細野晴臣デビュー50周年記念展<細野観光1969 ~ 2019> & 映画『NO SMOKING』
かなり間が空いてしまいましたが、ブログ再開します。
時計を10月末、
あのハギビスタイフーンが過ぎ去った日へと遡ります。
東京遠征のお目当ての一つが、六本木の森ビルで行われていた
細野晴臣デビュー50周年記念展「細野観光1969-2019」でした。
今年は、日本音楽界の母ともいえる細野さんの
デビュー50周年のメモリアルイヤーで、
数々の催しやライブが行われているのだが 、
あいにくそのどれもこれもが、
重要な他の案件とバッティングしてしまって
参加できずに涙を飲んでおります@@@
せめて、この展覧会だけでもという思いで、行って参りました。
まずはこの界隈ただでさえ相当の人出なのですが、
細野さんの人気ぶりでまずチケットブースまでが長蛇の列。
何度目のブームがやってきているのかと、
びっくりしてしまいますが、
こうやって長い年月、幾重もの年代に渡っても、
細野さんの描き出す世界はそれだけ普遍的かつ不変的なのでしょう。
1時間くらいかかってようやく、
TOKYO CITY VIEWにたどり着きました。
早速中へ入ると、アルバム「泰安洋行」のジャケットを模した
巨大な顔ハメパネルがお出迎え。さすがに遠慮してしまいました@@
展覧会を見進める前に、せっかくなので、
音声ガイドを利用することにしました。
さて、細野さんの生い立ちから展示はスタートしていくわけなのですが、
まああ、もう、お宝の山。
というよりもちょっとした日本現代史の1コーナーといった充実ぶりです。
学生時代に収集したものや、通学定期、おもちゃの数々など、
よくぞ今日まで保存されていたなあと感心してしまいます。
すでにこの頃から、細野少年の際限なき好奇心や探求心、
コレクターぶりが垣間見えます。
やはりどれだけ世界に向けて自分が開かれているかということが
子どもにとっては大きいのだろうなと想像します。
たくさんのこと、色々なことに目を向けて、たっぷり吸収する、
その積み重なりが大人になった時の人の幅になるのだろうと。
(なんとなく細野少年を頭で思い描くと、
いしいさんとこのぴっぴ君の顔が思い起こされる)
細野さんの代名詞的なあれこれももちろん多数展示されて、
本当に国宝展か世界遺産のごときお宝の数々だったのですが、
それらのなかで、一番びっくりしたのは、
細野さん自筆の漫画!!
絵の上手さはもとより、モーションを的確にとらえたうえで、
いわゆる漫画的な味付けを絶妙に施した絵の数々は、
正直すごすぎです。
もしも、音楽の道ではなく、その筋を目指したとしたら、
名作を生み出すクリエイターになってたに違いない!!
そして音楽の方もきっと、
こういったビジュアル的な捉え方で構築されているのかもしれない。
細野さんの自前のスタジオを再現したコーナーでは、
数々のギターやベース、キーボードの数々が並べられ、
これらがあの最高の音楽たちを惜しみなく奏でていたのだと思うと
ついついうっとりしてしまいます。
その中でもとびきりだったのは、
どこかの蚤の市やガラクタ市などで集めてきた
音の鳴るおもちゃたち。
これらも数々の細野ミュージックのなかで、
大切な役割を演じてきたものたちです。
そしていよいよ「エイプリルフール」「はっぴいえんど」、
そして「YMO」の時代へ。
このあたりはもう色々な場面で語りつくされているところなので、
今更ここで、事細かに解説するのも野暮というものなので、
あえて割愛しますが、間違いなく戦後日本の歴史です。
ここ、テストに出るよ!!
それにしてもここまでの射程範囲で音楽を探訪して、
未開の地平を開拓してきたどころか、
それが後世にあってはもはやスタンダードであるというのは、
日本では細野さん以外には見当たらないのではないだろうか。
とにもかくにも、素晴らしい展覧会で、
もうずっとこの細野ワールドに酔いしれていたいなあと、
そんな気分でございました。
後日、大阪にて、
細野晴臣50周年ドキュメントムービー
『NO SMOKING』を鑑賞。
一言で言えば濃ゆい、ぎっしり濃厚、
純度100%混じり気なしの蜂蜜バターのように
濃密に敷きつめられたひと時。
なのに後味はあの細野さんの軽快な足さばきのステップだけを残して
実に軽やか。
うむぅ結構なお点前で。
絶対に禁煙だけはしないと、
今春の安珠さん松本さんとのトークショーでも
おっしゃっておられましたが、
そのエスプリをふんだんに効かせたこのタイトルもまた
お茶目な細野さんにぴったり。
細野チルドレン三羽烏(星野源、小山田圭吾、高田漣)を筆頭に、
後世の人へ「後は任せた」とおっしゃる御大ですが、
いやいや実はまだまだその有り余る底なしのイマジネーションを
存分に発揮したくてうずうず、やる気満々なように見えましたよ?
とにもかくにも、50周年という壮大な金字塔、
おめでとうございます!!