劇場版『ワンダーウォール』 エンディング追撮参加
先日の劇場版『ワンダーウォール』のエンディング追撮の日のこと。
撮影の様子などの写真のSNSアップは禁止されているので、
記事には上げませんが、
休憩の様子など日常的な部分は大丈夫だと思うので備忘録として。
(もし不都合あれば、記事削ったり写真外したりします)
昨年、NHK京都放送局で放映された
地域ドラマ『ワンダーウォール』。
実際に存在する京大吉田寮をモチーフにした
架空の大学の自治寮の存続の危機をテーマに、
現代における豊かさを問うとても素晴らしい作品だった。
作品に関する詳しい考察は、
過去記事を読んでいただければと思うが、
問題に直面した若者の等身大の目線から投げかけられる
現代社会の在り方への疑問に対して、
安易な結末や答えを用意するのではなく、
作品を観る者1人1人に”考える”ということを与えてくれる。
今まさにこの国で繰り広げられている、
様々な憂うべき事態にもまさに直結する根幹についての問いかけだ。
そんな『ワンダーウォール』が
2020年春に劇場版として公開されるという
なんともうれしいニュースが飛び込んできた。
しかも劇場版用のエンディングのために追撮があり、
テーマ曲を演奏するラストシーンで
演奏するエキストラを募集しているとのこと。
大切な作品に少しでも関わることができる、
少しでも恩返しができるということで、
アコギ担当として早速申し込みました。
撮影日の数日前に、もろもろ案内が届くと同時に、
楽曲のデモと楽譜が送られてきて、忙しい合間に練習。
元々ドラマ版のラストシーンを見ながら、
軽く耳コピをしていたので、
曲自体はすんなりと入って行けたが、
なかなかどうして難しいコード進行。
しかもメロディーを弾くというよりも、
むしろリズムを刻む役目を求められているような構成だったので
悪戦苦闘しながらもどうにか間に合わせる。
(それにしても今年は、リコーダーにせよ第九にせよ
楽譜とにらめっこの日々が続く)
そして9月某日、いよいよ撮影当日となりました。
朝早くにアコギのでっかいハードケースを抱えて、大阪を出る。
京都駅で乗り換えて、今まで下りたことのない駅へ降り立つ。
ちらほらと参加者らしき人たちの姿。
鄙びた町並みを少し歩いて、川沿いに立つ古い酒蔵さんへ。
そこが本日の現場。
その向かいに立つ区民会館のようなところが待合所となっていて、
受付を済ませて部屋で待機。
後から続々と参加者が集まってきて、
たくさんの種類の楽器がどんどん集まってきます。
管楽器、弦楽器、打楽器、リコーダー、鍵盤ハーモニカ、
なかにはコケロミンというカエルのぬいぐるみ型の面白い電子楽器まで!!
テレビ版のラストの演奏シーンでも印象的に出てきましたね。
これは楽しいアンサンブル間違いなしです。
アコギについては、5、6人ほど。
100人ほどの編成の中でも割合少ない方でした。
あと自分は、せっかくなので、トレードマークの帽子に、
吉田寮のバッヂと、大友さんのバッヂを装着。
大友さんもこの作品をとっても大事に思っておられるひとりで、
この数日前のアンサンブルズ東京の余韻も
全然引きずっていたので、
なにかどこかで顔出しできればと思って、
勝手にバッヂでカメオ出演してもらいます笑。
午前中に、まず音撮り。
古い酒蔵にパートごとに集合をしていきます。
我々アコギ隊は蔵の後方で、
1本のマイクを取り囲むようにしてスタンバイ。
そして、ワンダーウォールの劇伴を務められた岩崎太整さんが登場し、
岩崎さんの指揮のもと、のっけから演奏スタート。
みなさん、楽譜が届いたのが直前だったにもかかわらず、
さすが練習をしてきて、1本目から実にいい感じです。
こうやって集合して音を合わせるのは当然この日が初めてなので
パートによって音の大きさのバランスや
聴こえ方のばらつきが出るので、
それをスタッフさんらが逐一調整をしながら、
何度もリハーサルテイクを重ねていきます。
そうして、いよいよ本番!
本番は雑音が入らないように空調もすべて止めるので、
なかなか、このすし詰め状態で暑いですが、
みんな暑さを吹き飛ばす勢いで頑張ります。
なのになぜか、
曲の終わりのあと数秒の沈黙をというタイミングで、
携帯が鳴ったり、救急車が通ったり笑
で、何度かテイクを重ねて、無事に音撮り終了!!
スタッフさん達は、当初は
もっと音をそろえるのに時間がかかるだろうと
見込んでいたようなのですが
かなりスムーズな進行で終わることができたそうです。
やったー!!
午後からは、OKテイクを流しながら、
映像を撮影するのですが、その前にお昼ごはん!
なんと蔵の方や地元の方々が、
カレーの炊き出しやおにぎりを用意していただいておりました。
ありがたや~ありがたや~。
他の参加者の皆さんと談笑しながらあっという間にペロリです。
撮影の準備などが整うまで少し時間があり、
その間に周囲を散歩したり、
あと、せっかく酒蔵にお邪魔しているのだから、地酒をお土産に。
八木酒造の「大江山」です。
でもあのお山は宮津と福知山の間にあるのではと不思議に思い、
酒蔵の方にお話を聞くと、
酒の名を取ったそうで、
こちらが本来、酒呑童子の物語の地とする説があるそうです。
知らなかった!!
はてさて、午後の部。
一度隊列をばらして、撮影しやすいように再配置をして、
音楽をかけながら、それに合わせて演奏します。
今度は、正確にではなく、
楽しく生き生きとパフォーマンスしながら。
音楽に合わせて、体を左右に振ったり、
色々カメラにもアピールしたり。
それから最後は、出演している役者陣も交えての撮影。
主人公の須藤蓮さん、そして岡山天音さん、
三村和敬さん、中崎敏さんと楽しく盛り上がりながら。
白熱した演奏&撮影も、大盛り上がりのうちに無事に撮了です!!
このシーン自体はものの2分とないので、
たぶんほとんど自分が出ているかどうかも
全くわからないくらいだとは思いますが、
そんなこと全然お構いなくて、
何よりも大切な大切な作品に関われたこと、
お役に立てたことが本当に万感の思いです。
それにしてもそんなわずかな尺のシーンを撮るだけでも
ほぼ丸一日かけ、準備や段取りやら、
本当に映像というのは大変です。
監督さん、役者さん、スタッフの皆さん、ご苦労様です。
無事に撮影が終了し、監督さんからのご挨拶ののち、
なんと脚本を担当された渡辺あやさんも
撮影に参加されていたそうで、ご挨拶がありました。
それから、みんなで集まって記念撮影!!
(こちらは掲載NG@@@)
その後解散となったのですが、やっぱりせっかくなのでと
渡辺あやさんにお声掛けをしてお写真を一緒に撮っていただきました。
『ワンダーウォール』のこともそうですが、
阪神淡路大震災を経験した自分にとっては
『その街のこども』(音楽は大友さん)が本当に大切な作品で、
作品の主人公たちと同じように、
毎年1.17には神戸の街を夜通し歩いていることや、
作品に節々で救われてきたことをお伝えし、
お礼することができました。感無量です。
蔵を出て、楽器を直して、帰り支度をしていると、
何やら人だかり。
何かなと思えば、作品の主人公を演じた須藤漣さんと、
熱血漢のマサラ役の三村和敬さんが
即席撮影会みたいに参加者と交流されていました。
自分も少しだけお話し。
ちょうど持ってきていた公式写真集を見せると、
「ええ?なんであるの?ありがとうございます!」と言いながら、
自分のお気に入りのショットのページにそれぞれサインをいただきました。
先日の『センス・オブ・ワンダー』もよかったですよとお伝えすると、
とてもうれしそうに「ありがとうございます!」と力強く握手。
本作でも同世代の登場人物たちにリアルな魂を吹き込んで
自然体の佇まいや内面の繊細な揺れ動きを表現されていたお2人、
今後のさらなる活躍にも期待です。
それからちょうど監督さんが佇んでいらっしゃったので、
お礼とご苦労様をお伝え。
これから完成までには編集作業とか
まだまだ膨大な作業があるはずなのですが
素晴らしく意義のある作品なだけに、
引き続き頑張ってもらいたいです。
ということで、無事にすべて終了して帰路につきました。
また来春の公開が楽しみ。