記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

三崎いしいしんじ祭2018

お話は年末へとさかのぼります。

 

現在京都在住の作家のいしいしんじさんが、

かつて住んだ三浦半島の三崎港で行っている「三崎いしいしんじ祭」が

数年ぶりに開催されるというのを知り、

しかも、原田郁子ちゃんがちょこっとだけ参加して、

いしいさんと一緒に作られた『かじき釣り』『海からの風』を

その歌が生まれた場所で披露するとな!

お二人とは2016年のアンサンブルズ東京で東京駅を目の前に、

『東京駅のうた』を一緒に歌わせていただいて、

そこからいろいろな縁がつながっていったのですが、

そのお二人がひさしぶりにご一緒される。

これはもう行くっきゃない!!

ということで、家族旅行を兼ねて2018年最後の遠征へ行ってきました。

 

↓アンサンブルズ東京の記事はこちら

 

年末の連休で宿がらなかなか見つからなかったが、どうにか手配できて、

新幹線で新横浜まで。

そこから関内まで移動して、少しばかり散策。

せっかくなので、大さん橋まで。

すると、ラッキーなことに、

日本最大の大型客船の飛鳥Ⅱ(50,146t)、

第2位のぱしふぃっく・びーなす(26,518t)、

おまけにピースボートのOCEAN DREAM(36,674t)の

3隻が寄港していて、

10階建てマンションがすっぽり入るほどの

でっかい船が居並ぶ光景はなかなかのものでした。

 

f:id:arkibito:20181223112924j:plain

f:id:arkibito:20181223114608j:plain

f:id:arkibito:20181223113446j:plain

f:id:arkibito:20181223113856j:plain

f:id:arkibito:20181223114539j:plain

f:id:arkibito:20181223114554j:plain

 

船を見ただけでの1時間ほどの滞在で横浜を後にします。

ブルーラインで上大岡まで行き、そこで京急本線に乗り換える。

久しぶりにドレミファインバーターの音色♪

横須賀、久里浜と過ぎて、終点の三崎口に到着。

大慌てで、バスに乗り込んで三崎港にようやくたどり着きました。

 

まずは腹ごしらえということで、

バスを降りた三崎公園の広場に面したお店へ駆け込む。

三崎と言ったらやっぱりマグロ!

ということで、せっかくなので、奮発して、天然本マグロ丼!!

大トロ、中トロ、とろっとろ♪

んまぁ~~~~~~@@@

お口の中がとろけにとろけて最高でございました。

 

f:id:arkibito:20181223140353j:plain

f:id:arkibito:20181223140357j:plain

 

それから、すぐそこの港の市場をさっとのぞく。

マグロや様々な海産物が盛りだくさん。

ここでちょうどよいタラバ蟹があったので

正月用に購入して送ってもらう。

 

f:id:arkibito:20181223145656j:plain

 

さてさて、すでに時刻が15時過ぎてしまって、

大急ぎで会場の三崎館本店さんへ。

なんだかものすごく魅力的な佇まい。

早速中へ入ると、総合受付は別のところだったらしく、

とりあえずPeapixだけ見せて中へ入れていただき、

あとで参加者の証であるバッヂを取りに行きます。

 

f:id:arkibito:20181223145336j:plain

f:id:arkibito:20181223150558j:plain

 

2階の大広間へと上がると、

ちょうどいしいさんがいらしたのでご挨拶。

ぴっぴ君も相変わらず精力的にはしゃぎまわっている模様(笑)

そうこうしているうちに、

音楽評論家の湯浅学さんによる音楽ライブがスタート。

なんだか懐かしい昭和の香りが漂ってきそうな雰囲気に包まれておりました。

 

f:id:arkibito:20181223150831j:plain

 

次のイベントまでの間に、三崎の商店街のあちらこちらをおさんぽしながら、

色々な出展を見て回ります。

有名なミサキドーナツや、今回の主催の「本と屯」さん、

それからKURA plus+さんでやっている「いしいしんじの本棚」、

BOOK TRUCKさんなど色々見どころたくさん。

 

f:id:arkibito:20181223151141j:plain

f:id:arkibito:20181223155006j:plain

f:id:arkibito:20181223155254j:plain

 

中でも面白かったのが、マグロの頭を使った輪投げ!!

なかなかにシュールな光景ですが、

長女はキャッキャ言いながら放り込んでおりました。

 

f:id:arkibito:20181223155543j:plain

 

再び、三崎館本店へ戻ると、

すでにいしいさんによる「その場小説」が始まっていました。

三崎の野地くんが主人公で、その場でアナウンスしながら小説を書き上げていきます。

そのアナウンスに呼応してうちの次女が途中から復唱しはじめて、

それがどうにも面白すぎてつい笑ってしまいました。

後ろの席にらした作家の石田千さんや絵描きのくまあやこさんらも、

それをとがめるでもなく微笑みながら見守っていただいてくれていました。

その場で出来上がった小説は4枚分。

それをコピーしてみなさんに1枚ずつお配り、どれがもらえるかはお楽しみ。

 

f:id:arkibito:20181225151412j:plain

 

そこから小休止をはさんで三崎談話なのだけど、

ここで飛び入り参加予定だった郁子ちゃんが

お昼ごはんから帰ってこない!というので

少々時間を遅らせて(笑)スタート。

登壇者は戌井昭人さん(鉄割アルバトロスケット)、湯浅学さん、

いしいしんじさん、矢野優さん(新潮編集長)、

郁子ちゃん、石田千さんという錚々たるメンバー。

ここに集まってきた経緯とか、三崎とのかかわりあいのお話などが中心に盛り上がる。

 

f:id:arkibito:20181223170352j:plain

 

矢野さんの「三崎にはノイズが少ない」というお話は納得で、

都心にはない独特の静けさがあって、

それが三崎らしい情緒やゆったりとした時間の流れを作り出している。

それはもうバスを降りた第一歩から感じていたことでした。

 

郁子ちゃんが初めてのソロ作品『ピアノ』を出す際に、

いしいさんに歌詞をお願いした経緯のお話も出ていて、

それがなんともほほえましいエピソードでした。

郁子ちゃんがたまたま『ぶらんこ乗り』を読んで(我々夫婦も大好きな作品!)、

いしいさんに歌詞を是非と思い立ち、電話してみたら、

じゃあ三崎まで来てと言われて、

とことこ電車とバスを乗り継いで三崎までやってきて、

そこで初めましてをしてご飯を食べて、バイバイをして。

そんな普通に懐かしい友人に会いに行くような感じで、

あんな素敵な曲が生まれたんだなあと。

 

f:id:arkibito:20181223172402j:plain

 

トークショーが少し時間をオーバーしましたが無事終了し、

そのあと会場をミサキドーナツの2階に移します。

そこでいしいさんのドキュメンタリー映画いしいしんじ 十ーのはなし』の上映会。

これまでは夏に出町座での上映だけだったが、今回は三崎ということで、

三崎のシーンをたくさん盛り込んスペシャルバージョンでした。

 

会場が熱気むんむんだったので少しばかり夜風にあたって小休止したら、

オーラスはいよいよ郁子ちゃんのミニライブ。

『かじき釣り』は会場のみーんなで

♪釣れるかな~♪釣れるかな~って一つになって、じーん。

『海からの風』は、やっぱり最後のところ、

 

外国の旗 新聞紙 小魚の群れ 空き缶~

派手なシーツ 三輪車 バーの看板 おばあさん

 

 うんうん、すごく、なんか、こう、いいなあ。

 まるで、小さな港町の小さなドーナツ屋さんの屋根裏で、

みんな身を寄せ合って、聞くための曲でした。

 

f:id:arkibito:20181225151638j:plain

 

全部のイベントが終了してお開きとなりました。

自分たちはこれからすぐに立って鎌倉の宿へ向かわないといけないので

バスが迫っていたので、ほんの短い時間でしたが、

郁子ちゃんといしいさんにお礼のご挨拶ができました。

そしたら、ぴっぴ君が、写真撮ったるわ~といってパシパシと撮ってくれました!

サンキュ!サンキュ!

 

f:id:arkibito:20181223204001j:plain

f:id:arkibito:20181223183240j:plain

 

三崎には懐かしい時間が流れていた。

懐かしい音があり、懐かしいにおいがあり

懐かしい静けさがありました。

誰もが一度は帰ってくる港、それが三崎という町なのかもしれないなあ。

すわすわと潮風がゆっくりと通り過ぎる商店街を抜け、

惜しみつつ帰りのバスへ乗り込んだ。

またきっと来たいな、三崎。