人はあまりに刺激の強いものに遭遇すると、
フリーズしてしまうのですね。
本当に、最初で最後、大万馬券か宝くじの一等を当てたよりも
さらにすごいことが起こってしまいました。
だって、別にイラストレーターでもなんでもないし、
なんなら絵だってもっと実力のある人はいくらでもいます。
そんな人でも、採用されるとは限らないもの。
なのに、本当にたくさんの人のご厚意と、縁によって、
こんな素晴らしいところまで導いてもらったのです。
感謝しかありません!!


クラムボンは2015年にメジャーレーベルを離れ、
運営からライブ活動、CD販売、プロモーションに至るまで
すべて自前でやっていくというスタイルを選択しました。
そこには色々なしがらみから解き放たれて、
自分たちの思い描いた曲を自由に表現していきたいという思いと同時に、
よりファンに近いところで、
実感をもって活動をしていきたいということがあるのだと思います。
そこには、もっと自分たちを身近に感じてほしいという
ファンサービスの一環もある一方で、
メンバーにとってもファンから色々なものをダイレクトに受け取りたい、
一方通行ではないコミュニケーションを交わしたいというところも
多分にあったのではないかなあと思います。
今回、1ファンとして、応援していますという想いを形にして、
お三人にフィードバックして、
それを快く受け取っていただいたうえで、
こんな素敵な形で、また、こちらに返してくれた。
そのキャッチーボールはつまるところ、
彼らが今のスタイルを選択したということの
根本に直結しているのではないか、
お三人が勇気をもって決断した道を
大いに後押しできたんじゃないかなと、
おこがましくも勝手に考えてしまいます。
どんな形であれ、決して簡単ではない道を選んだ3人のお役に泣てたのなら
こんなにうれしいことはありませんね。
とはいえ、こんなことめったにあることではないです。
少なくとも、プロでもなんでもないど素人が採用されるなんてことは
メジャーの世界ではきっと起こりえなかったはずだし、
そんな垣根を軽々と飛び越えて(実際は大変だったでしょうが)、
我々の目の前までやってきてくれた
クラムボンという類まれなバンドは、
やっぱり間違いなくカッチョいいのです!


さてさて、この新盤をひっさげてのモメントツアーが
満を持して今月からスタートし、
我々も神戸チキンジョージへ馳せ参じることに。
せっかくなので、なにか精一杯の恩返しにと思って、
使っていただいたイラストをベースに、
クラムボンのカワイイ&クールなイメージをデザイン化して
お得意のスリマッカ大作戦。
なかなかいい感じのTシャツができました。



そしてそして当日。
もうねえ、サイコーです。当然です。
サイコー過ぎました。
いつものように息の合った3人の躍動ぶりと、
それに呼応するオーディエンスの温かさが
一体となって全体となって。
新盤から3曲畳みかけは圧巻で、
ステレオで聴くよりも
ライブ音量で腹の底まで響かせながら聴く
低音ビートがスリリング過ぎて、
思わずゾクゾクしてしまいました。



で、途中のMCも、あふれ出るパッションを抑えきれないmitoと、
かわゆさ爆発の郁子ちゃんの掛け合い、
そしてそれを寡黙に見守る大助さんという、
いつもの安定感。
今回は、今のところライブ会場限定で販売されている
新盤『モメントe.p.3』買ってねアピールも兼ねていてその話に。
パッケージもものすごくこだわったんだよ〜という話のところで、
我ら家族の話となり、今日来てもらってま〜す!!とアナウンスで
びっくらポン!!
やあ、もう嬉しいやら恥ずかしいやら。
もうとにかくみんな買ってね!それしかない!



そのあと、定番の『yet』『波よせて』『Rough & Laugh』などなどなど!
そして『シカゴ』ではまさかまさかの大ハプニングが起こって、
会場大爆笑の渦。
なんてハッピーなんだよぅ!!コノヤロー!!
エンディングの『Slight Slight』は
スポットライトに照らし出される郁子ちゃんの表情に見とれました。
割れんばかりのアンコールでは、
mito生アコギの『Re-FOLKRORE』、
そしてオーラスに新盤から『ラナンキュラス』。
じーーん。胸にじーーん。
なんていいバンドなんだよぅ!!



ライブが終わり、会場でサイン会を待ちます。
あまりにノリ過ぎたせいか足を攣って悶絶していると、
アンサンブルズ東京でご一緒した男性の方に声をかけてもらいました!
そのあと、ステージ上に掲げられた神戸のれんを撮影していると
どなたかにスタッフさんが探してますよ〜と教えていただき、
促されるままにそちらへ。
すると、なんと楽屋に通していただき、お3人とご対面!!
嗚呼、涙。感涙。雨あられ!!


娘の姿を認めて、郁子ちゃんが駆け寄ってきて、
「あなた、なんて絵を描くのぉ〜」とアツいアツい抱擁。
mitoと大助さんも笑顔で迎えてくださいました。
そして、ご挨拶をするかしないかのタイミングで、
郁子ちゃんが「なにそれ!そのTシャツ!」と
着ていたお土産のスリマッカTシャツを指さして興味津々。
しかもmitoが「いいねコレ!今これみんなで着て写真撮ろう!」と
呼びかけてくれました。
まさか、その場で着ていただけるとは!!
みんなで記念撮影をした後に、
採用してくれた郁子ちゃんと、自分と長女の3ショットも!
もうそっからは、すっかり舞い上がってしまって、
なにをしゃべったか、粗相はなかったかと反省しきり。
もう、ありったけのありがとうと、頑張って、それしか言えない!!
長女はもういつものように顔が溶けてヘロンヘロンとなっていました。
あまり長居しないようにと気を付けていたつもりでしたが、
どうだったでしょう?
永遠のようであっという間な素敵な時間でした。
郁子ちゃん!mito!大助さん!そしてマネージャーのMさん!
どうもありがとう!!!!!!



帰りがてら、熱にうなされるような感覚を帯びながら
奥さんと「夢じゃないよね?夢じゃないよね?」と確認しあって、
「夢だけど〜♪夢じゃなかった〜♪」とスウィングな足取りで帰りました。