機動戦士ガンダムF91 富野由悠季監督 舞台挨拶
ガンダムの生みの親・富野監督の数々の業績を回顧する
「富野由悠季の世界」 展が開催されるのに伴い、
関西の7劇場で監督作品をリレー形式で上映するとのニュース。
せっかくなので、どれか行けたらと予定を照らし合わせていたら、
過密なスケジュールが、台風の影響でちょうど空いて、
しかも富野監督の舞台挨拶付き!!
これは行くしかありません。
ということで神戸HATまで。
舞台挨拶は本編上映前。
富野監督と美術館の館長さんとのトークセッション。
今回上映するのがF91ということで、それにまつわるお話を。
ちょうどガンダムの歴史で言うと、
逆シャアの後の世界ですが、
逆シャアの難解さの反動から、
わかりやすさに重点を置いて制作されている。
(といっても後半はキャラが複雑に絡み合うのはお決まりだけども)
富野監督曰く、
「映画は基本的に恋愛作品でないといけない」ということが、
最終的にはラストシーンに結集するのだけど、
イデオロギーの対立に基づいた国家観という
大きなテーマを扱っていたのに対し、
本作では、家族観というサイズに落とし込むことで、
より見る人が実感を持って感情移入できるようになっている。
つまり、お国のために戦うんだとか、
イデオロギーの闘争なんだといった
小難しい話ではなくて、
親と子の対立だとか、愛する人を守るとか、
共にする仲間との絆といった誰の経験にも当てはまるような
テーマに沿って作品を形作っていったそう。
そういった家族観を描いていくなかで、
富野監督が感じたことは
「親がきちんと家族をやるという意識がないと
家族は成り立たない。
父親母親という役割は
機械的にこなせるものでは到底ない」ということで、
そういったところのほころびが、
果ては戦いの世界へと拡張していく世界を
本作では描いている。
本作が製作された90年初頭ではまるで想像もつかなかったが、
現代の社会情勢や、
ワイドショーをにぎわす様々な事件や課題を見るにつけ、
そういったことがまさに映画の中ではなく、
リアルに起こってしまっているということがもはや笑えないが、
F91という作品を残せたからこそ、そういった問題にたいして
実体を伴った意見が語れる、
そういう意味でF91にはとても感謝しているとのこと。
トークでは随所に富野節が炸裂していて、
やはり一筋縄ではいかないお人だと改めて。
そういえば、実に平和な日常に突然不穏な空気が流れ出し
得体のしれない不安と恐怖に一般市民がなすすべなく逃げ惑う様を
延々と描いている冒頭部分は、
スピルバーグが『宇宙戦争』で絶対真似したんだよと言っていました笑
ただし、この人こそ本物のクリエイターだとはっきりわかります。
どこの何をつついても、全シーン、前キャラに責任をもって
事細かく設定や背景を肉付けして、
本当にひとつの宇宙を、壮大な歴史を、
まるごと創造してしまった人なのですから。
30分程度だったと思いますが、
存分に創造者のすごさの片鱗に触れることができました。
本作の主題歌は言わずと知れた
森口博子の『ETERNAL WIND 〜ほほえみは光る風の中〜』。
ちょうど先日生ライブで大盛り上がりをしたところでもあり、
改めて大画面でエンディングを見ながら、胸アツ!!