記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

Music Life 『Ramona』 by 細野晴臣

ひさびさに、弾き語り練習。
曲は細野さんの名盤『HoSoNoVa』のトップを飾る『ラモナ』。
1920年代の名画を飾った美しい曲のカバー曲です。
この小気味酔いワルツの調べに、
静かに語りかえるような細野さんの重低音ヴォイスが波打ち、
大人の子守歌のように、聴く人を穏やかな夢の世界へといざなう。
ご本人はご自身の声が好きじゃないみたいだが、
あんな風にささやかれたら、ズルいの一言。
メロディーもアレンジも完璧な世界観が形作られているので
余計なアレンジは加えず、
素材のよさを生でいただくようなつもりで弾き語りしました。



細野さんの最新アルバム『Vu Ja De』が
兎にも角にもスッバラっしいのです。
御年70になられた日本音楽界の父は、
いまだに創意工夫と好奇心にあふれたギター小僧のようです。
ここ最近の古き良きオールドアメリカンのミュージックや、
あるいは色褪せぬ名画を彩る名曲たちへの惜しみない愛情を
自身のライブや作品に注いでおられますが、
決して、いわゆる”懐メロ”というカテゴリーに納まるのではなく、
ヴィンテージもののワインを大事に開封するようにして
永久不滅のマスタピースをじっくりと味わうような具合で、
それがひたすらに大人の風格を纏って、かっちょエエのです。
この塩梅は、あらゆる音楽の世界を流浪し、
丁寧に年輪を積み重ねてきた人だからこそ成せる業。
無条件でスタンディングオベーションを捧げたいと思います。