木馬マスター presents Finally let's listen 松本隆TIME at MOKUBA'S TAVERN
神戸のセーフポイントとして、
前々から時々利用させていただいていたトアロードの木馬さん。
先日の「ぼくのおじさん展」の際、
ゆかりのある松本先生などの絵も展示するので、
意を決して、恐る恐るマスターに話しかけて
DMを置かせていただけるかお願いしたところ、
快く了解いただきました。
作品展が終わったあと、神戸に行く用事があり、
それに合わせてDMを置かせていただいたお礼に伺い、
マスターや和美さんと色々とお話しさせていただきました。
その際、年末恒例のマスターセレクションにも遊びに行きますと言うと、
松本隆TIMEの時に、せっかくなので、
松本先生の似顔絵をぜひ飾ろうよというお話になり、
まさかまさか、これはもうありがたいやらなんやら、
こんなうれしいことはありません!!
そして、当日。
A1サイズの大きな展示パネルを抱えて神戸まで。
時間ギリギリでこんな大きなものもちこんだら、
混乱するだろうと少し早く18時前に到着。
すると、お店の前で数人が並んでいるので、
ええ!!?もう?と少しビビります。
この日は、午後から一日中、
和美さんTIME、CLASSIC TIME、JAZZ TIMEと、
テーマで時間を区切って音楽を掛けられていて、
その区切りで入れ替えなのだそうで、
この日のラストを飾る19時からの松本隆TIMEのために、
早くも列をなしているのでした。
とりあえずパネルを搬入しないといけないので、
列に荷物をデポして、店内へ。
そしてマスターと和美さんにご挨拶。
入り口のイベント案内を張ってあるところを外してくれていいから、
そこにお願いしますということで、
設置させていただきました。
お店入ってすぐのこんなところに飾っていただいて恐縮です!!
いいやん!すごいやん!と喜んでいただいて、
こちらもこんな機会をいただけて本当にありがたい涙
設置が終わって、いったん店外にはけて、
列に戻って時間を待ちます。
すると、どうでしょう。
みるみるうちにその行列が伸びていって、
1つ海側の筋辺りまで人が溢れかえっています。
さすがは松本先生。
その行列に何事かと、事情を知らない通行人までもが、
興味津々でお店をのぞき込んだりしていました。
途中で、和美さんやスタッフが確認のために外の様子を見に来て、
びっくり仰天しておりましたが、
いやあ、こんな光景見たことないです。
そして19時となり、いよいよ入店。
あっという間に店内は満杯。
補助イスも全部出して、お店も精いっぱい対応しますが、
なにぶん限界があり、階段までの立ち見でも事足らず、
どうしてもという方は、
先生が来られる後半までどこかブラブラしていただいて、
また戻ってきてください!!とお願いがあるくらい、
とにかく大盛況、超満員。
何度かお店に来ていますが、
いつもは静かに音楽が流れる素晴らしく居心地の良い喫茶なのですが
これほどまでの混雑とにぎわいぶりは初めてです。
そんなカオス状態でしたが、
自分はカウンター席に無事着席。
この日は老若男女問わず、
松本先生の世界が大好きな人たちが集う会でしたが、
両隣に席をご一緒した方々もユニークな人たちでラッキーでした。
右側の男性は構成作家さんをめざしておられる方、
左には元町映画館の関係の方と、
そのお連れの方が絵を描かれている女性の方で、
キャンバスを見ずに一筆書きでデッサンをする
踊り描きをされているMarikoさん。
いくつか作品を見せてもらいましたが、
とても味わい深くて面白かった!!
松本先生や木馬のことはもちろん、
絵のことやいろんな話題でお話しすることができて、
とても楽しい時間となりました。
一方で、キッチンの方はてんてこ舞いのてんやわんや。
一気に注文が殺到するので、オーダーも大混乱。
和美さんはひたすらドリンクを注ぎ、
マスターはひたすらピザを焼き続け、大忙しでした。
大変ご苦労様でした!!
そんななか、いつも注文する
アンチョビとバジリコのピザとビールをいただきました。
さて本題の松本隆TIME。
本来は木馬マスターが選曲する名曲を聴くというのが、
年末恒例としてあり、
今回は映画にまつわる音楽をテーマにセレクトされていましたが、
それを聞きつけた松本先生が、
じゃあ自分も映画縛りでセレクトしてみようとなったそうです。
もう、どこをどう切っても屈指の名曲ぞろい。
次の曲がかかる度に、フロアからわあっと歓声が上がります。
みなさん、自分も含めて、
それこそ人生の中で、何十回も何百回も、
繰り返し、繰り返し、
空で歌えてしまうほど聴いてきた曲たちなのに、
いつ聴いても新鮮な驚きと感動を与えてくれる、
色褪せない曲とはまさにこういうことなのだなあと、
改めて噛みしめます。
どれが一番とか、もはや順位をつけるのも大変おこがましいというか、
永遠に決着しない贅沢な悩みなのですが、
やっぱり今回の映画縛りで言えば、
南佳孝さんの『スローなブギにしてくれ』、
安田成美さんの『風の谷のナウシカ』などは、
思わずゾクゾクっと身震いしてしまいますね。
歌は歌として当然ものすごく感動的で国宝級、
松本先生の描く詩の世界もまた、
どこまでも果てしない想像の世界を颯爽と走ってゆくのだけど、
作品そのものの素晴らしさだけに留まるのではなく、
その曲が流れていた当時の町並みや時代の風景だったり、
曲にまつわるあれこれの出来事の記憶だったり、
歌が自分自身の人生に寄り添っていたことの感情だったり、
歌という創造の世界と、自分自身が歩んできた実際の世界とが、
複雑にリンクして絡み合った感情が1つの情景として、
脳裏にぽうっと浮かび上がっていて、
イマジネーションの世界を形作っていく。
それはまさに、僕ら1人1人が、
松本先生がこれまでの人生をかけて、
ずっと描き続けてきた「風街」のなかの登場人物になる瞬間。
しかも、今宵は、
松本隆という一つのイコンを共有してきた人たちが
同じ場所に居合わせて、
その個別のイマジネーションの世界を
歌を介してシェアしあうという、
なんとも素晴らしい体験の場となっていたのです。
この会場にいた誰もがそれに興奮を覚え、
そのほのかな熱気がぐんぐんと集まって、
この小さなジャズ喫茶をひときわホットに燃え上がらせていました。
ファンにとってこれほど幸福な時間はありません。
さて、1時間と少し過ぎたあたりで、
いよいよ松本先生ご本人がご来店され、
熱烈な拍手で迎えられます。
自分たちの人生に彩りを与え、
様々な想像の糧を与えてくれた名曲たちを
それを作られたご本人と一緒に鑑賞できる、
しかもそれが言葉の神様・松本隆なのだから、
こんなことは、もう、それこそ奇跡のような時間です。
ご一緒できる興奮と畏れ多さとが、
ない交ぜの、軽いパニックになりつつも、
意を決してご挨拶にお声がけ。
今日、この場をささやかに彩るために
絵を飾らしていただいていることや、
先日の作品展の前に、
先生の絵を飾らしていただくことについてお伺いのご連絡をした際に、
快く承諾してくださったことをお礼しました。
すると、「ああ!展覧会されてたね!」と気さくにお話しいただいて、
感無量でございました。
あれだけの功績と歴史を積み重ねてこられた
レジェンド中のレジェンドでありながらも、
駆け出しの若い人たちの取組みや、
神戸のインディーズ界隈の人達、
そして自分のような者に対してまでも、
幅広く柔軟に視野を広げてウォッチして、
エールを送っていただいたり、そっと背中を押してくださって、
後進の人たちが歩みやすいようにと常に道を耕していてくださる。
本当に感謝しかありません!!
そしてもう1人。
松本先生が充実した神戸ライフを満喫するのに
欠かせない女房役といえば、
イナズマクラブのフロントマン、石田さん。
石田さん自身もいぶし銀のような
激渋ロックンローラーとして活躍されていますが、
今日も松本先生をアテンドしてご同行されておりましたが、
今回、この機会にと、日ごろの感謝のつもりで
似顔絵を描かせていただいたので、
それをプレゼントさせていただきました。
ロックンロール!!
松本先生と石田さんは、
途中あまりの盛況ぶりで混乱を避けるため一度退店され、
再び戻ってこられたのが、
はっぴいえんどの『風をあつめて』のイントロが
ちょうど流れた瞬間という実に神がかり的なタイミングで、
まさに風の歌が風街の人を連れてきた!!と会場が沸き立ちました。
そして最後を飾る歌は、
ちょうど翌日12/30に七回忌の命日を迎える大瀧詠一さんの名曲
太田裕美さんの『さらばシベリア鉄道』で万感のお開きとなりました。
すぐに松本先生と石田さんははけられるとのことだったので
無理を言って、絵の前でご本人と写真を撮っていただきました。
いやあもう、これはクリスマスとお正月がいっぺんにやってきたような
一生の思い出です。
それにしてもそれにしても、
これ以上の絵の成仏ってあるでしょうか?
自分が似顔絵を描くのは、
日頃お世話になったり、
自分の人生に大きな影響を与えてくれたような人に対して、
感謝やお礼の気持ちをささやかながらにも伝えたいという思いからで、
まるでラブレターのつもりで描いているのですが、
色々な人に見てもらうこと以前に、
何よりご本人に見てもらって喜んでいただくのが一番なのです。
これはもう自分の力や思いなどでは到底叶うはずもなく、
実に様々な人のご縁やご厚意に導かれてのこと。
松本先生、石田さん、木馬のみなさん、
そしてこの夜を共にしたみなさんに多謝!!
先生が帰られた後、
自分もみなさんも、はっと夢のような時間から我に返りつつ、
手にじんわりとかいた汗を見つめて、
ついさっきまでの興奮が、
まぎれもない現実だったんだという余韻を味わい、
木馬の熱気は一向に醒めないまま、
ラスト21:30まで多くの人が残っておりました。
名残惜しくも閉店時間となり、帰り支度をしないといけないが、
あんな大きな展示をそのままにしておくわけにはいかないから、
そろそろ片付けましょうかと、和美さんに声をかけると、
えええ?せっかくだし、このまま飾っときましょうよ!!
と言っていただき、まさかまさか、
しばらくお店に飾っていただけることになりました。
なんとまあ、ありがたいお言葉。泣けてきます。
ということで、ご興味ある方は、
ぜひ一度お見せに足を運んでいただければと思います。
ということで、2019年の締めくくりは、
すばらしい宝石のようにキラキラとした夜となりました。